加藤ミリヤ|飛び立って“うちらの時代”を 今「ディア ロンリーガール」を歌う理由

十代の私に今言えること

──もともと「ディア ロンリーガール」は、マーヴィン・ゲイの「Sexuaul Healing」、佐東由梨の「ロンリー・ガール」をサンプリングしたECDの「ECDのロンリーガール feat. K DUB SHINE」に着想を得た3層構造の曲でした。今回はその「ディア ロンリーガール」を再構築した4層構造になっている。トラックメイクは理貴さんが担当していますが、彼にはなんと伝えたんですか?

アイデアを出し合いながら作りました。理貴くんは「なんかアイデアある?」って聞くと「これは?」ってすぐ返してくれるから仕事が早いんです。あうんの呼吸でやれるんで安心感がある。あと、そんなに大変な曲だってあまり理解していない人がいいなと思ったんです(笑)。今回はトラックもミュージックビデオも、新しい才能や若手と組みたいと思っていたんですけど、あまり理屈は考えず、理貴くんのフレッシュな感性で作り直してもらいたかったんですよね。

──リリックを書くときにポイントにしたことは?

歌詞の1番のヴァースのカギカッコのところは、十代のときの私が一重カッコで、今の私が二重カッコなんです。十代のときは「こういう大人にはなりたくない」って思ってたけど、それを踏まえて今の私がどう言うか?っていうところがポイント。そこで「大人になればわかるよ」とは絶対言いたくなかったんです。でも「傷ついて強くなるよ」とは、今言えるなと思ったんです。

──今回のリリックでは、「ECDのロンリーガール feat. K DUB SHINE」のECDさんのラップパートからの引用もしていますね。

あの歌詞が一番好きなんです。「マジな話 早く立ち上がれ これちょっとシリアスだけど盛り上がれ」は、とにかく私も言いたい!と。メチャクチャ好きなラインだったっていうだけで入れちゃいました。でも本当に、この歌詞って絶妙だと思うんです。力みがふっとほどける感じもあるし、でも「やろうよ!」って鼓舞されるところもあるパンチラインだと思うから。

──加えて、ECDさんも自身のパートをオリジナルと同じフレーズで始めてる。

そこは私から何も言ってないんです。恐れ多くて私からオーダーはできないですよ。今回は合いの手とか「ミリヤ」っていうシャウトとか素材になるような言葉を言ってもらえるだけでいいなと思ってたんですけど、レコーディングに入ったらリリックを用意してくださっていて、それがコレだったんです。だからECDさんの中でどういう意図でこれを歌われたかははっきりわからないんですけど、とにかくECDさんの元気な声が入ってよかった。すごくパワフルで、びっくりしちゃいました。

飛び立って「うちらの時代」を

──「ディア ロンリーガール」では人名の連呼が印象的でしたが、そこも踏襲していますね。

あの歌い出しはみんな覚えてるだろうっていうことで、どこかに入れたいなって思ったんです。当時はクラスメイトと仲良かった友達と、あとソニーのスタッフの名前とかを入れたんです。

──今回は新たな名前が大量に増えましたね。

もう舌を噛みそうです(笑)。今回の歌い出しの5人は「28」の登場人物。2行目はウチのダンサーの子とか仲良しの子とか。真央と佳菜子は、浅田真央ちゃんと村上佳菜子ちゃん。それはこの間ツアーに来てくれたから勝手に拝借しました(笑)。あとはソニーのスタッフが数名と、私のファンの名前です。前回の「ディア ロンリーガール」のときに「私の名前が入ってたらよかったのに」って思ってくれてた子たちが喜んでくれることをしたかったんです。それとECDさんのお子さんの名前、くらしちゃんとえんちゃんも入れました。

──セルフサンプリングで言えば、「飛び立って『うちらの時代』を」と言うフレーズが気になりました。これはどんな思いで書いたんですか?

加藤ミリヤ

なんか、みんな窮屈に感じてる気がするんです。みんなと言うか世の中が窮屈な感じがして。だからもっと身軽になってほしいなって。いろんな考え方があっていいし、自分の中で凝り固まってる考え方から解き放たれて飛べる羽根を持ってほしい。そこで「うちらの時代」って書いたのは、うーん、ちょっと説明が難しいな……。

──ミリヤさんはこれまで「うちらの時代」という言葉を打ち出して、同世代感をアピールしてきました。「私」じゃなくて「私たち」みたいな仲間意識の強い表現をしてきたと思うんです。その分意地悪な言い方をすると、このフレーズを聴いて「もう私のところから離れて」と言われてるような気になる人もいるんじゃないかと。

その意識はちょっとあるんです。「みんな自由でいいじゃん」みたいな思いがある。足並みをそろえる必要があるのかな?みたいな。

──当時は「足並みそろえようぜ」みたいな意識があった。

すごくありました。十代の頃は足並みをそろえると言うか、「みんなで力を合わせないと大人に勝てない!」みたいな。

──だから、その旗振り役を買って出た。

そうです。でも、いつまでも十代じゃないんだから、っていう。大人になろうよ、みたいな思いはありますね。みんな同じバック持たなくていいし、同じ洋服着なくていいし。そういう感じはあります。

──深掘りすると、そういう自分をそろそろ解放したいという思いから、この言葉が出てきたのかなって思ったんです。旗振り役として、「同世代の女性たちへ」みたいな歌を表現してきたけれど、そのこと自体に窮屈さを感じてるのかなと。

その通りだと思います。だから、そういうことをこの曲でやり切りたいと、すごい思ってました。ずっとライブとかでも「私の歌」じゃなくて「私たちの歌」みたいなことを言ってきて。でもそれって私が思うことじゃないなって気付いたんです。そう思ってくれるのはうれしいけど、「自分はこうあるべきなんじゃないか」っていうことをやたらと考えてきてたんです。でも、今は自分の気持ちよさを求めて歌を作りたいモード。だから、冒頭に話したように音を求める方向に進んでるんだと思う。

──なるほど。

常にメッセージ性みたいなのに囚われてる自分がいて。そこに囚われると、同世代の子のことが浮かんできちゃうんですね。実際、その子たちのおかげで今の自分があるし、「ディア ロンリーガール」があるから今の私があると思ってるんです。だからこそ、その一番の核となる曲をもう1回、新約として歌おうと。自分で勝手に責任を持っていたことと言うか、誰にも頼まれてもしてないのに「自分はこれをやるべきなんだ」って思ってた重荷を1回自分の中で降ろしたい、それに落とし前を付けたいっていう気持ちはあったと思います。

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渋谷という迷宮

加藤ミリヤ
「新約ディアロンリーガール feat. ECD」
2017年12月6日発売 / Sony Music Records
加藤ミリヤ「新約ディアロンリーガール feat. ECD」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
1700円 / SRCL-9602~3

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加藤ミリヤ「新約ディアロンリーガール feat. ECD」通常盤

通常盤 [CD]
1300円 / SRCL-9604

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CD収録曲
  1. 新約ディアロンリーガール feat. ECD
  2. 迷宮
  3. 少女時代-DFT remix-
初回限定盤DVD収録内容
  • 「新約ディアロンリーガール feat. ECD」Music Video&Making

加藤ミリヤ Christmas Premium Live -歌の会 2017-

2017年12月11日(月)大阪府 Billboard Live OSAKA
[1st]OPEN 17:30 / START 18:30
[2nd]OPEN 20:30 / START 21:30
2017年12月18日(月)東京都 Billboard Live TOKYO
[1st]OPEN 17:30 / START 18:30
[2nd]OPEN 20:30 / START 21:30
加藤ミリヤ(カトウミリヤ)
加藤ミリヤ
1988年生まれ、愛知県出身のシンガーソングライター。2004年9月にシングル「Never let go / 夜空」でメジャーデビューする。その後「ECDのロンリーガール feat. K DUB SHINE」のアンサーソングである「ディア ロンリーガール」、UA「情熱」をサンプリングした楽曲「ジョウネツ」など話題作を数多く発表。女性からの共感を呼ぶリアルな歌詞が魅力で、同年代女性のカリスマとして支持されている。2009年5月には同い年の清水翔太とコラボシングル「Love Forever」を発表し、人気アーティスト同士の共演は大きな話題を集めた。また同年11月には初の日本武道館ワンマンライブを開催。2011年に初のベスト盤「M BEST」でオリコン週間ランキング初登場1位を記録した。2014年には清水とのコラボツアー「加藤ミリヤ・清水翔太 THE BEST 2MAN TOUR 2014」で全国を回る。翌年には峯田和伸(銀杏BOYZ)とのコラボシングル「ピース オブ ケイク -愛を叫ぼう- feat. 峯田和伸」を発表。2016年には小説家として、自伝的小説「幸福の女神」を刊行する。2017年4月にはアルバム「Utopia」をリリースし、12月に「ディア ロンリーガール」を再構築した「新約ディアロンリーガール feat. ECD」を発表した。