ナタリー PowerPush - 摩天楼オペラ
“劇的ロック”集大成アルバムを全曲解説
M-6「Stained Glass」、M-7「Jolly Rogerに杯を」
──それまでの雰囲気がダークな「3時間」で一気に変わり、そして6曲目のインストナンバー「Stained Glass」でまたアルバムの空気感が変化します。
Anzi 苑がアルバムタイトルを「AVALON」にしたいと言ったその日に、こういうインストを作りたいっていうビジョンが浮かんだんですけど。旅……“人生の旅”をイメージした曲にしたいなというのは、最初からありましたね。そんなことを考えていたら、急にこのメロディが降りてきたんです。そこから「あ、ヤバい。今やらないと忘れちゃう!」と焦って、一気に作った感じですね。半年くらい前、ブログに「音楽の神様からいいメロディが降ってきたから、これを形にしたい」みたいなことを書いたんですけど、それがこの曲のことです。
──そしてインストの「Stained Glass」から7曲目「Jolly Rogerに杯を」へと流れていきます。この曲は海賊をテーマにした歌詞ですが。
苑 この曲からも海賊らしさを感じたんですけど、実は1つ前の「Stained Glass」からも非常に感じていたんです。なのでこの歌詞は「Stained Glass」を含めた2曲分の世界観をぶち込んだものなんですよ。海賊旗を掲げて宴をして、「俺たちが世界で一番!」と言ってるような絵が浮かんで……そういう男としての力強さが合うなと思って、書きました。
──「Stained Glass」も「Jolly Rogerに杯を」もAnziさん作曲ですが、これは最初から2曲続けて収録するのを想定していたんですか?
苑 想定してなかったんですけど、悠がこの2曲を並べたいと言ったところから、僕もそのモードに入ってしまって。
悠 「Stained Glass」を聴いたときに「あ、これ『Jolly Rogerに杯を』とつながるじゃん」と思って。この2曲は絶対にくっつけて入れたいっていうことを、メンバーに強くアピールしました。
Anzi もともと「Jolly Rogerに杯を」はこのアルバムのために作った曲ではなくて、ストックとして残していたものだったんです。悠が「Stained Glass」を聴いたときに「Jolly Rogerに杯を」のメロディと近いものを感じて、2曲をくっつけて入れたらアルバムにおいてすごくドラマチックな見せ場になるんじゃないかと言ってくれたのが、大きなきっかけですね。
──じゃあこの2曲を並べなかったら、歌詞も今とは違うものになっていたかもしれない?
苑 そうですね、まずこういう海賊がテーマの歌詞にはならなかったと思います。まあ今となっては、もう違う歌詞が想像できないんですけどね。でもほかの曲を聴きながら別の曲の歌詞を書くっていうのは、初めての経験でしたよ。
M-8「クロスカウンターを狙え」、M-9「蜘蛛の糸」
──続いて8曲目「クロスカウンターを狙え」。インパクトの強い歌詞ですが。
苑 背水の陣で、敵のパンチをかわして一発逆転を狙うみたいなイメージで書きました。
──「Jolly Rogerに杯を」と「クロスカウンターを狙え」という並びは、たまたまかもしれないですけど力強さ、男らしさが強調されたものになりましたね。
苑 そうですね。実は9曲目の「蜘蛛の糸」もその流れにある楽曲なんです。特に今回は男らしくて前向きな歌詞が多いかもしれないですね。
──その「男らしさ」「前向き」というキーワードは、常に苑さんの中にあるものなんでしょうか?
苑 これだけ歌詞に出てくるってことは、きっとそういうことなんでしょうね。振り返ってずっと後ろ向きでいるような時期って、あんまりないですし。後ろ向きになりそうになったら、とりあえず友達と飲んで気持ちを切り替えて、その次の日はまた前向きにいくっていうのが僕のスタンスなんで。これだけ前向きな歌詞が生まれるってことは、きっと今は前向きに生きてるってことなんでしょうね。
──「蜘蛛の糸」も春のツアーで先行披露していた1曲なんですよね。ということは、この曲もレコーディングの早いタイミングで生まれたものなんでしょうか?
悠 彩雨がこの曲の原曲を持ってきたのって、けっこう前だよね?
彩雨 そうだね。シングル「GLORIA」のツアー前ぐらいかな。
悠 じゃあ2年くらい前かな。原曲は今とは違った感じだったんですけどね。
彩雨 曲の中で「HEY!!」っていっぱい言いたかったんですよ(笑)。だから最初の仮タイトルも「HEY!!」でしたし。
Anzi この曲の冒頭にライブの音声が入ってるんですけど、これは「journey to HEAVEN Tour」のファイナル、SHIBUYA-AX公演の音声なんですよ。だからライブに参加した子にとっては、うれしいんじゃないかなって。もうAXもなくなってしまいましたし、いい記念になりますよね。
──実際「HEY!!」のシンガロングパートがすごく印象的ですし、ライブでの盛り上がりが想像しやすい1曲ですよね。
苑 そうですね。実際ライブで初めて聴いてもすぐノレる単純さがある曲なので。それで前回のツアーでも演奏したんですよ。
──同じタイミングで先行披露された「天国の扉」が複雑な展開を持つ曲なだけに、このストレートさは対照的ですね。この2曲を当時ライブで聴いたファンの皆さんは、きっと「次のアルバム、どんなことになるんだろう?」って戸惑ったんじゃないかと思いました。
苑 そこに「Orb」のような曲もあるわけですから、余計混乱したかもしれませんね(笑)。
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収録曲
- journey to AVALON
- 天国の扉
- 隣に座る太陽
- 輝きは閃光のように
- 3時間
- Stained Glass
- Jolly Rogerに杯を
- クロスカウンターを狙え
- 蜘蛛の糸
- 友に捧ぐ鎮魂歌
- Orb
- 天国の在る場所
初回限定仕様特典
- 小林智美氏書き下ろしイラスト外箱付き
- アナザージャケット1種ランダム封入(全5種/メンバーソロ写真仕様)
- シングル『隣に座る太陽』との2作連動プレゼントキャンペーン応募券封入
摩天楼オペラ「AVALON TOUR」
- 2014年9月17日(水)東京都 TSUTAYA O-EAST
- 2014年9月19日(金)石川県 Kanazawa AZ
- 2014年9月20日(土)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2014年9月23日(火・祝)北海道 札幌KRAPS HALL
- 2014年9月25日(木)青森県 青森Quarter
- 2014年9月27日(土)岩手県 Club Change WAVE
- 2014年9月28日(日)宮城県 darwin
- 2014年9月30日(火)大阪府 BIGCAT
- 2014年10月2日(木)広島県 ナミキジャンクション
- 2014年10月4日(土)熊本県 DRUM Be-9 V2
- 2014年10月5日(日)福岡県 DRUM Be-1
- 2014年10月7日(火)愛媛県 松山SALONKITTY
- 2014年10月9日(木)兵庫県 神戸VARIT.
- 2014年10月11日(土)京都府 磔磔
- 2014年10月13日(月)愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2014年10月18日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
摩天楼オペラ(マテンロウオペラ)
2007年に結成されたロックバンド。2008年に苑(Vo)、Anzi(G)、燿(B)、悠(Dr)、彩雨(Key)という現在の編成になる。叙情的な歌詞とシンフォニックメタルからの影響が強いサウンドが特徴で、国内のみならず海外でもCDリリースやライブ活動を展開。2010年5月に初のホールワンマンライブを渋谷公会堂(当時・渋谷C.C.Lemonホール)で実施した。同年12月にはミニアルバム「Abyss」でメジャーデビュー。2011年7月にリリースしたメジャー1stシングル「Helios」は、オリコン週間ランキング初登場16位を記録した。同年10月にはメジャー2ndシングル「落とし穴の底はこんな世界」を発表。同月にさいたまスーパーアリーナで行われた「V-ROCK FESTIVAL '11」にも出演し、大きな注目を集めた。2012年3月、メジャー1stフルアルバム「Justice」を発売。同年後半に「喝采と激情のグロリア」というコンセプトのもとに、「GLORIA」「Innovational Symphonia」という合唱をテーマにしたシングルを連続リリースした。2013年3月にメジャー2ndアルバム「喝采と激情のグロリア」を発売。同年6月にはZepp Tokyoで単独ライブを行った。2014年7月にニューシングル「隣に座る太陽」を発表。9月3日にはメジャー3rdアルバム「AVALON」をリリースし、日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブを含む全国ツアー「AVALON TOUR」を9月から10月にかけて実施する。