音楽ナタリー PowerPush - 愛乙女★DOLL
苦難を乗り越えてつかんだメジャーという星
愛乙女★DOLL(通称:らぶどる)がメジャー2ndシングル「セツナツ、ダイバー」をリリースする。メジャーデビュー曲「High Jump!!」とは打って変わって“メジャー感”を意識して制作されたこの曲は、夏の終わりの切ない恋心がテーマ。キャッチーなメロディと物語を連想させるフォーメーションダンスが魅力的なナンバーに仕上がっている。
今回ナタリーでは「セツナツ、ダイバー」発売に際してらぶどるのこれまでを振り返るインタビューを実施。愛迫みゆ、岩崎夢生、佐野友里子、ハルナの4人にアイドルになったきっかけからグループ初期の葛藤、そしてメジャーデビュー後の心境などを聞いた。また同シングルのカップリング曲「さよならと君が言った」「少女アステリア」の2曲ではグループを2チームに分けてのユニットバトルが展開中。そのユニットキャプテンである芦崎麻耶と都築かなにキャプテンとしての意気込みなどを語ってもらった。
さらに全編沖縄で撮影された「セツナツ、ダイバー」のビデオクリップ密着レポートを写真とともにお届けしていく。
取材・文・レポート撮影 / 古川朋久 インタビュー撮影 / 塚原孝顕
アイドルをやるつもりはなかった
──結成から3年が経ちました。ここまでの時間は長く感じましたか?
愛迫みゆ 長かったかもしれないんですけど、今年メジャーデビューすることができてから時間の流れ方が本当に早くて。現在進行形でそう感じているのでトータルで考えるとやっぱりあっという間だったのかなと思います。
岩崎夢生 自分たちがどうしたらいいかわからなくなっちゃった時期があったんですけど、そのときはすごくつらくて長く感じました。でもそこから抜け出したあとはトントンって進んでいけたので私も早いなと感じてますね。
──愛迫さんと岩崎さんは初期の頃からグループを支え続けてきました。もともとどういった経緯でアイドルをやろうと?
愛迫 私はモーニング娘。さんを好きになったのがアイドルにハマったきっかけで。それからハロプロのオーディションを受けたり歌唱力を伸ばすために歌のレッスンを受けたりと夢に向かってがんばってきました。でもオーディションには受かることはなくて。そんなときにママがAKB48のオーディション応募を見つけてくれて、7期研究生に合格したのが最初のアイドル活動でした。
──AKB48としての活動を終えたあとも歌に携わる仕事がしたいと考えて再びこの世界に戻ってきたと?
愛迫 辞めてから1年くらいはアルバイトをして過ごしてたんですけど、やっぱりこれじゃないなって。そこで何かしら行動を起こしたいと思ってソロシンガーのオーディションを受け始めるんですけど、当時のらぶどるのプロデューサーに「やってみない?」って誘われてグループを結成することになったという経緯で。なので実はAKB48を辞めたあと、アイドルをやるつもりはなかったんですよ。
──ソロシンガーとして活動していこうと考えていたのに、やはりアイドルになってしまうという。これもまた運命でしょうか。
愛迫 ですね(笑)。話がどんどん進んで仮ユニットができて、現在に至るという。
──そして愛迫さんに続いて少し時間が経ってから岩崎さんが加入されました。
岩崎 私もハロプロさんのオーディションを小学校3年生くらいから受けてました。いいところまでいくこともあったんですけど、受かることはなくて。だからそこで「私はアイドルに向いてないんだ」って思って1回オーディションを受けることを諦めたんです。でも中学、高校と進むにつれてその頃流行ってたAKB48さんに憧れるようになって。AKB48の中でも篠田麻里子さんが好きだったんですけどね。
──アイドルとしての不動の地位を築きつつ、モデルとしても活躍してましたもんね。
岩崎 まさにそういう道に憧れて。ちょうど高校3年生のタイミングだったので進路をどうするかっていうときに芸能界にまたチャレンジしてみようって思ったんです。なので私もみーたん(愛迫)と一緒で、らぶどるに入ったのはアイドルのお仕事が本当にやりたくて入ったというわけではなくて。でも、歌うのも踊るのも大好き、みたいな。今でも一番の夢はモデルになることで、そこは曲がってないです。
やっぱりアイドルをやりたい
──佐野さんとハルナさんは追加メンバーとしてらぶどるに加入しました。数あるアイドルグループの中でらぶどるに入りたいと思ったのはなぜでしょう?
ハルナ 私は幼なじみがアイドルをやっていて。それがきっかけでアイドルをやってみたいと思うようになりました。その子がすごくキラキラしてて、私もそうなりたいなと。
──そこからいろいろとオーディションを受けてみたというわけですか。
ハルナ オーディション雑誌を見ててらぶどるのメンバーオーディションが載ってたので応募したというのが出会いですね。合格して事務所に入ってもう2年半くらい経っちゃいましたけど、私もここまでは短く感じてます。
岩崎 ハルナはオーディションの雑誌を見てグループ名が読めなくてピンときたらしいですよ。
ハルナ 「あいおとめ……?」って、なんか……ピッってきました!
愛迫 ハルナセンサー、働いちゃったね!
──佐野さんも愛迫さんと同様に以前AKB48の研究生として活動されてました。もう一度アイドルグループに入ろうと思ったのはやはりアイドルに対する思い入れが強かったということでしょうか?
佐野友里子 私もアイドルが大好きでモーニング娘。さんが憧れの存在だったんですけど、最初は自分がなりたいとまでは思っていませんでした。中学に入ったときにAKB48を好きになって、劇場に通い出してから自分もステージに立ちたいと思うようになって。そのときはアイドルになりたいっていうよりもAKB48になりたいっていう気持ちのほうが強かったんです。
──そこからオーディションを受けて。
佐野 はい。年齢的にも最後のチャンスかなと思って受けてみて、研究生として活動し始めてから、アイドルの楽しさを知りましたね。
──2010年10月に研究生のセレクション審査の結果、不合格ということでAKB48としての活動を終えました。辞めたあともやっぱりアイドルとしての活動を続けていきたいと思って、らぶどるの門を叩いたという感じですか?
佐野 志半ばで辞めることになったので……。悔いも残ってましたし。その間は普通に働いたりもしてたんですけど、やっぱりアイドルやりたいっていう思いが強かったです。でもセレクションで落ちたということはアイドルに向いてないのかなって。その頃たまたま舞台を観に行ったときにみーたんと再会して、彼女かららぶどるを勧められました。
──なんだか運命的ですね。
佐野 そうなんです。あのとき誘われてなかったら今アイドルとして再び踏み出そうとは思ってなかったと思います。
グループがなくなっちゃうのだけは嫌だった
──1期生、2期生中心のグループ初期の頃は動員目標というノルマが設定される公演もあって、精神的にもすごくつらかったんじゃないかと思うんですけど、その頃のグループ内はどんな感じでしたか?
岩崎 実は今ほどみーたんともしゃべらなかったんですよね。お互い考えてることも違ったと思うから、どうだったって聞かれても「どうだったんだろう?」って感じで。
愛迫 そうそう。実際あんまり覚えてないんですよ。
岩崎 もちろん大変でしたよ。でも毎回「達成した」っていうくらいの感情しかなくて。おそらくらぶどるをグループとして存続させることに2人とも必死だったんだと思います。
──それって、楽しくはないですよね?
愛迫 そうですね。心から楽しいという気持ちではなかったかもしれません。
岩崎 それでもライブ中はやっぱり楽しくて。でもどこかで「この日のライブで成功しなかったららぶどるはなくなるんだ」って不安を抱えつつ歌ってました。
愛迫 安心してられなかったよね。
──ファンの人たちも毎回必死に呼びかけて動員を増やしてましたもんね。
愛迫 そうなんですよ! それが毎回申し訳ないなって思う気持ちもあって……。
──どんどん動員数のノルマが増えていって、さらに12カ月連続でシングルを出していくという挑戦もありました。
岩崎 当時は歌もダンスも苦手なメンバーが多くて、そこをどうやって伸ばしていけばいいのかっていうのもわからず……。
──ちょうど12カ月連続の折り返しのタイミングにあたる新曲披露公演を観たんですけど、確かに皆さん半年でだいぶ成長したものの、あんまり楽しそうにやってないというか、今ほどメンバー同士のバランスがとれていなかった印象を受けました。
岩崎 そういう状況なのもわかってはいたんですけど、グループがなくなっちゃうのだけは嫌だったので、なんかもう“無”でしたね。
──それでもなんとか走り切って、12カ月連続から解放された直後のライブは生き生きしてましたね。
愛迫 あのときはもう吹っ切れてました。
岩崎 そのとき、ちょうど番組でご一緒させていただいてたつんく♂さんにすごく褒められたんですよ。「すごくいいパフォーマンスだった」って。その日の出演者の中で一番よかったと言われたことがとてもうれしかったし自信にもつながりました。
──大変でしたけど、結果的に成長できたということですね。
岩崎 そうですね。すごく強くなったと思います。
──その12カ月の中で、現在のらぶどるのライブを盛り上げる楽曲がたくさん生まれたのも大きいと思いますが。
愛迫 最初の「GO!! MY WISH!!」から始まり「壊して、純情」「流れ星」などは今のライブで欠かせない曲になってます。本当にいい曲にたくさん出会えたことが今につながってますね。
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- ニューシングル「セツナツ、ダイバー」 / 2014年8月27日発売 / 日本クラウン
- Type-A [CD+DVD] / 1620円 / CRCP-10321
- Type-B [CD] / 1080円 / CRCP-10322
- Type-C [CD] / 1080円 / CRCP-10323
- Type-D [CD] / 1080円 / CRCP-10324
Type-A CD収録曲
- セツナツ、ダイバー
- ワチャゴナ!
- サヨナラと君が言った
- 少女アステリア
- セツナツ、ダイバー Off vocal
- ワチャゴナ! Off vocal
- サヨナラと君が言った Off vocal
- 少女アステリア Off vocal
Type-A DVD収録内容
- セツナツ、ダイバー Music Video
- 特典映像
Type-B 収録曲
- セツナツ、ダイバー
- ワチャゴナ!
- セツナツ、ダイバー Off vocal
- ワチャゴナ! Off vocal
Type-C 収録曲
- セツナツ、ダイバー
- サヨナラと君が言った
- セツナツ、ダイバー Off vocal
- サヨナラと君が言った Off vocal
Type-D 収録曲
- セツナツ、ダイバー
- 少女アステリア
- セツナツ、ダイバー Off vocal
- 少女アステリア Off vocal
愛乙女★DOLL(ラブリードール)
愛迫みゆ、岩崎夢生、芦崎麻耶、都築かな、佐野友里子、ハルナからなる6人組アイドルグループ。アイドルらしいキュートな一面を持ちつつも見応えあるパワフルなライブパフォーマンスで支持を集めている。姉妹グループにはDoll☆Elements、Luce Twinkle Wink☆、Stella☆Beats、Ange☆Raveの4組が存在する。2011年よりライブ活動をスタートさせ2012年6月より「業界初12カ月連続新曲披露公演」を実施し話題となる。2014年4月に日本クラウンより「High Jump!!」でメジャーデビュー。同年8月には2ndシングル「セツナツ、ダイバー」を発表した。