音楽ナタリー Power Push - la la larks
“最高”を目指すバンドの地道な一歩
la la larksが2ndシングル「ハレルヤ」を7月29日にリリースする。前作「ego-izm」からおよそ1年2カ月ぶりのシングルリリースとなる今作には、アニメ「空戦魔導士候補生の教官」のエンディングテーマ「ハレルヤ」のほか、ライブを想定して作られたアップチューン「Q And A」、坂本真綾への提供曲のセルフカバー「色彩」の3曲を収録。バンドの1年間の活動を集約したような作品に仕上げられている。
音楽ナタリーではバンドの中心人物である内村友美(Vo)と江口亮(Key)の2人にインタビューを実施。インディペンデントな活動を続ける彼らの現状と、江口自らが「レベルアップした」と語る今作の制作の裏側などを聞いた。
取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 笹森健一
当たり前を実践し続ける
──前回のインタビュー(参照:la la larks「ego-izm」インタビュー)で、お2人は「清く正しく、普通に当たり前のことを自分たちで実践していくバンド活動を続けていきたい」と話していました。CDの封入作業なども自分たちで実践することから「部活っぽい」という言葉も飛び出していましたが、1年経ってみて、バンドの空気感は変わっていないですか?
江口亮(Key) 濃くなるばっかりですね。しかもより貧乏くさい方向に(笑)。メンバー全員が運転できるようになったし。
内村友美(Vo) ギターの三井(律郎)さんも免許を取ったし、私もペーパードライバーを卒業して。メンバーで運転を交代しながら、大阪まで行ってライブをしたり。
江口 最近は楽器を置く場所を作ろうと思って、バンド用の倉庫を借りました。
──もちろんその費用はバンドのお財布から出ているわけですよね?
江口 そうです。今回CDを出すことができるのは、もちろんFlyingDogさんのおかげなんですけど、なんでもかんでもレーベルさんに任せるのはよくないかなと思っていて。“ライブ会場まで行く”とか“自分たちの楽器を管理する”とか最低限のことは自分たちでちゃんとやろうと常に思ってます。
──la la larksくらいの規模感のアーティストで、江口さんが表現する“最低限のこと”ができている方々ってそう多くはないですよね?
江口 今の音楽業界では、アーティストの規模感とそこに関わる人数が不釣合いなことが多すぎると思っているんです。バンドが大きくなるとマネージャーさんとかスタッフさんとか携わる人がどんどん多くなって、その中核にいるアーティストは彼らにちゃんと給料が出るようにしっかり稼がなきゃいけない。すごく当たり前のことだと思うんですけど、それを実践するのが難しいんですよね。
──la la larksはそれを実践できている?
江口 今のところは。バンドにレギュラーで関わっている人数が少ないからですが(笑)。でも仲間を増やしたいからこそ、自分たちでがんばらなきゃいけないなと思ってやっています。
内村 誰かに仕事をお願いするには、やっぱり自分で経験してないといけないと思っていて。ちょっとずつできることを増やしていきながら、任せられることを増やしていきたいなと思って、今は地道に活動していきたいなって思ってます。
対バン相手とライブ前日に飲む
江口 この1年を振り返ってみて、やっぱり俺ら飲み会の回数増えたよね?
内村 メンバーで飲むだけじゃなくて、ほかの人と飲む機会が増えましたからね。
江口 リハのときから飲んでるし(笑)。それと東名阪をライブで回るときは、打ち上げ以外に親睦会をやったりするんですよ。
内村 しかもライブの前日とかに、しっかりと。
──どういう狙いがあって親睦会を開くんですか?
江口 まあ単純に飲みたいっていうのがまず第一に(笑)。それとやっぱり若い子たちと交わるときは、ライブの日だけの付き合いだとなかなかそう深いところまでいけないんですよ。
内村 実はバンドをやってる人たちってコミュニケーションが得意じゃない人も多いんです。だから親睦会をやっておくと、翌日のライブが全然違う。
江口 そう。ライブの充実感が違うし、そういうのってお客さんにも伝わるんですよね。今の若い人たちって、僕らの世代によくあった飲み会でのコミュニケーションみたいなものが活発じゃないから、僕らはそういう“飲みの交流”のよさを教えていかなきゃいけないんだなってしみじみ感じてる。なんかおっさんっぽいね(笑)。
──ベテランのバンドとして責任感を感じているんですね。
江口 変なポジションにいるなとは感じてますね。でも自分たちが若い頃はライブハウスの人とか、先輩たちに怒られて学んだことがいっぱいあったんですよ。人に助けられてきたから、そういうつながりを絶っちゃいけないと思うし、これからもいろんな人と飲んでいきたいですね(笑)。
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収録曲
- ハレルヤ
- Q And A
- 色彩
- ハレルヤ(Instrumental)
- Q And A(Instrumental)
- 色彩(Instrumental)
la la larks(ラララークス)
内村友美(Vo / ex. School Food Punishment)、江口亮(Key / Stereo Fabrication of Youth、MIM)、三井律郎(G / THE YOUTH、LOST IN TIME)、クボタケイスケ(B / sads)、ターキー(Dr / ex. GO!GO!7188)からなる5人組バンド。2012年に結成。定期的なライブ活動を通じて着実に知名度を上げていく。2013年には栗山千明に楽曲「0」を提供。またAZUMA HITOMIの1stアルバム「フォトン」にはリミックスアーティストとして参加している。2014年1月、デモ音源でのオンエアにも関わらずJ-WAVE TOKIO HOT 100で「さよならワルツ」が22位にチャートイン。J-WAVEの番組「TOKYO REAL-EYES」では番組とのコラボ企画として新曲を制作し、2014年4月にはクラウドファンディングの出資者向けにCD「28時」をリリースした。同年6月、1stシングル「ego-izm」を発表。また2015年7月にはアニメ「空戦魔導士候補生の教官」エンディングテーマを表題曲に据えた2ndシングル「ハレルヤ」をリリースする。