恭二は「好きだ」と思ってもらえる回数が多い役

──主演の松坂さんと仲さんのお芝居についてはどんなことを感じましたか？

松坂さんは大志というキャラクターにめっちゃぴったりだなと思いましたし、素敵な俳優さんだなと思いました。仲さんは普段は派手な色の髪をしてはるときがありますけど（笑）、お芝居のときは当然ながら、しっかりとした女優さんで、そのギャップがすごいなと。素敵なお芝居をされる方だなというふうに感じました。あと、自分が出ていないシーンをあとから観て、「皆さんお忙しいのに、いっぱいいろんなことしててすごいなあ」とも思いましたね。

「離婚しようよ」より。

──役者として、恭二という役はどんな出会いになりましたか？

すごく個人的なことではありますが、皆さんのおかげでこれまで演じてきた役の中でも観た人に「好きだ」と思ってもらえる回数が多い役になったなと思います。

──大石さん、宮藤さんから仕上がりについて何か言われたりは？

いや、撮影が終わったあとにお会いできていないので特に何もないですね。それに、気にしてもしょうがないと思ってます。今回に限らずですが、自分的にめっちゃ手応えがあったとしてもダメなときもあるかもしれないですし。最近はそこまでズレはないと思うんですが、仕上がりは作品を観ていただいた人がジャッジするものだと思ってます。ただ、「離婚しようよ」は出た側の人間としてはすごく面白い作品ができたと思うので、ぜひたくさんの人に観ていただきたいですね。

左から東海林大志役の松坂桃李、黒澤ゆい役の仲里依紗。

──錦戸さんが宮藤さんの作品に出演するのは「流星の絆」「ごめんね青春！」に続いて3作目となりました。錦戸さんにとって宮藤さんの作品はどんな存在ですか？

ただ単に意地悪でムカつく人が誰1人出てこない。結局何かしら許せたり許してしまう人たちの作品を書くのが上手だなと思います。「離婚しようよ」は大石さんも一緒に書かれているということですが、今回も「なんやねん、こいつ！」って思うような嫌な人が一切出てこないので、観ていて気持ちいいですね。

今の道を選んだのは自分、続けたいからやっている

──最近はドラマや映画への出演が相次いでいる錦戸さんですが、お芝居の難しさや楽しさについて、何か変化は感じていますか？

考えて上手にお芝居ができるタイプの人もめっちゃいると思うんですけど、僕はそれでうまくいったことがあまりないので、考えないようにしているんですよね。「感覚でやってる」なんて言って、カッコつけてるように聞こえたら嫌なんですが（笑）、それしかやり方がわからないんです。お芝居は僕1人で成立するものでもないですし、しっかりセリフを覚えて目の前にいる相手に向かっていけば、相手も返してくれる。セリフじゃなかったとしても、表情で返してくれるときもあるでしょう。その変化にしっかりと気付ける自分でいれば、ちゃんとお芝居ができるんじゃないかと思ってます。

──では、今後の役者活動においてやってみたいことはありますか？

10代のときは「こういう作品に出てみたい」と言ってたかもしれないですけど、今は機会をいただければいろんなことをやってみたいなって思ってます。この先、それがオファーありきじゃなくて、こちらから動き出せることも何かあればいいなあとは思いますね。

──錦戸さんはミュージシャンとしても活躍されていますよね。俳優とミュージシャン、両方の活動で大事にしていることにはどこかつながりがありますか？ それともまったく別ものなのでしょうか？

考えたことないですね。考えても仕方がない気がするし……わかんないです。無理してつなげる必要もないと思っています。やるからには一生懸命やるだけですね。

──両方の活動があることで、それぞれに対して何かいい影響はありますか？

それもわからないですね。両方、楽しさも苦しさもあると思いますし。例えば、ツアーをやるとなったら、「何か新曲を出そう」と思って曲を一生懸命作るんですけど、締め切りが迫ってきて「どうしよう」と思うこともあります。お芝居も音楽も今自分がやってる仕事という意味では一緒なので、向き合う気持ちは変わらないですね。気持ちを切り替えるまでもないという感じです。うまくバランスを取りながらやってきているとは思います。

──例えば、音楽活動において楽しさを感じる瞬間というと？

僕、お芝居もそうなんですけど、やってる最中に「楽しいな」と思ったことってあまりないんですよね。一生懸命やって、作品が終わったときに「楽しかったな」と思えることはありますけど、「楽しいな、楽しいな」って思いながら仕事をしたことはないかもしれないです。今の道を選んだのは自分なので、もしその決心が揺らいだらすぐに辞めます（笑）。多分、続けたいからやってるんでしょうね。