Maison book girl「umbla」 PR

Maison book girl|長い夜が明けた先に、広がっていた“闇色の朝”

4月に発表したシングル「SOUP」の収録曲「鯨工場」と「長い夜が明けて」の2曲で、それまでの世界観とはひと味違った新たなストーリーを紡ぎ始めたMaison book girl。彼女たちが7月31日にリリースしたニューシングル「umbla」は、その続編のように物語をさらに先へと進める1枚になった。リード曲「闇色の朝」は複雑に絡み合うアコースティックギターのフレーズと、突然不穏な展開を迎える間奏パートが印象的な楽曲。柔らかな光で包み込むようなカップリング曲「シルエット」も併せて、いずれも歌の表現力が増した今のメンバーだからこそ作ることができた曲と言えるだろう。

音楽ナタリーでは今回、メンバー4人へのインタビューを実施。「umbla」の収録曲や、このシングルの初回限定盤Blu-rayにライブ映像が収録されている4月の東京・昭和女子大学人見記念講堂ワンマンライブについて、そしてそれぞれの近況などについて話してもらった。

取材・文 / 橋本尚平 撮影 / 永峰拓也

ライブハウス公演は自分たちにライブのすべてがかかっている

──6月からライブハウスツアーを開催中ですが、今回は初めて訪れる街も多いですよね。

コショージメグミ 行ったことがないところばっかりです。新潟と北海道くらいかな、ワンマンをやったことがあるのは。

井上唯 だから、初めてライブに来てくれたみたいなお客さんもちらほらいて。「ずっと曲を聴いてたけど、初めて観れました」みたいな。

矢川葵 あと、「東京にワンマンを観に行ったことはあるけど、ホール公演では特典会がなかったし、地元に来てくれたから初めて一緒にチェキを撮れます」っていう人とかもいたりして。たくさんの人が「地元で会いたい」と思ってくれてたんだなというのがわかって、すごくうれしかったです。

和田輪 だから「初めて見る顔だけど、ワンマンのTシャツを着ている」っていう人がいっぱいいたよね。そういう人たちは、いろんな特別な演出を詰め込んだホールでのワンマンだけを観ているので、「ライブハウスでも4人のパフォーマンスだけで映えないといけないな」というプレッシャーはあります。

Maison book girl

コショージ ホール公演だとVJさんとかスタッフさんとかがめっちゃいるから、私たちだけがステージに立っているんじゃなくて、みんなで1つのライブを作ってる感覚があるんですけど、ライブハウスツアーをしていると「自分たちのパフォーマンスにライブのすべてがかかっている」って感じがすごくするんですよ。たぶんそれが本来の私たちの姿だと思うんですけど。

井上 しかもライブハウスだと、会場によってはステージが低めで、後ろのほうの人はよく見えないということもあるので、どうすればそういう人たちに楽しんでもらえるかなって考えなきゃいけないんですよね。あんまり見えなかったという女の子からの声も聞くし、だったら歌声を隅々まで届けなきゃって気持ちになって。

──女子のお客さんが増えているのを感じますか?

コショージ そう言われます。新潟でライブをするとうちのお父さんが毎回来てくれるんですけど、今回のツアーで新潟に行ったときに、1年くらいぶりにライブを観たお父さんが「女の子増えたね」と言っていて、「あ、そうなんだ」って。たぶん、徐々に増えていってるから私たちは気付かないんですよね。

ライブ後に完全に静寂になったのが逆にうれしかった

──いろんな演出を詰め込んだライブといえば、「umbla」の初回限定盤のBlu-rayに映像が収録されている東京・昭和女子大学人見記念講堂での「Solitude HOTEL 7F」が直近ですよね(参照:首だけの鳥が「Solitude HOTEL」の世界へ招待、ブクガの人見記念講堂ワンマン)。あのライブはセットリストも含めてこれまでのブクガの歴史を総括したような内容で、現時点での集大成を見せていたように思います。

和田 あの前に「Solitude Hotel 6F hiru」「Solitude Hotel 6F yoru」「Solitude Hotel 6F yume」という3つのワンマンライブがあって、それぞれの公演で違うことを突き詰めようというのがコンセプトだったんですけど、それを踏まえて「7F」は1つのライブとして総合的に完成したものをやれたなと思っていて、自分たち的にも手応えがありました。

コショージ 「現時点での集大成」という捉え方は、ある意味合っていると思います。ワンマンのコンセプトは毎回、ほぼ“裏テーマ”みたいな感じで一応なんとなくあるんですけど、集大成だと思ってもらえたなら、それについて伝わっているなと。

──みんなに伝わっていたと思いますよ。ライブレポートを書いていた音楽ナタリー編集部の人も「今日で解散しちゃうんじゃないか」って、ずっとドキドキしながら観てたそうなので(笑)。

和田 その感想はすごく多かったです(笑)。

──終盤に歴代の衣装に着替えるのも、ラストライブでやりそうな演出ですしね。

井上 それもめっちゃ言われたよね。

コショージ 大丈夫です。その後の新しい衣装もちゃんと作ってもらいましたよ(笑)。

──アンコールで披露された「長い夜が明けて」での渾身のパフォーマンスは非常にインパクトがありました。2日後にYouTubeで公開されたそのライブ映像もかなり反響があったようですね。

井上 あれ、体を濡らして歌ってたんですよ。だから、すごく気持ちを込めてパフォーマンスしてはいたんだけど、滑らないようにしなきゃってずっと気になってて(笑)。

矢川 リハのときに、試しに靴と床だけ濡らして踊ってみたらすごく滑ったんですよ。靴を履かないでやってみるのも1回試したんですけど、それでもちょっとダメそうで。そしたらサクライ(ケンタ。Maison book girlのプロデューサー)さんに「滑るのを気にして恐る恐る踊るよりは、滑ってもいいから思いっきり踊ったほうがいい」と言われて、「そうですよねー」ということになったんです(笑)。

──「長い夜が明けて」はシングルのカップリング曲ですが、あの日のパフォーマンスを境に、Maison book girlの新しい代表曲の1つになったんじゃないかと感じました。

井上 あの曲はツアー初日の福岡で初披露したんですけど、そのときからすごく反応がよかったですね。

和田 うん、口伝えに「評判いいですよ」と聞きました。Twitterとかで褒めてくれてるのを目にしたり。

──ライブ中に直接反応を感じたわけじゃないんですか(笑)。まあ、ブクガのライブはお客さんが静かですからね。

コショージ 本当にそうなんですよ。静か。だから実感がないんですかね?

和田 「わー!」って言ってもらえるタイプのライブじゃないですからね。「長い夜が明けて」のライブ映像を観ると、最後の引きのシーンで、ホールいっぱいに人が入ってるのに完全に静寂になったんですよ。あのお客さんの反応は、私は逆にうれしかったです。

──あれは観客が圧倒されて声が出なくなっている状態ですからね。

和田 私たちのライブを観て、そういう熱の伝わり方をしたというのはすごくうれしいです。

コショージ いや、めちゃくちゃ引いてたのかもしれないけどね。2000人くらいの人が一気にドン引き(笑)。