老若男女が一緒に思いっきり歌える「みんなのうた」

──アルバムのオープニングを飾る「Kissing」という曲はかなり面白い仕上がりですよね。収録されているほかのすべての曲たちに関連したワードが歌詞に散りばめられていて、アルバム自体のイントロダクションになっているっていう。

片桐　そうなんですよ。アルバムのタイトルソングとしてどういう内容にしようかなっていうのを考えながら、これもまさにセッションで作っていきました。全部の曲のワードを入れていく作業はパズルみたいで面白かったですね。

──この曲からすでに舞子さんのボーカルの幅広い魅力があふれていますよね。

片桐　けっこうキーの低い声も出てますもんね。純ちゃんの弾いてるピアノに合わせて歌ってたら自然とそうなっちゃいました。

河井　そうね。結果的にボーカルのトラック数がハンパないことになりました（笑）。

──3曲目に「F&R」という曲がありますが、このタイトルの意味は1曲目を聴かないとわからないっていう仕掛けもすごくおもしろくて。

片桐　うん。私たちが大好きなドラマをイメージして作ったラブソングなんです。この曲と、その前の「Just For You ～君だけが僕の未来～」はサウンド的にかなり「おっ！」と思いましたね。どっちもMAY'Sらしさと新しさが融合してる感じなので。

──確かにそういう雰囲気がありますね。ともにホーンがすごく効果的に使われているのもポイントだと思います。

片桐　2曲ともサックスソロが入ってますからね。

河井　染みますよねえ。管楽器ってやっぱいいなって改めて思いました。

──河井さんは、特に手応えを感じている曲ってありますか？

河井　僕的には「みんなのうた」と「結婚しようよ」が面白かったですね。生楽器を演奏してくれたミュージシャンの方の力で大きく変わった曲だったので。「みんなのうた」は特にデモに比べてファンキーさが増したし、グルーヴ感がすごく出たと思います。

片桐　どっちもちょっとほっこりする曲だけどね。

──「みんなのうた」は教育テレビで流れてもおかしくないような曲ですよね。舞子さんが歌のおねえさんになりきってるっていう（笑）。

片桐　まさに振り切ってそういうところを狙いました。私たちのファンの子って、みんなライブでものすごく歌ってくれるんですよ。ちょっと歌うっていうレベルじゃなくて、ガチでカラオケやってますくらいな音量で（笑）。なので老若男女みんなが一緒に思いっきり歌える曲を作ったらいいんじゃないかなって思ったんですよね。どんだけみんなに楽しんでもらえるかっていうことだけを考えて、ゲラゲラ笑いながら歌詞を書きました（笑）。

ラブソングでお客さんをしっかりロックできたら

──さまざまなタイプのラブソングがある中で、「PaPa」ではお父様への愛を歌っているのもすごく印象的でした。

片桐　この曲はノンフィクションでお届けしております（笑）。MAY'Sにはインディーズ時代に作った「MaMa」という人気曲があるんですけど、それを出した頃から「パパの歌はないんですか？」っていう声をたくさんいただいておりまして。それがようやく実現した感じなんですよね。

──今まではなかなか書けなかった？

片桐　そうなんですよ。お母さんに対しては同性の友達みたいな感覚があるから若い頃でも曲にすることができたんですけど、お父さんに対してはちょっと照れもあるし、なかなか書くことができなくて。でもこの歳になると、昔にお父さんが心配して怒ってくれた気持ちがわかるようになってきたので、やっと言葉にすることができたというか。まさに今じゃなきゃ書けなかった曲になったと思いますね。

──もう聴いてもらいました？

片桐　まだ聴かせてないんですよ。ただお父さんは私のブログを見ているので、曲のタイトルで「ハッ！」としてるかも（笑）。

河井　「MaMa」のときはライブで初めて聴いてもらったんだよね。そのときはもう舞子もお母さんもスタッフもみんなが大号泣で（笑）。なので今回も反応が楽しみです。

──本作がリリースされるとすぐにツアーがスタートします。そこにかける意気込みを最後に聞かせてください。

片桐　リリースしてほんとにすぐ始まるので、自分たち的に「大丈夫ですか？」っていう感じなんですけど（笑）、とにかく楽しみではありますね。あまり肩ひじ張らず、丁寧にアルバムの曲を届けていけるようなライブにできたらいいなと思ってます。

河井　今回のアルバムにはいかにも盛り上げるぞ的なアップテンポな曲って実は入ってないんですよ。そういう意味では、この作品のテーマであるラブソングという部分でお客さんをしっかりロックできたらいいなと。それが成功すればMAY'Sとしてまた1つ成長できそうな気がするので。

片桐　あ、あと「みんなのうた」にはみんなで一緒に踊れるような簡単な振りも付けたんですよ。その振り付けビデオをYouTubeで公開しているので、予習してからツアーに来てもらえるとより楽しんでもらえると思います。ほんとに歌のおねえさんみたいになってる私をぜひ見てください！（笑）