私の声なら、寂しい言葉もきっと明るく響く
──新曲に関しては、すべてその堀江さんが関わってらっしゃいますね。
晶太くんは、私と同じ感覚でLiSAのことを考えてくれるなって思います。つまり私がLiSAに歌っていてほしいことや、LiSAでやりたいことを共有できてるし、音楽そのものに対する距離感も私と晶太くんはすごく似ていて。晶太くんの作る曲に、私自身もいつもワクワクしています。
──「Way」に収録された新曲「ハローグッデイ」の作曲クレジットは、その堀江さんとLiSAさんの共作になっています。ここではどんなやり取りをなさったんですか?
晶太くんは、言葉やイメージを音にするのがホントに上手な人なんです。だから私はLiSAの歌いたい歌を歌うプロで、晶太くんはLiSAの伝えたい思いを音にするプロ。「ハローグッデイ」も、一緒にスタジオに入って、私が歌うメロディに対して晶太くんが「コードはどっちですか? こっちだと切ない系です。こっちに行くと元気になる系です」ってコードを弾いてくれて。それを受けて私が「もうちょっとこういうふうに行きたいんだよね」みたいなことを言いながら微調整していく感じですね。
──プロの音楽家同士のやり取りにしては、だいぶアバウトですね。
確かに(笑)。でもそれで十分通じるんですよ。
──「ハローグッデイ」は実にシンプルな、ゴスペルっぽいバラードです。
やっぱり晶太くんとはイメージの共有がスムーズで。「ハローグッデイ」はマルイさんのアニメーションCM「猫がくれたまぁるいしあわせ」のタイアップだったので、「春」「桜」「出会いと別れ」というテーマがあったんですけど、エモいバラードと言うよりは、前向きな気持ちで歌える歌にしたいねって。作詞に関しても、そのCMの中で「気づいたら、私、ちょっと幸せ」っていうフレーズが出てきて、それって私の「今日もいい日だっ」と似てるなと思ったんですよ。私も幸せを見つけるのが得意なので。そこから、悲しみもハッピーな気持ちに変えられたらいいのに、悲しいグッバイが未来のグッデイにつながりますようにと思いながら書きました。
──では、レコーディングはいかがでした?
私の声って、重い曲を歌ってもそんなに物々しく聞こえないんですよね。で、私の声と正反対なのが、Aimerちゃんだと思ってるんですよ。だからAimerちゃんが絶望を歌ったら、まさに絶望そのものが聞こえてくるんですけど、私がそれをやろうとすると「お前の絶望なんか軽いんだよな」みたいな(笑)。
──「軽い」と言うと語弊があるような(笑)。
でも、それが私の1つの個性で、逆に言うと悲しい曲を歌っても悲しみに引っ張られすぎないんです。例えば「シルシ」もすごくエモーショナルなんだけど、どこか希望を感じさせる歌になっていると思うし、「ハローグッデイ」にしても、「グッバイ」という寂しい言葉もきっと明るく響くんじゃないかなって。だから「L.Miranic」とかとは全然違う、明るい声で歌いました。
LiSAのことを信じてくれるみんなを信じて
──同じく「Way」に収録されたもう1つの新曲「Believe in ourselves」は編曲が堀江さんで、作曲が “先輩”こと田淵智也さん。
私はここ1、2年の間ずっと「好きなものを好きでい続けるのって大変なんだな」「好きでいるためには努力が必要なんだな」と感じていたんです。やっぱり表に出て音楽活動をしていると、いろんなことを言われるし、いろんな悪意が飛ばされてくるし。たくさん傷付けられて「なんのために私は歌ってるんだろう?」「みんなに楽しんでほしくてやってるのに、悲しいな」とか、なんなら「もう(辞めても)いいかな」って何度も思ってきたんですね。
──はい。
でも、そのたびにLiSAのことを信じて、守ってくれる人がたくさん現れてくれる。それはすごくありがたいことだし、その人たちが信じてくれているんだったら、私はまだがんばらなくちゃいけないし、LiSAをやり続ける意味があるって感じたんです。そのことを、あるとき先輩に話したんですよ。そしたら、先輩はそれがめちゃめちゃうれしかったみたいで(笑)。
──そりゃそうでしょう(笑)。
先輩は、私の「もう歌うのマジしんどいっす」「音楽が嫌いになっちゃいそう」「好きなものを嫌いになるって、ホントにつらいです」みたいな弱音もずっと聞いてくれてたし、それに対して「辞めたかったらいつでも辞めていいんだよ」と言ってくれてたんです。でも、内心ではLiSAが好きだった音楽を好きじゃなくなるかもしれないっていうことをものすごく心配してくれていて。そこから一転して私が「これからもLiSAとして生きていく覚悟を決めました」と宣言したら、この曲をくれました。
──いい話ですね。
で、1番の歌詞は先輩が書いたんですけど、それを見て私、めちゃくちゃ泣いて。例えば「諦め悪いけど 光を目指すよ」って、私が先輩に言ったことなんですよ。言い回しは違うんですけど、同じ意味のことを。あと、サビで「せめてキミに」を2回続けてくるところもマジで憎いなって(笑)。
──「Believe in ourselves」という曲名自体が心憎いですよね。つまり、先の「Believe in myself」と対応している。
実は、曲名は最後に付けたんです。だから「Believe in myself」に引っ掛けている意識はなかったんですけど、いつの間にか、やっぱり私はみんなと一緒に生きているし、みんなのことを信じながら歩いているなって思って。LiSAのことを信じてくれるみんなのことを私は信じながら、みんなのために音楽を作って、みんなのことを守っていくという覚悟を歌ったら、最後に先輩が「この曲、『Believe in ourselves』じゃない?」って。私は「ええー、やりすぎじゃない?」って言ったんですけど(笑)。
──そんなことないですよ(笑)。
実際、「Believe in ourselves」以上にこの曲を大事にできる言葉が見つからなかったし、これが一番しっくりきたんですよね。
LiSAでいない時間も必要
──今回、取材させていただくにあたってLiSAさんの過去のインタビューなどを読み直したのですが、発言がものすごく一貫してるんですよね。それは今こうしてお話を伺っている最中にも感じていることなのですが、ご自身にその自覚はありますか?
「Believe in myself」を作ったときに、「いつか この曲聴いた 誰かが 今を 愛せたらいい」というテーマでLiSAは生きていくって決めていて。そういう心持ちで “LiSA業”を始めたから、なんだろうな……例えばケーキ屋さんが突然ラーメン作ってお客さんに出したりしないって言うか(笑)。たぶんラーメン屋さんをやるんだったら名前を変えるだろうみたいな気持ちですかね。
──それって、「LiSA」とはまったく違う音楽を、別名義でやってみたいという気持ちが?
正直、興味はあります。LiSAの音楽を好きでい続けるために、それが必要かもしれないなって。やっぱり、いくら焼肉が大好きだからって、ずっと焼肉だけ食べ続けていたら飽きちゃうし、たまにはヘルシーなものを食べないと栄養バランス的にもマズいだろうっていう。
──そういう発想に至るのも、本業がきちんとできているからこそでしょうね。
そうですね。自分の根底にある、LiSAのためにもみんなのためにも譲れない音楽っていうものがあるからこそ、別のことをやってもいいのかなって思います。さっき「続ける努力」っていう話をしましたけど、 “LiSA業”を続けるには、LiSAでいない時間も必要で。今までにも体を壊したりしたこともあるけど、それってLiSAに時間を費やしすぎてるからなんですよね。じゃあ、LiSAでいない時間を作れたとして、友達と遊ぶのか、カメラをいじるのか、あるいは1日中寝てるのか。その使い方は自由だと思いますけど、せっかくならLiSAにつながることをやりたい。その選択肢の1つとして、音楽は楽しそうだなって。って言うか私、たぶん音楽しかできないし。これまで音楽しかやってきてないから(笑)。
LiSA「LiSA BEST -Day-」「LiSA BEST -Way-」 2018年5月9日発売 / SACRA MUSIC
- 「LiSA BEST -Day-」
-
初回限定盤 / Blu-ray
[CD+Blu-ray]
4860円 / VVCL-1218~9 -
初回限定盤 / DVD
[CD+DVD]
4320円 / VVCL-1220~1 -
通常盤 [CD]
3240円 / VVCL-1222
- CD収録曲
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- Rising Hope
- crossing field
- だってアタシのヒーロー。
- シルシ
- AxxxiS
- Empty MERMAiD
- ジェットロケット
- BRiGHT FLiGHT
- traumerei
- L.Miranic
- ID
- LiTTLE DEViL PARADE
- WiLL~無色透明~
- Believe in myself
- 初回限定盤DVD / Blu-ray収録内容
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- LOSER ~希望と未来に無縁のカタルシス~
- L.Miranic
- crossing field
- Merry Hurry Berry
- ミライカゼ
- say my nameの片想い
- Peace Beat Beast
- オレンジサイダー
- the end of my world
- Empty MERMAiD
- Psychedelic Drive
- 「LiSA BEST -Way-」
-
初回限定盤 / Blu-ray
[CD+Blu-ray]
4860円 / VVCL-1223~4 -
初回限定盤 / DVD
[CD+DVD]
4320円 / VVCL-1225~6 -
通常盤 [CD]
3240円 / VVCL-1227
- CD収録曲
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- Catch the Moment
- Thrill, Risk, Heartless
- oath sign
- ASH
- Rally Go Round
- ハローグッデイ
- No More Time Machine
- Hi FiVE!
- コズミックジェットコースター
- Brave Freak Out
- ROCK-mode'18
- Mr.Launcher
- Believe in ourselves
- best day, best way
- 初回限定盤DVD / Blu-ray収録内容
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- キモチファクトリー
- そしてパレードは続く
- Believe in myself
- シルシ
- LiTTLE DEViL PARADE
- コズミックジェットコースター
- ROCK-mode
- Rising Hope
- Catch the Moment
- TODAY
- 「LiSA BEST -Day- & LiSA BEST -Way-」
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完全生産限定盤
[CD2枚組+Blu-ray]
12000円 / VVCL-1228
ベストアルバム「LiSA BEST -Day-」「LiSA BEST -Way-」に加え、完全版ライブBlu-ray「LiVE is Smile Always~LiTTLE DEViL PARADE~」、Tシャツが同梱された完全生産限定アイテム。
- LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[eN]
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- 2018年6月14日(木)東京都 日本武道館
- 2018年6月15日(金)東京都 日本武道館
- 2018年6月30日(土)大阪府 大阪城ホール
- 2018年7月1日(日)大阪府 大阪城ホール
- 2018年7月21日(土)シンガポール Zepp@BIGBOX Singapore
- 2018年8月11日(土)香港 MacPherson Stadium
- 2018年8月18日(土)台湾
- and more
- LiSA(リサ)
- 6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。2010年春、テレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビュー後はアニメ「Fate/Zero」1stシーズンのオープニングテーマ「oath sign」、「ソードアート・オンライン《アインクラッド》編」のオープニングテーマ「crossing field」などスマッシュヒットを連発。2014年1月に初の東京・日本武道館ワンマン「LiVE is Smile Always ~今日もいい日だっ~」を行い、翌2015年1月には日本武道館2DAYS「LiVE is Smile Always~PiNK&BLACK~」を成功させた。また「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「Animelo Summer Live」「氣志團万博」などさまざまな大型音楽イベントに出演し個性を発揮している。2017年春にはオリジナルブランド「YAEVA MUSiC」を設立し、5月に通算4枚目となるフルアルバム「LiTTLE DEViL PARADE」を、7月に通算12枚目のシングル「だってアタシのヒーロー。」を発表した。2018年5月にキャリア初のベストアルバム「LiSA BEST -Day-」「LiSA BEST -Way-」を同時リリースした。