ナタリー PowerPush - きゃりーぱみゅぱみゅ

祝・1stフルアルバム「ぱみゅぱみゅレボリューション」発売!あの人と愛のメッセージ交換

ASOBISYSTEM代表取締役・中川悠介インタビュー

昨年のデビュー以降、破竹の勢いで広がり続けるきゃりーぱみゅぱみゅ旋風。その人気の秘密やきゃりーの魅力を探るべく、彼女の所属事務所ASOBISYSTEMの代表取締役・中川悠介にインタビューを行った。きゃりーを見守り、行動をともにしている中川が語る、彼女との出会い、素の人間性、中田ヤスタカ(capsule)プロデュースの経緯とは。

取材・文 / 鳴田麻未

なんか人気出てくるんじゃないかなと思った

きゃりーぱみゅぱみゅ

──まず、きゃりーさんと出会ったときのことを教えてください。

出会いは、デビューする前の年(2010年)の9月にあった「原宿スタイルコレクション」っていうファッションイベント。そこにきゃりーが出て、中田(ヤスタカ)くんも来ていたのでお互いを紹介しました。その後、中田くんの主催しているイベント「TAKENOKO!!!」にきゃりーが出たことがきっかけで、うちに所属することになりました。

──その当時の印象はいかがでした?

読者モデルとして雑誌の巻頭に出てくるほどの人気ではなく、なんとなく参加していて、なんとなくブログが面白くて、みたいな子だったんですよ。言わば数多い読者モデルの1人。でも、ちょっと話をしてみたら、Perfumeやcapsuleがすごく好きだと。今どき若い女の子がAKB48じゃなくてそこに注目してるなんて珍しいなと思ったんですよね。それから素の顔もかわいいし、ファッションも好きだし、なんか人気出てくるんじゃないかなって思って、「DJしてみない?」って言ってみたんです。

──ご本人は乗り気でしたか?

「えー、できますか?」って感じだったんですけど、僕らも「できるよできるよ」なんて乗せて(笑)。

──なるほど。ちなみに、きゃりーぱみゅぱみゅという名前の由来は?

読者モデル時代に本人が付けたんですよ。オフィシャルブログを始めるときに「きゃりー」だけじゃ物足りないからインパクトが欲しいなと思ったみたいで。サバンナの八木さんのギャグで「ぱみゅ」っていうのがあるんですけど、それがかわいいなと思って使ったらしいです。

原宿のアイコンにしよう

──歌手デビューはどのようにして決まったんですか?

なんとなく「デビューしない?」って話になったんだと思うんです。僕としては原宿っていう街にアイコンがいないなと思ってて、中田くんともずっと前から「原宿のアイコンを作りたいよね」っていう話をしてたので、その中でデビューの案が出てきたのかな。偶然というか必然というか、そういうタイミングだったんだろうな。周りが「歌手デビューしようよ」と勧めたわけでもなく、きゃりーが「デビューしたいです」と言ったわけでもなく、チーム全体が「(きゃりーが歌手デビューしたら)面白いことできそうだよね」っていう温度感になってました。

──当の本人は歌やダンスをすることに対しては?

歌は元々好きだったと思います。カラオケもよく行くし。でも最初は悪い大人に騙されてると思ってたみたいですね(笑)。そんな、デビューできるなんて、と。

──中田さんのサウンドプロデュースという点をはじめ、どんなアーティスト像を持って臨んだのでしょうか?

元々僕は、曲のプロデュースは中田くんにやってもらうと決めていました。彼とも話したアーティスト像は、やっぱりアイドルじゃなくてアイコンにしようっていうこと。応援されて成長していったり、作っていく過程を見せていくんじゃなくて、自分から新しいものを発信して一緒に楽しむ。そういう存在は今なかなかいないし、その発信力が彼女にはあるなと思いました。

中田サウンドだけどきゃりーサウンド

きゃりーぱみゅぱみゅ

──中川さんが考える、きゃりーぱみゅぱみゅの魅力とは?

チームのみんな、つまり中田くんとかスタイリスト、PV監督、ヘアメイクさん、アートディレクター含めて、みんなお互いのことを信頼し合ってるから誰もダメ出しをしないというか、チームの中に否定っていう言葉がないんですよね。どれも素晴らしいって心から思えてる。そんなチームができたのも、彼女の魅力によるところが大きいかなと思います。

──確かにきゃりーさんの作品、ファッション、言動など関係するあらゆるものは、どれも「きゃりーっぽい」としか形容できない彼女らしさがあって、ある意味統制がとれてますよね。

すごく自由だけど、みんな同じ方向を向いているからでしょうね。きゃりーぱみゅぱみゅっていう元になる素材が、みんなにいろいろ料理されてもブレないから、無理やりではなく自然と同じ方向で揃うんです。例えば、中田サウンドだけどPerfumeともcapsuleとも違う“きゃりーサウンド”になっている。それは多分中田くんがきゃりーっぽさをしっかり理解しているからだと思います。

──やはり彼女は、ほかの人とは違う優れたセンスを持っているんでしょうか。

ほかの人と似てるかどうかっていうものさしじゃなくて、自分をちゃんと持ってるから周りと比較する必要もないし、自分の中で出来上がってるんだと思います。比較対象がないから、常にオリジナルなものができるのかな。

1stフルアルバム「ぱみゅぱみゅレボリューション」 / 2012年5月23日発売 / unBORDE(Warner Music Japan)

収録曲
  1. ぱみゅぱみゅレボリューション
  2. つけまつける
  3. PONPONPON
  4. みんなのうた
  5. きゃりーANAN
  6. CANDY CANDY
  7. Drinker
  8. おねだり44℃
  9. スキすぎてキレそう
  10. ぎりぎりセーフ
  11. おやすみ
  12. ちゃんちゃかちゃんちゃん
初回限定盤DVD収録内容
  • MUSIC VIDEO「PONPONPON」「つけまつける」「CANDY CANDY」
  • もしもしクアトロ LIVE(2012.2.25@Shibuya CLUB QUATTRO)「PONPONPON」「きゃりーANAN」
きゃりーぱみゅぱみゅ

1993年東京生まれ。フルネームはきゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ。高校生のときにファッション雑誌のスナップコーナーにピックアップされたことをきっかけに、原宿系ファッションのモデルとしてキャリアをスタートさせる。個性的なルックスとブログでの奔放な言動が話題を集める。2011年8月にはワーナーミュージック・ジャパンから、中田ヤスタカ(capsule)プロデュースによるミニアルバム「もしもし原宿」でメジャーデビュー。同作は世界23カ国でも同時配信され話題となった。2012年5月には1stフルアルバム「ぱみゅぱみゅレボリューション」をリリース。


2012年5月31日更新