ナタリー PowerPush - LOW IQ 01
ソロの醍醐味を存分に楽しんだ 3年ぶり新作「MASTER LOW GO」
みんなと同じ格好しなくても僕は結構
──ビデオクリップでもめちゃめちゃ演奏してますよね。
サウンドがああいうサウンドなんで、楽器持ってなんぼかなってとこもありますし。
──しかもイチさんの、このアーティスト写真みたいなファッションでゴリゴリのギター弾いてるっていうのも重要だなと思って。
やっぱりどっか予定調和的なものへのアンチテーゼを求めてるのかな、と。いい言い方をすれば、あんまり人がやんないことをやりたがる、みたいなとこではあるのかなと思うけど。それって言わせてもらえば、賭けみたいなもんでもあって。俺はこれいい! と思ってるから。みんなと同じ格好しなくても僕は結構って思っているので。自分が似合ってると思い込めば(笑)、なんか格好も音楽も、点と線でつながると思うし。
──人によってはバンドTをずっと着てる人もいますよね。
うん。それもカッコいい。お気に入りのTシャツって、思い入れだし、メッセージでもあるんですよね。僕は好きですよ。だから僕は、あるムーブメントの中では異色っちゃ異色って言われちゃうかもしれないんですよね。簡単に言うと、AIR JAMのときとかね? 「なんでこんな暑い中、スーツ着て出てくんの?」みたいな(笑)。なんか自分であえてそういうふうに持っていってるような感じはあるのかもしれない。
──イチさんのそういう資質に影響を与えたヒーローっているんですか。
まさしく僕のヒーローはジャッキー・チェンなんです。子供の頃からのヒーローは。
──しれっと笑いながら、すごいことするような?
うん。もしかしたらドMなのかもしれないですね(笑)。わざと自分を傷つけて、高いとこから飛び降りたりするっていうのも、恐怖心ももちろんあると思うんですけど、どっかに気持ちよさもあるのかなっていう(笑)。じゃないとできないよ、って。人がやらないようなことを命がけでやってんだけど、表向きは何食わぬ顔をしながら、普通できないよ、ってことをやる。そういうところが、僕から見るとヒーローでもあるのかなと。
1人でライブをやってみたらどうなのかな
──だからイチさんも全部やっちゃうんですね。
あのー……できることをやろうかなと。若い頃、スーツ着てたっつうのは、実はちょっと背伸びしてたんじゃないかって思うんです。あえて人と違うことやりたいって思って、背伸びしてた。あの頃はみんな、半ズボン履いてTシャツっていうスタイルが確立されてた時期でもあったんで。ま、背伸びをするっていうことはいいことでもあって、突っ張ることでもあるし。僕、よく言うんですけど、「お洒落は美学だ」って。今でもそれはちゃんと持ってるし、いい背伸びはしたいなと思いますけど、無駄な背伸びはしなくてもいいのかなっていう感じはします。それこそ無駄な背伸びする時間があったら、余計な鎧は取ったほうが、のびのびできんのかな、って。
──これから、いい背伸びをするとしたら、どんなビジョンがありますか。
背伸びというか、やってみたいなと思うことは……これは相当、これから練習だったりしなきゃいけないことだと思うんですけど、僕のライブってMASTER LOWの大所帯なスタイルがひとつありますよね? で、一方でBEAT BREAKERという2人のパターンもある。だったら最後、1人でやってみたらどうなのかな? と思ったりするんですよ。要はアコースティックじゃなくて、リズム的なこともやりながら……ジャグリングとかそういうものに近いものですけど、そういうものもチャレンジできれば面白いと思います。
──ああ、想像できなくもないです(笑)。さて、前回はアルバムタイトルが「MATER LOW FOR…」で、今回は「MASTER LOW GO」。5枚目にかけてるにしても、ちょっと前のめりな感じがします。
リスタートとかリセットじゃないんです。でも、なんか1stアルバム出した感覚にちょっと近いかな、って感じはしますね、“濃さ”っていうものに関しては。
──わかりました。じゃあ最後に、今、震災後でなかなか先が見えない状況ですけど、間違いなくファンはツアーを待ってると思うので、一言お願いします。
そうですね。日々刻々、状況は変わってるんで、そういうことを見過ごさず、その中でベストな状況を探す、智恵を使う、助け合うっていうことを一歩一歩できればいいと思います。ホント、できることを探すしかないです。で、思うだけじゃなくて、体動かせればいいなと思います!
CD収録曲
- Master of Ceremony
- GARDEN
- Mr. Jones
- FINE LINE
- MUSIC MATCHES TUNING OF THE WORLD (English Ver)
- DISAPPEAR
- ADDICTED TO THAT FACE
- Don't Mean Nothing (ALT Ver)
- A MAP SONG
- Summer Night Scent
- PRETENDER
- DIS IT
- FIREWORKS
LOW IQ 01(ろうあいきゅーいち)
10代の頃から数々のバンドでベース、ボーカルなどを担当。アポロスのSAX奏者、會田茂一(EL-MALO、FOE)とのアクロバットパンチを経て、1994年にパンクロックバンドSUPER STUPIDを結成する。1996年にアルバム「WHAT A HELL'S GOING ON」でメジャーデビューを果たし、精力的な活動を展開。1999年にSUPER STUPIDが活動休止すると同時に、ソロ活動を開始。2007年1月発売のミニアルバム「THAT'S THE WAY IT IS」で、ソロ名義でもメジャーデビューした。2009年にはソロ活動10周年を記念し、彼の名曲をさまざまな世代のアーティストがカバーしたトリビュートアルバム「HELLO ! LOW IQ 01」が発売。さらに2010年には自身の愛する名曲カバーをコンパイルしたアルバム「MASTERPIECE MUSIC MAKES LOW IQ 01」もリリースされた。ライブではサポートメンバーを従えたバンドスタイルのLOW IQ 01 & MASTER LOW、恒岡章(Dr)とのユニット形式のLOW IQ & THE BEAT BREAKERなど、さまざまな形態でのパフォーマンスを行っている。