ナタリー PowerPush - LiSA

“みんな”と見つけた私の“景色”

「私たちだったら世界中を自分の色に染められる!」

──当然の話かとは思うんですけど「ライブをイメージしたアルバムを作りたい」っていくら口にしたところで具体的に「こういう音にしたい」っていうイメージがないと曲やアルバムって作れないわけですよね?

具体的とは言えないかもしれないんですけど、これまでの経験を全部生かして制作しようとは思ってました。ガルデモ(Girls Dead Monster)のユイとしてポップな曲を歌わせてもらって、その後、LiSAとしてデビューしてからは「oath sign」や「crossing field」のようなアニソンも歌ったし、「LOVER"S"MiLE」みたいなアルバムも作っていて。さらに今の私の周りにはらーメンズや、田淵(智也)センパイもいれば「EGOiSTiC SHOOTER」を作ってくれたwowakaさんのような打ち込みに強い方もいて。この振り幅の広いキャリアと、振り幅の広い作家さんたちを、今のLiSA色に染めたら面白いだろうなって思ったんです。

──その「LiSA色」ってどんな色なんですか?

1曲ごとに違うので、まとめて「こんな色」とは言えないんですけど、たぶん全部薄くはないですね。

──それはアルバムを聴けば誰でもわかります(笑)。

でも本当にパッキパキの強い色がいっぱい合わさってる感じなんですよ(笑)。1曲目の「Canvas boy × Palette girl」なんかはまさに色の強い曲。「LOVER"S"MiLE」の続編というか、世界観をつなげてみた曲で。「LOVER"S"MiLE」は「自信のない女の子が『でもあなたといられて幸せ』って思ってる」っていうイメージで作ったアルバムなんだけど、そこから時を経て「Canvas boy × Palette girl」では、その女の子が男の子に向かって「私たちだったら世界中を自分の色に染められるよね!」って自信を持って言い放っていて。

──「デートコースはもうこの先のすべて」とすら言ってますもんね。しかもこのフレーズって単に2人の行く末が明るく照らされているって意味じゃないですよね。LiSAさんはライブのことを「デート」と呼んでいるわけですから。

だからこの曲は「アルバムを今のLiSA色に染めます」っていう宣言でもあり、これからもガンガンライブをやっていくからねっていう宣言でもあるんです。それは2曲目の「コズミックジェットコースター」も同じなんですけど。

──「お待たせ」「笑ってついてきてよ」「ピース!」ってライブMCの定番フレーズをそのまんま歌ってるし(笑)。

そうなんです(笑)。

「私、すごく得意なんです、こういうの!」

写真は「LiSAのRoad to 武道館企画☆全国行脚47杯いただきますっ」愛知編(タワーレコード名古屋パルコ店にて実施)の様子。

──詞の内容はまるで違うんだけど「DOCTOR」もライブをイメージさせる曲だなと思っていて。というのもライブのときのLiSAさんってちょっとエロいですよね。

あはははは(笑)。ありがとうございます……なのかな?

──ライブでのLiSAさんの出で立ちは基本的にボーリングシャツにミニのティアードスカート、ニーハイソックスにドクターマーチンの8ホール。で、ときどきそのボーリングシャツの肩をはだけてみせるじゃないですか。あのパフォーマンスって男にとってうれしいのはもちろんのこと(笑)、女の子の目にも「セクシーな憧れのお姉さん」って映ってるんじゃないかなって思うんです。

あっ、それなら「ありがとうございます」ですね(笑)。

──で「DOCTOR」の中のLiSAさんは、攻撃的な音に乗せて、気になる男の子に対するあけすけな思いをあけすけな言葉で歌っている。やっぱりちょっとエロいです(笑)。

確かにそう聴いてもらえるといいなあ(笑)。おっしゃる通り、ライブを観たことがある人なら「DOCTOR」を聴いた瞬間「LiSAにはこういう部分もあるよね」って思う気はするんですけど、CDだけを聴いている人にはただ純粋に攻撃的な曲に聞こえるかもしれない。でもその人たちにも「この曲ってライブでやったら、スゲーエロいんじゃね?」って想像してもらえるくらいの表現が曲の中でできてるのであれば、それはすごくうれしいですよね。

──この手の詞って書きやすいものなんですか?

私、すごく得意なんです、こういうの!

──あはははは(笑)。

「曲によっては」なんですけど、まず音ノリのよさだけを考えて、とにかく思い付いた言葉をワーッと書くところから作詞を始めることがあって。そのとき出てきたフレーズの中に、そういうちょっと過激な言葉があって、しかもそれがカッコよく音にハマってたら「ここまで書いちゃったことだし、この曲では全部脱いじゃってもいいかな」みたいな気持ちになっちゃって(笑)。

──脱いじゃいますか(笑)。

脱ごうって決めちゃうと、その勢いのまま一気に詞を書けますね(笑)。それに今回は「LiSA色に染めたい」って気持ちがあったので、ずっとキレイなベールをかぶっている必要はないな、とも思っていて。ガルデモのユイとして歌わせてもらう前から、山あり谷あり、いろんなことがあってやっと「LANDSPACE」という景色を見られたんだよっていうことを伝えたいアルバムなんだから、ちょっとベールをはだけた、ワガママな自分のことを歌ってもいいだろうなって思ってました。

──ところが「DOCTOR」に続く「僕の言葉で」ではワガママじゃないどころか、他人に優しく寄り添える人でありたいと、すごくセンチメンタルに歌っています。

でも「僕の言葉で」も「DOCTOR」と同じ。エゴの歌なんだと思ってます。ワガママでちょっと攻撃的な「DOCTOR」みたいな私だからこそ人に優しくなれる人にも憧れていて。本当に相手を思いやりたいって思ってる部分もあるんですけど、結局のところ“私が”憧れているわけですから。それに、もしかしたら憧れている理由の中には、相手に嫌われたくないっていう思いもあるのかもしれないし。

ニューアルバム「LANDSPACE」 / 2013年10月30日発売 / アニプレックス
初回限定盤 [CD+Blu-ray+DVD] 4200円 / SVWC-7961~3
通常盤 [CD] 3150円 / SVWC-7964
収録曲
  1. Canvas boy × Palette girl
    [作詞:古屋真 / 作曲:黒須克彦 / 編曲:akkin]
  2. コズミックジェットコースター
    [作詞:LiSA / 作曲:黒須克彦 / 編曲:黒須克彦]
  3. crossing field
    [作詞:渡辺翔 / 作曲:渡辺翔 / 編曲:とく]
  4. DOCTOR
    [作詞:LiSA / 作曲:カヨコ / 編曲:堀江晶太]
  5. 僕の言葉で
    [作詞:LiSA / 作曲:黒須克彦 / 編曲:黒須克彦・星野孝文]
  6. best day, best way
    [作詞:田淵智也 / 作曲:田淵智也 / 編曲:akkin]
  7. ヒトリワラッテ
    [作詞:wowaka / 作曲:wowaka / 編曲:wowaka]
  8. say my nameの片想い
    [作詞:LiSA・田淵智也 / 作曲:田淵智也 / 編曲:akkin]
  9. うそつきの涙
    [作詞:古屋真 / 作曲:清水葉子 / 編曲:akkin]
  10. 逆光オーケストラ
    [作詞:古屋真 / 作曲:磯崎健史 / 編曲:堀江晶太]
  11. traumerei
    [作詞:HIDEO NEKOTA / 作曲:HIDEO NEKOTA / 編曲:akkin]
  12. winding road
    [作詞:LiSA / 作曲:LiSA / 編曲:akkin]
初回限定盤Blu-ray / DVD収録内容

シングル曲「oath sign」「crossing field」「best day, best way」「traumerei」のビデオクリップ / メイキング映像 / CMスポット収録。

LiSA(りさ)
LiSA

6月24日生まれ、岐阜県出身。学生時代よりバンド活動を始め、2008年に活動の拠点を東京に移す。2010年春にはテレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。Girls Dead Monsterでの活動が好評を博し、2011年4月にはLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビューを果たす。同11月にリリースしたアニメ「Fate/Zero」のオープニングテーマ「oath sign」と、アニメ「ソードアート・オンライン」のオープニング曲となった2012年8月のシングル「crossing field」はともにオリコン週間シングルランキング5位に輝く。その一方で2011年末に東京・日本武道館で開催された「リスアニ!LIVE 2011」でヘッドライナーを務め、2012年4月には2月リリースの1stフルアルバム「LOVER"S"MiLE」を携え、東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブを開催。2010年にGirls Dead Monsterとして出演して以来、毎年「Animelo Summer Live」に招へいされるなど、そのステージパフォーマンスにも評価が集まっている。2013年には「best day, best way」「traumerei」(※「a」はウムラウト記号付きが正式表記となる)という2枚のシングルをリリースし、10月には2ndフルアルバム「LANDSPACE」を発表した。