la la larksが1stフルアルバム「Culture Vulture」を8月30日にリリースする。
2012年に結成され、今年バンド結成5周年を迎えたla la larks。全12曲入りとなる今作は「ego-izm」「ハレルヤ」などのシングル曲のほか、ライブの定番曲「さよならワルツ」「Self」、坂本真綾に提供した「色彩」のセルフカバーなど、バンドの5年分の歩みを総括した内容となる。音楽ナタリーでは内村友美(Vo)と江口亮(Key)の2人にインタビューを実施。5年分の活動をひとまとめにした初アルバムの制作にまつわる話や、結成5年を迎えたバンドの今の状態などについて話を聞いた。
取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 草場雄介
まさに今がアルバム発表のタイミング
──前回のインタビューの際、アルバムリリースについて「バンドの規模感と関わる人の人数がどうしても不釣合いになっちゃうから、アルバム作りはまだ早い」とおっしゃっていました(参照:la la larks「ハレルヤ」インタビュー)。江口さんは「もっと堂々とアルバムを作りたい」とも話していましたが、今回のアルバムリリースは順調にバンドの規模を拡大させていった結果ということなんでしょうか?
江口亮(Key) はい。5年活動してきたこともあって、バンドを取り巻く環境が自然と整っていたんです。
内村友美(Vo) ライブを重ねていく中でいろんな人に「アルバムはいつなんですか?」って聞かれてましたから。その度に「準備が整ったら」と答えてきたし、自分の中でも「確かにそろそろ出さないとなあ」と思っていたんです。そんな中、バンドが5周年を迎えてFlyingDogのディレクターさんから江口さんに「5周年のお祝いにアルバムを作るのはどうでしょうか」と提案していただいて。
江口 la la larksってずっと「アルバムのリリースはまだ早い」って言い続けてきたバンドなんだけど、アルバム制作の話が出たときに「まさに今がアルバム発表のタイミングだな」と思うことができたんです。バンドのメンバーもみんな同じ思いだったみたいで。
──この5年を振り返ってみてどうですか?
内村 5年間、なんだかあっという間だったような感覚もありつつ、振り返るとすさまじくいろんなことがあったんです。ちゃんと1つずつ積み上げてきたからこそ5周年を迎えられたって実感が私にはあって。バンドにまつわるいろんなこと、それぞれにちゃんと意味や理由を感じながら歩いて来れたからアルバムを作ることができたんだと思います。
江口 僕はla la larksを結成したときに「きっと5年もすればCDに代わるメディアが登場して、今とは違う音楽業界ができてるんだろう」って思ってたんですよ。もちろんハイレゾとかサブスクとか、いろんなサービスが生まれてきたけど今でもやっぱりCDでアルバムはリリースするわけだし、音楽業界は変わってなかったなって思いました(笑)。
──江口さんはそれをポジティブに捉えているんですか? それともネガティブに捉えている?
江口 自分たちみたいな1970年代生まれの人間からすると、CDで音源をリリースし続けている今の音楽業界は生きやすいんですよ。そういう意味ではポジティブなんですけど、それこそ音楽業界の常識が塗り替えられるようなことが起きていたら、僕らのアルバムはもっといい音で届けられたかもしれない。例えば96kHz / 32bitのハイレゾで音を届けることもできるけれど、それがまだ当たり前にはなっていないことに関してはある意味ネガティブだなと思っています。
「もう少しタラタラ歌ってくれる?」
──「Culture Vulture」に収められている新録曲の中には、この5年の間にライブで何度も披露された曲も含まれていて、ライブに通っていたファンにとってはおなじみの曲も多いですよね。
江口 みんなが知ってる曲をアルバム用の音源にする作業って、すごく大変なんですよ。普通にみんなが知らないものを作るなら、今自分が思っていること、考えていることを曲にすればそれが正解なんです。でもライブですでに披露している曲ってすでにみんなが曲に対して持っている印象があるから、それを大きく裏切るようなことはしちゃいけないんですよね。みんなが聴いてきた音と地続きでありつつ、もちろんレコーディングをする上ではアレンジなどで新たな提案もする。“聴きたかったのはこういう音でしょ”っていう音楽を作るっていう感覚はけっこうしんどくて。
内村 江口さんはサウンドメイキングの面でものすごく苦労をしていたみたいなんですけど、ボーカルの私としてはいつもライブで歌っている曲をレコーディングするわけですから、今回はいつもよりスムーズに進みました。ある意味ゴールが見えてるし、ライブで歌い込みができてますから。ただ「Self」って曲は歌の録音のときに「ちょっと暑苦しいからもう少しタラタラ歌ってくれる?」って言われて……。
江口 うん。内村はライブで5年間積み上げた歌い方をしたんだけど、なんかCDとしてパッケージするときはちょっと違うかなって思って。
内村 私の中の「Self」は、“ガツッと歌い切る曲”だったので、いつも通り気合いを入れてレコーディングに臨んだら「タラタラ歌って」ですから(笑)。この5年で「Self」を一度もタラタラ歌ったことがなかったので、「どうしたらいいんだろう」ってすごく困惑しました。
──特に「Self」はライブで終盤に披露されることが多い楽曲ですよね。必然的に歌にも演奏にも力が入るのではと思うんですが……。
江口 ライブだったら熱を込めるのが正解なんですよ。でも音源として発表するときは必ずしも同じアプローチが正解なわけではないんです。誰しもみんなが7オクターブの美声を持つスーパーボーカリストが歌う名曲を好むわけじゃなくて、例えばむしろ病んでるような歌い方とか歌詞のほうが感動できるって言う人もいるんです。そもそも完璧なものとか、強いものが求められているわけじゃない。ちょっと抜けてるのはアリだし、ピッチがたまに悪くてもアリ。それが音楽だと思うんですよ。「Self」に関して言えば、きっと皆さん気合いの入った内村のボーカルの印象が強いと思うけど、僕は今回のアルバムで「でもさ、こっちもいいでしょ」っていう提案をしてみました。
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既発曲でも試行錯誤
- la la larks「Culture Vulture」
- 2017年8月30日発売
FLYING DOG / Victor Entertainment -
初回限定盤 [CD+DVD]
3780円 / VTZL-132 -
通常盤 [CD]
3132円 / VTCL-60454
- CD収録曲
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- Massive Passive
- 色彩 -Album Ver.-
- ハレルヤ
- end of refrain
- loop
- たりない
- さよならワルツ
- Q And A -Album Ver.-
- 失う
- ego-izm
- Reset
- Self
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「Massive Passive」Music Video
- 「ハレルヤ」Music Video
- 「ハレルヤ」Studio Live
- la la larks「Culture Vulture」リリースツアー『C.V.C』」
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- 2017年11月3日(金・祝)東京都 WWW
- 2017年11月5日(日)愛知県 ell.FITS ALL
- 2017年11月7日(火)大阪府 梅田Zeela
- 2017年11月10日(金)福岡県 THE Voodoo Lounge
- la la larks(ラララークス)
- 内村友美(Vo / ex. School Food Punishment)、江口亮(Key / Stereo Fabrication of Youth、MIM)、三井律郎(G / THE YOUTH、LOST IN TIME)、クボタケイスケ(B /(ex. sads)、ターキー(Dr / ex. GO!GO!7188)からなる5人組バンド。内村を除くメンバー全員がさまざまなアーティストのサポートを行いながらも、その軸足をla la larksに置いた活動を続けている。CDリリースよりライブを重視する活動姿勢により徐々に知名度を高め、バンドの結成5周年を迎えた2017年8月に1stアルバム「Culture Vulture」をリリースする。