音楽ナタリー Power Push - コレサワ

私からしか生まれない“自営ポップ”

コレサワが3枚目のミニアルバム「ジエイポップ」を完成させた。

前作「女子、ジョーキョー。」から9カ月ぶりのリリースとなる本作にはリード曲の「J-POP」やヤマモトショウ(ex. ふぇのたす)がアレンジを手掛け、コレサワ自身が「新たなコレサワを垣間見れる」と語るデジタルポップチューン「バックアップ」など全5曲を収録。多様なポップソングが詰め込まれた作品に仕上がった。

本作のリリースを記念して音楽ナタリーではコレサワにインタビューを実施。それぞれの楽曲について語ってもらうと共に、彼女が“J-POP”に抱く思いについて聞いた。

取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 小坂茂雄

Jは自営業の“ジエイ”

──前作「女子、ジョーキョー。」から、9カ月ぶりのリリースですね。

コレサワ

はい。ホントは7月くらいに出す予定だったんですけど(笑)。

──6月のライブ(参照:コレサワ、金木和也&あいみょんと歌声つないだ弾き語りの一夜)でそうおっしゃっていましたね(笑)。

そうなんです、(リリースが)延びて延びて。今までの作品ではパッとできた曲をリード曲にしていたんですけど、今回のリード曲の「J-POP」は去年の12月ぐらいからあった曲を納得いくまで、時間をかけて作り上げていったんです。1曲にこれほど時間をかけたのは初めてだったので「すごく大変だな」と思ったけど、曲に向き合えたのはよかったかなって。

──それほどまでに時間をかけた理由は?

まず、コンスタントにCDを出すことに自分がまだまだ慣れていなくて……1人でやっていたときは好きなときに作って、好きなときにライブで歌ってという感じだったけど、マネジメントと一緒にやるようになると、「このくらいに出してほしい」っていうスケジュールが決まってくるんです。それにライブもして、曲も作って、CDを出したらプロモーションをして……って、「音楽の仕事」が曲を作ることだけじゃなくなってくる。以前に比べたら曲を作る時間も少なくなっているから、制作のタイミングや時間は自分でちゃんとコントロールしないと完成は遠のくんだぞ、と。あと、「自分は何を歌いたかったんだっけ?」ということで悩んだ時期もあったりしたので、それも理由かなとは思います。

──今までにそういう悩みを感じることはありましたか?

なかったですね。なんと言うか、例えばTwitterを見ると自分の曲を聴いてくれる人の意見がダイレクトにわかったりするじゃないですか。そういうのって「気しないでおこう」と思っても、やっぱりみんなにちゃんと伝わる歌を歌いたいから気にしちゃう。そこは悩みました。ただライブをやっているだけだったときは、そんな悩みはなかったんですけどね。

──では、そういった悩みがあったところからどうやって「ジエイポップ」という作品にたどり着いたのでしょう。

コレサワ

前作は「女の子」がテーマだったけど、今回は特にテーマを設けず、新作に入れたい曲を5曲並べました。タイトルは収録曲を並べたときに、自分の中から出てきた曲というか……自分がこれまで営んできたことが元になって作られた曲が多いなって思ったんです。そうしたら、ジャケットを手がけてくれたウチボリシンペさんが、打ち合わせで「うちらって言わば“自営業”だよね。コレサワの『J-POP』のJは自営業の“ジエイ”でいいんじゃない?」って。

──そうだったんですね。なんで「エ」が大きいんだろうって思ってました。

そうなんです。自営の“ジエイ”なんです。

好きなものを否定しない関係

──ではリード曲の「J-POP」から話をお聞きしたいと思うんですが、この歌はどうやって完成したんですか?

好きな人のiPodをいじってたら、コレサワの曲が入ってなかったんです(笑)。「え!? CD渡してるやん、ちゃんと聴いてくれたん?」と思ってフリーズしてしまって(笑)。その人は音楽がすごい好きな人で、iPodにもめっちゃ曲が入ってるんですよ。そういうことがあって、「ああ、J-POPを聴かない人もいるんだな」と思って。逆にうちは生まれてこの方、J-POPしか聴いてこなかったし。でも、J-POPを聴かない人だからと言って性格が合わないわけではないから。音楽の趣味や好きなものや価値観が違うカップルとか友達っていっぱいいると思うし、そういう人たちってお互いが大事にしている好きなものを否定しないですよね。そういう関係っていいなって。それがこの曲の一番大きいテーマです。あと「J-POPを聴かない」っていうフレーズがすごく好きで。普段耳にする言葉じゃないところがいいなと思って。

──メロディラインはすごくポップだけど、少し影が差す感じもあって。

コレサワ

確かに、バカ明るい感じじゃないかもしれないです(笑)。メロディは全然悩まなくて、サラッと完成しましたね。歌詞でちょっと悩みました。Bメロのところ、「J-POPを聴かない」っていうフレーズにつながる部分をどう書いたら言いたいことが伝わるのか、ずっと答えが出なくて悩んでいました。

──歌詞で面白いなと思ったのが、デビュー曲の「君のバンド」は主人公の女の子がマイナーなバンドが好きで、相手の男の子が有名な曲しか知らない人という設定でした。だけど今度の「J-POP」では、相手の男性が「J-POPを聴かない」という。

……付き合っている男の子が変わってますよね(笑)。

──そうですよね(笑)。

でも自分の根本的なところは変わってないんです。お互いの大事なものは交わらないけど、今はそれでいいよね、それがお互いに大事なものならいいよねって。たとえ付き合ってる人が変わっていても(笑)。

ミニアルバム「ジエイポップ」/ 2016年9月21日発売 / 1300円 / RECO RECORDS / RECO-004
「ジエイポップ」
収録曲
  1. J-POP
  2. ショートカットに憧れて
  3. バックアップ
  4. シンデレラ
  5. おやじ

「J-POPしか歌えないっツアー 仲間編」

2016年10月29日(土)
東京都 渋谷Star Lounge
出演者コレサワ / フレンズ
2016年11月2日(水)
愛知県 ell. SIZE
出演者コレサワ / MOSHIMO / CHAI
2016年11月3日(木・祝)
大阪府 FANJ twice
出演者コレサワ / 絶景クジラ
2016年11月5日(土)
福岡県 Queblick
出演者コレサワ / みるきーうぇい / パノラマメロウ
2016年11月12日(土)
宮城県 FLYING SON
出演者コレサワ / GOOD BYE APRIL / ∞Z

「J-POPしか歌えないっツアー ぼっち編」

2016年11月27日(日)
東京都 gee-ge.
出演者コレサワ / macico
2016年12月4日(日)
北海道 musica hall cafe
出演者コレサワ / LOVERSSOUL
2016年12月10日(土)
静岡県 LiveHouse窓枠Cafe「AOZORA」
出演者コレサワ
2016年12月11日(日)
京都府 京都ROOTER×2
出演者コレサワ / 金木和也
2016年12月17日(土)
新潟県 Blue Cafe
出演者コレサワ / and more
2016年12月18日(日)
広島県 音楽喫茶 ヲルガン座
出演者コレサワ / 渕上里奈
2017年1月7日(土)
香川県 SPEAK LOW
出演者コレサワ / and more

nana x コレサワ「バックアップ」コラボコンテスト

nana×コレサワpresents コレサワ「バックアップ」コラボコンテスト

「ジエイポップ」の発売を記念して、音楽SNSアプリ「nana」では「『バックアップ』コラボコンテスト」を開催。新曲から定番曲まで、nanaにアップされているコレサワ楽曲すべてが審査対象で、審査にはコレサワ本人も参加する。
最優秀賞受賞者にはコレサワと楽曲レコーディングができる権利がプレゼントされる。また優秀賞受賞者は10月より開催されるコレサワの全国ツアー「J-POPしか歌えないっツアー」へ招待され、コレサワとグリーティングすることができる。

<応募期間>
2016年8月19日~2016年9月18日23:59
<企画ページ>
http://nana-music.com/topics/nanakoresawa/
コレサワ
コレサワ

大阪出身の女性シンガーソングライター。日常の風景を独自の視点で切り取ったポップなナンバーを得意としている。またメディアに顔出しをせず、「れ子ちゃん」と言われるクマのキャラクターがビジュアルを担当する。2015年4月に、初の全国流通盤であるミニアルバム「君のバンド」を発表。8月にテレビ東京「廃墟の休日」エンディングテーマに使用された「シュシュ」を配信リリースした。12月には2ndミニアルバム「女子、ジョーキョー。」を発表。2016年9月に3rdミニアルバム「ジエイポップ」をリリースする。10月からはバンド編成によるツアー「J-POPしか歌えないっツアー 仲間編」を、また11月からは弾き語りツアー「J-POPしか歌えないっツアー ぼっち編」を実施する。