ライブには“変わらない価値観”がある
──それと今作のジャケット写真とアーティスト写真には驚きました。
江口「Tシャツにしたらカッコいいビジュアルじゃなきゃ嫌だ!」って最初に言いました(笑)。
内村 タイトルとかビジュアルとか全部そうなんですけど、変に「思いを込める」っていうのはやめて単純に「カッコいいかどうか」「覚えやすいかどうか」「入ってきやすいかどうか」を第一に考えました。
江口 ホント言うと、40歳のオジさんたちががんばってジャケットを飾る……っていうのもどうかなと思って(笑)。アルバムのジャケットって作品を象徴する1枚のビジュアルだから、そのままTシャツに使ってもカッコいいデザインにしたかったんですよね。
──Tシャツの仕上がりを想定するあたりが、ライブバンドらしいところですね。
江口 ライブにどう直結するかっていうのは常に考えていますね。僕はCDという物が5年後、10年後どうなってるかはわからないと思うんですが、ライブをやってお客さんを喜ばせるっていうことはおそらく変わらない。今のところアーティストにとってライブには変わらない価値観があると思っているからこそ、僕はここに全力投球していきたいなって思いがあるんです。
──多数のプロデュースワークや楽曲提供を行っていて、裏方仕事の多い江口さんがライブに価値を置いているって言うのは少し意外でした。
江口 そうかもしれないですね(笑)。音楽をいくつかの業種に分けたとき、制作やレコーディングの部分にはすごくたくさんの投資が行われているんです。だから作家としての僕はその恩恵を受けて、日々裏方の仕事を請け負っている。だけどライブの現場、特にライブハウスで日々行われているバンドのライブってあまり投資が行われていない場所なんです。la la larksはどちらかと言うと現場で勝負するバンドだから、ライブでどう映えるかはすごく考えています。
部活から家族に
──音楽ナタリーでの初めてのインタビューのとき、江口さんはla la larksの活動を「部活っぽい」と表現していました。結成5周年を迎えて、今ではバンド活動をどういうものだと考えていますか?
江口 la la larksって、僕にとって家族っぽいものになってるんです。
内村 確かに。“家族感”が強い。
江口 このバンドを始めてから、僕とクボタに子供が生まれたこともあって、メンバーの生活のリズムとか、生き方もちょっとずつ変わっていると思うんです。それでもこのメンバーは一緒にバンドを続けられている。しかもそれぞれが無理してるわけではなく、生活のサイクルの中にバンドの活動がちゃんと組み込めている感じがするんですよね。
──内村さんはどういうところに“家族感”を感じていますか?
内村 自分のダメなこととか、よくなかったところをちゃんと言ってくれるんです。どうしてよくなかったか、どうするとよくないかを話してくれるし、それがあるからってこじれたりしない関係性が築けている。ダメであり続けることは許してくれないけど、よくあろうとする姿をメンバーはずっと見てくれていると思うし、5年間一緒にいてくれたから。
江口 若いバンドみたいに「がむしゃらに人を傷つけてでも前に進む」みたいなことはもうみんな一通り経験したあとだからね(笑)。
内村 お互いがお互いのことをきちんと理解し合えて、向き合ってる感覚がありますね。
江口 僕らはもう歳を取ってきてるから、いい人とめぐり会う機会って減っていく一方だと思うんです。バンドのメンバーはもちろんレコード会社の方、エンジニア、プレイヤーも今一緒に仕事をしている人たちとの関係を大事にしなきゃなって、今の歳になると思いますね。「この人とはこのときだけだから」みたいな感覚がないと言うか。
しかるべきタイミングでしかるべきことが起きる
──5年間の活動を経てアルバムが完成し、これから先のla la larksはどうなっていくのでしょうか?
内村 la la larksってバンドを結成したときに「1つずつ順を追って活動していく」っていうことを目標にしていたんですけど、初めてのアルバムが完成するまで、その目標をちゃんと達成して来れたんです。いつもライブを観てくれている人からしたら、すごく待たせちゃった気もするけど、今振り返ってみて「やっぱり焦らなくてよかったんだ」という実感がある。だからこれから先も同じように丁寧にやっていくことが続けられればなっていう気持ちですね。
江口 やっぱり僕らはライブをずっとやり続けると思います。アルバムができたから、まずはこの作品を携えていろんなところでライブをやりたいし、その反応を見て、いろいろ考えればいいのかなって思っています。僕はバンドの活動だけじゃなくていろんな裏方をさせてもらっているけど、たぶん今の日本の音楽業界は過渡期に入っていて、何をしたら正解かもわからない時代になっているんです。ただライブに関してはこれから先もずっとあり続けるものだと信じているから、そこはしっかりやる。次のリリースはまた機を見て、って感じなのかな。
内村 ライブを重ねていけば、しかるべきタイミングでしかるべきことが起きる、それを繰り返していくんだと思います。
- la la larks「Culture Vulture」
- 2017年8月30日発売
FLYING DOG / Victor Entertainment -
初回限定盤 [CD+DVD]
3780円 / VTZL-132 -
通常盤 [CD]
3132円 / VTCL-60454
- CD収録曲
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- Massive Passive
- 色彩 -Album Ver.-
- ハレルヤ
- end of refrain
- loop
- たりない
- さよならワルツ
- Q And A -Album Ver.-
- 失う
- ego-izm
- Reset
- Self
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「Massive Passive」Music Video
- 「ハレルヤ」Music Video
- 「ハレルヤ」Studio Live
- la la larks「Culture Vulture」リリースツアー『C.V.C』」
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- 2017年11月3日(金・祝)東京都 WWW
- 2017年11月5日(日)愛知県 ell.FITS ALL
- 2017年11月7日(火)大阪府 梅田Zeela
- 2017年11月10日(金)福岡県 THE Voodoo Lounge
- la la larks(ラララークス)
- 内村友美(Vo / ex. School Food Punishment)、江口亮(Key / Stereo Fabrication of Youth、MIM)、三井律郎(G / THE YOUTH、LOST IN TIME)、クボタケイスケ(B /(ex. sads)、ターキー(Dr / ex. GO!GO!7188)からなる5人組バンド。内村を除くメンバー全員がさまざまなアーティストのサポートを行いながらも、その軸足をla la larksに置いた活動を続けている。CDリリースよりライブを重視する活動姿勢により徐々に知名度を高め、バンドの結成5周年を迎えた2017年8月に1stアルバム「Culture Vulture」をリリースする。