ナタリー PowerPush - LOW IQ 01
ソロの醍醐味を存分に楽しんだ 3年ぶり新作「MASTER LOW GO」
音楽はすっごく真剣にやってる趣味
──今回のアルバムは、テーマを決めてかなり前から制作されていたんですか?
前回の「MASTER LOW FOR…」以降の曲もあるし、それより前の曲っていうのもあるんですけど……ぶっちゃけ、なんもコンセプトがないっていうのがテーマかなって思ってるんですね。毎回コンセプトはないです。あえてテーマとかコンセプトを作んないようにしてやってると、後付けになるかもしんないんスけど、ジャケットや歌詞や内容なんかが、点と線でつながる感じなんですよね。だからまぁ今回もこういうふうにすんなりいったっつうのは、狙わなかったとこが良かったのかなぁと思って。狙わず気負わずっていうか、力はすごい抜けてんですけど、パワーはある、みたいな感じのものが自然に出た感じですね。
──それは先程おっしゃってた、煮詰まったら距離を置く、限界を設けない作り方からきてるんでしょうね。
そうですね。こう……好きでいたいんですよね、音楽を。作るだけじゃなくて楽器を弾くことも、曲作んなくても楽しいし。あるとき「自分の趣味ってなんだろう?」と思ったんですよ。子供の頃はいっぱいあったんですけど……プロレスが好きとか。大人になってみて、「あれ? 俺、趣味なんだろう?」と思ったら音楽なんだなぁ、と思って。うん。
──残った感じですか。
すごく不謹慎かもしんないけど、趣味なんですよね(笑)。すっごく真剣にやってる趣味。それが……人前でできるようになったのかなっていう感じでもあるんで。
──なるほど。気負わず集まってきた曲っていうことなんですね。でも今回は例えばボッサっぽい曲でもソリッドというか。
や、まさしく今回のインタビューでよく出てくる言葉なんですけど、コンセプトはないけど、ソリッドっていうことは言葉にして言ってんですよ。以前のものは、これにまた足してこれ足して、みたいな感じで作ってたことが多くて。そうなると元の味がわかんなくなってしまう。そうじゃなくて素材って僕が呼んでる、歌メロのラインなんかのパーツがしっかりしていれば、あれもこれも入れたりしなくていいんだなって。それができたから、今回はソリッドになったのかなと思います。
「DISAPPEAR」の原型ができたのは17歳のとき
──これだけいろんな音楽ジャンルがあって、何をやってもいいわけだから、そうなってくると作り手がどんなサウンドデザインをしてるかが、特徴になってきますよね。
うん。骨格は変わらず、みたいな。そこにちゃんとLOW IQ 01があれば、何々風、何々チック、じゃないようになるって感じですかね。
──イチさんの曲の良さはもちろんありつつ、最終的なサウンドデザインの統一感にグッときました。
ありがとうございます(笑)。
──以前の曲もあるということですけど、今回、早めにできたのはどの曲ですか?
えっと、「DISAPPEAR」って曲なんですけど、これの原型は17歳ぐらいのときに作ったんです。
──(笑)。17歳っぽいですね。
だから意外に「最近のいっちゃんにしたら珍しいマイナーコードの曲だね。それ、今、狙って作ったの?」って思われることが結構あって。でも違うんですよ、元々こういうものもできるんですよっていうのを言いたくて。「17歳のときに原型があった曲なんです、それを23年経てこういう形にできました」と。
──23年、なんでやらなかったんでしょうね?
……降りてこなかったんでしょうね(笑)。自分でGOを出さなかった。でも、やるってことは、そのときから「いい曲だな」って自分でもわかってたんだと思います。「いつか形に」と。で、それを忘れてなかったってとこが良かったなぁと思います。
──17歳のときは、今みたいな内容で歌おうと思ってたんですか?
いや、全然ないです! そうじゃなかったですね。やっぱり「世の中間違ってる」と思ってたし、その頃はその頃でイキがってたと思うし。また全然違う曲だったと思います。
CD収録曲
- Master of Ceremony
- GARDEN
- Mr. Jones
- FINE LINE
- MUSIC MATCHES TUNING OF THE WORLD (English Ver)
- DISAPPEAR
- ADDICTED TO THAT FACE
- Don't Mean Nothing (ALT Ver)
- A MAP SONG
- Summer Night Scent
- PRETENDER
- DIS IT
- FIREWORKS
LOW IQ 01(ろうあいきゅーいち)
10代の頃から数々のバンドでベース、ボーカルなどを担当。アポロスのSAX奏者、會田茂一(EL-MALO、FOE)とのアクロバットパンチを経て、1994年にパンクロックバンドSUPER STUPIDを結成する。1996年にアルバム「WHAT A HELL'S GOING ON」でメジャーデビューを果たし、精力的な活動を展開。1999年にSUPER STUPIDが活動休止すると同時に、ソロ活動を開始。2007年1月発売のミニアルバム「THAT'S THE WAY IT IS」で、ソロ名義でもメジャーデビューした。2009年にはソロ活動10周年を記念し、彼の名曲をさまざまな世代のアーティストがカバーしたトリビュートアルバム「HELLO ! LOW IQ 01」が発売。さらに2010年には自身の愛する名曲カバーをコンパイルしたアルバム「MASTERPIECE MUSIC MAKES LOW IQ 01」もリリースされた。ライブではサポートメンバーを従えたバンドスタイルのLOW IQ 01 & MASTER LOW、恒岡章(Dr)とのユニット形式のLOW IQ & THE BEAT BREAKERなど、さまざまな形態でのパフォーマンスを行っている。