音楽ナタリー PowerPush - MAGIC OF LiFE
“命の魔法”を掲げて歌う10の物語
10個の物語を書いたストーリーテラーの思い
──1曲目「First morning」はアコースティックギターの入った柔らかい曲です。これまでの作品だと1曲目にこういう曲が入ってることはなかったので、印象がガラッと変わったように感じました。
確かにそうかも。この曲は記憶をさまよう感じのストーリーで、民謡の響きにしたいなと思ってこういう曲調になりました。
──歌詞にはどういう思いを込めているんでしょうか?
忘れてほしくないっていうことですね。
──それはMAGIC OF LiFEのことを?
そうです。バンドというチームで音楽をやってるので、いつ曲を作れなくなるかもわからない。いつもこれが最後だと思って曲を作ってるんですね。だから、この曲が聴いた人の心に寄り添って、ずっと残るような曲になれればいいなと思って作りました。曲の中の主人公が「初めまして」を何回も繰り返してるっていうことと、最後にコーヒーが紅茶に変わっても日々が続いていくっていうところで、MAGIC OF LiFEというバンドのことも表現しています。
──6曲目「りんご飴」は収録曲の中でも一番リアリティを感じました。歌詞に出てくる神社「二荒山神社」は日光にある神社ですよね?
実は……「ふたあらさん神社」っていうのが日光で、「ふたあらやま神社」っていうのが宇都宮にあるんですよ。その宇都宮の神社の「ふるさと宮まつり」(夏祭り)に学生時代よく行っていて。その実体験を基に書きました。アルバムの中で唯一のノンフィクションかな。
──最後の「storyteller」だけは物語じゃないんですよね。
そうです。“ストーリーテラー”は自分自身なので、僕の思いをつづっています。このストーリーテラーが前の10曲を書いたということで「こういう思いで10曲を書いたんですよ」って歌っているんです。10個の物語を歌って、最後に自分自身が出てくるという……こういうコンセプトアルバムを作りたかった。
──曲によって歌い方が違って、主人公が曲ごとに違うということを感じられます。
うれしい! 登場人物の性別で歌い方を替えたり、強い部分……例えば「手段を選んでられるか」(「Joker's hourglass」)とか「飛び出していけ」(「balletto」)っていう強い言葉をがなったり、そういう歌い分けもやっとできるようになりました。
歌詞が大好き
──10個の物語はどうやって考えていったんですか?
僕は全然天才じゃないので、曲を書くために映画を観たり小説を読んだりするんです。小説から引っかかるワードを見つけて自分の物語を作ったり、映画の予告編に出てくる言葉からインスピレーションを受けたり。そこから自分の中で何か絵が見えて、歌詞にしていくというのが多いです。今回だと「Zombie(s)」「箒星の余韻」「Joker's hourglass」「balletto」あたりがそうかな。
──その絵や物語に、ご自身の思いを入れていくんですね。
はい。メンバーといるときに出てきた思いや、他人への嫉妬、誰かを愛する気持ちなどを入れていきました。歌詞っていうのは映画でも小説でもないので、ここでしかないものが作れるんですよね。メロディとハマればなんでもありな作品。歌詞のない間奏を使うことで時系列を動かしたり余白を埋められたりするから、本当に自由だし。だから僕は歌詞っていうものが大好きですね。これだったら誰にも負けない、胸がいっぱいになれるものを作れるっていう誇りを持ってやってます。
──バンドでアレンジしていくうちに、高津戸さんがイメージしている絵とかけ離れてしまうことはないんですか?
メンバーには歌詞を最初に渡して、情景を説明したり自分の思い描いている音を伝えたりしながらアレンジを詰めていくんです。「ここでゾンビの少年が歩いてるから怪しい感じにして」とか。なのでそんなにかけ離れるということはないですね。
──11曲の中で、気に入っている1曲を挙げるならどの曲ですか?
「storyteller」です。この曲ありきでアルバムを作ったんで。メンバーが変わってもバンド名が変わっても、昔から変わらずに歌い続けていたことをありのままに出しました。
──この曲は特にボーカルが際立っていて、アルバムの最後にグッと締まりますね。
ありがとうございます。ライブでも最後に歌える曲を作りたいなと思っていたのでできてよかったです。いつもはアルバムができると、好きなものを好きな順番で聴いてもらえればっていう感じだったんですけど、今回は曲順にもこだわったので順番に聴いてもらえたらなと。そして歌詞を読んでその世界に浸ってもらえればうれしいです。
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- ニューアルバム「Storyteller」2015年3月25日発売 / フォーチュレスト
- 「Storyteller」
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / MOLF-1002 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 2916円 / MOLF-1003 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- First morning
- Joker's hourglass
- balletto
- ジェットモンスター
- 箒星の余韻
- りんご飴
- Zombie(s)
- ソラヘノ欠片
- 月に揺られて
- リリム
- storyteller
初回限定盤DVD収録内容
Blazing TOUR 2014 FINAL 2014.7.11 at.LIQUIDROOM ebisu
- 弱虫な炎
- 変えるのうた
- pain+
- doors
- 桜川
- In room
- following page
- elif
- I'm Ready
- メリーゴーランド
- 呼吸
- 夜空のBGM
MAGIC OF LiFE「Don't Stop Music fes.栃木」2015年4月19日(日)栃木県 栃木市総合運動公園 総合体育館 / OPEN 12:00 / START 13:00
出演者
MAGIC OF LiFE / Suck a Stew Dry / シナリオアート / 真空ホロウ / Northern19 / Rhythmic Toy World / Lyu:Lyu / 空想委員会 / GOOD ON THE REEL / sumika / SHIT HAPPENING(オープニングアクト)
MAGIC OF LiFE(マジックオブライフ)
高津戸信幸(Vo, G)、山下拓実(G)、渡辺雄司(B)、岡田翔太朗(Dr)の4人からなるバンド。2004年に栃木県宇都宮市で「DIRTY OLD MEN」として結成し、インディーズ時代にシングル1枚、ミニアルバム3枚、フルアルバム1枚を発表している。2010年5月にはミニアルバム「Time Machine」でメジャーデビュー。翌2011年2月にはメジャー1stアルバム「GUIDANCE」をリリースし、ツアーや「ROCK IN JAPAN FES」などの夏フェスに精力的に出演した。しかし、2012年3月にオリジナルメンバーだったベースとドラムが脱退。新たに岡田翔太朗(Dr)と渡辺雄司(B)が加入し、5月に2ndアルバム「doors」をリリースする。その後、インディーズに拠点を移し、12月に過去の楽曲をまとめたベスト盤「prologue」を、2013年3月にアルバム「I and I」、2014年5月にアルバム「Blazing」を発表した。同年10月に「DIRTY OLD MEN」から「MAGIC OF LiFE」へと改名し、2015年3月にコンセプトアルバム「Storyteller」をリリースした。同年4月には栃木・栃木市総合運動公園 総合体育館で自主企画イベント「Don't Stop Music fes.栃木」を開催する。