音楽ナタリー Power Push - コレサワ
私からしか生まれない“自営ポップ”
普通に喜んでました。悪口書いてるだけやのに
──そして、最後に収録されている「おやじ」は一転、アコギのシンプルなアレンジで。これはもともとあった曲なんですか?
これが一番新しい曲です。「J-POP」ができて、そのあとに作った曲ですね。
──「おやじ」っていうタイトル、インパクトがありますね。
はい。なんか、おやじっていいですよね(笑)。あったかいですよね、意外と。
──すごくぶっきらぼうに思えるけど、じんわりと愛情を感じるというか。曲からも温かさを感じます。なぜこの曲を作ろうと思ったんですか?
うち、自分のお父さんの携帯電話の登録名を「お父さん」じゃなくて「おやじ」にしてて。両親は私が小学生のときに離婚してるので、お父さんとはずっと一緒に暮らしていないんですけど、電話をしょっちゅうしてくるし、すごいしつこいんですよ(笑)。最初のうちはそれがウザくて電話出る気になれなくて……でも、自分も歳を取ってくると「親はいつまでいるかわかんないな」「突然死なれたらたぶん後悔するんやろうな」とか考え始めて、「子供と離れて暮らして、なんかかわいそうやな」って思えてきたんです。
──そうなんですね。
なんかすごい同情しちゃって、そこから「電話出たろ」って思うようになりました。だから登録名を「おやじ」にして……「おやじ」やったら、電話出てあげたくなるなって(笑)。そんなおやじをホントに「どうしようもない人やなあ」と思いつつもやっぱり愛情があるので。今までお父さんの曲って恥ずかしくて作ってこなかったけど、ちょっと作ったろかなと思いまして。お酒を飲んで酔っ払ったような気分をイメージしながら作りました(笑)。
──“おやじ”は実際、この曲を聴いたんですか?
はい、ライブで聴きました。
──反応はいかがでした?
普通に喜んでました。悪口書いてるだけやのに。
──あはは(笑)。
お父さん、いつも私のCDをめっちゃ買ってくれるんですよ。でもこの曲が入ってるCDを親戚とかに配れるのかな?って。CDの売上が落ちるんじゃないかなって心配したんですけど(笑)、曲を聴いたあと「あの曲、どのCDに入んねん?」って聞いてきました。今度のCDに入るよって言ったら「買うわ」って。うれしいんやなあと思って(笑)。
歌詞と曲でちゃんと勝負したい
──こうして3枚目の作品を完成させた、コレサワさんの今の心境を聞かせてください。2015年の4月に初の全国流通盤を出してから約1年半が経って、最近はどんなことを考えながら音楽活動をしているのかなと。
自分の音楽がどうやったらちゃんと世間に広まっていくのかな?ということはすごく考えるようになりましたね。「私のやってることを、世間の人が好きになってくれたらいいな」っていう思いがすごくあって。だから誰にとってもわかりやすい、伝わりやすい歌詞を書いていきたいし、初めてライブに来た人にもコレサワを身近に感じてもらえる曲を歌いたい。遠回しな表現とかはあんまりしたくないっていう思いはありますね。
──「広く伝えていきたい」という思いが増した。
そうですね。今自分のことを応援してくれている人たちに「もっと大きいステージに立つ自分を観てほしい」って思うから、それには私のことを知っている人をもっと増やさなきゃダメだし、ずっと音楽をやっていくためには売れて稼がなきゃいけないですよね(笑)。そうやって自分のやりたいことをやるためにやらなきゃいけないことは、やっぱりいい曲を書く、伝わる曲を書くことだと思います。ただライブでノれるだけ、ダンスを踊れるだけっていう曲は、自分は作らなくていいと思っていて。自分は、シンガーソングライターとして歌詞と曲でちゃんと勝負したいっていう思いはずっとあります。
──では、コレサワさんは「J-POP」をどういうふうに捉えているのでしょう。
自分にとってはやっぱり、J-POPのJは「JAPAN」じゃなくて「自営」で、自分からしか生まれないものという感覚です。だから、コレサワ流のポップをもっといろんな人に届けたいです。
音程は気にしなくていいです
──「いろんな人に届けたい」というお話で言うと、音楽SNSアプリ「nana」ではコレサワさんの曲が人気だったりして、コレサワさんも自身の曲の“広がり”を実感していると思うんですけど、その辺りのお話も聞かせてもらえますか?
はい。「nana」では私の曲の音源にユーザーの人の歌や演奏を重ねることができるんですけど、若い子たちが自分の曲をカバーしてくれているのがすごいうれしいです。うち、「この曲歌いたい」と思われるのって、けっこうハードルが高いと思っているんですよ。好きな曲を聴くっていう行動の一歩先に「歌いたい」っていう感情があると思うので……だから「nana」とのコラボを経験してから「歌い応えがある歌詞を作りたい」と思うようになりました。
──具体的には、どんなところにうれしさを感じますか?
その人らしく歌ってくれているとうれしいですね。私の真似とかじゃなくて、その人の声と歌い方でアレンジされまくってるのとか、けっこう好きです(笑)。
──そして、今回「バックアップ」のリリースを記念して、「nana×コレサワ『バックアップ』コラボコンテスト」が始まりました。審査対象曲には「バックアップ」も入っていますけど、ユーザーさんにとってこの曲はハードルが高くないですか?
高いと思います!(笑)
──では、応募される作品への期待を込めたコメントをお願いします。
もう本当に好きにやってほしいです。うまく歌おうとしなくて全然いいので、自分の個性を存分に出して楽しんでほしいです。
──ちなみに「バックアップ」を歌うとき、コレサワさんが気を付けていることはありますか?
キーが高くて難しいので、もう開き直って歌ってます。サビの「最近の」っていうフレーズの歌い方がポイントなんですけど、音程は気にしなくていいです。
──あはは(笑)。
「最近の」の「近」は、もう跳ね上がっちゃって大丈夫です。
──貴重なアドバイスをいただきました。ありがとうございます。
いえいえ(笑)。ぜひチャレンジしてみてください!
収録曲
- J-POP
- ショートカットに憧れて
- バックアップ
- シンデレラ
- おやじ
「J-POPしか歌えないっツアー 仲間編」
- 2016年10月29日(土)
- 東京都 渋谷Star Lounge
- 出演者コレサワ / フレンズ
- 2016年11月2日(水)
- 愛知県 ell. SIZE
- 出演者コレサワ / MOSHIMO / CHAI
- 2016年11月3日(木・祝)
- 大阪府 FANJ twice
- 出演者コレサワ / 絶景クジラ
- 2016年11月5日(土)
- 福岡県 Queblick
- 出演者コレサワ / みるきーうぇい / パノラマメロウ
- 2016年11月12日(土)
- 宮城県 FLYING SON
- 出演者コレサワ / GOOD BYE APRIL / ∞Z
「J-POPしか歌えないっツアー ぼっち編」
- 2016年11月27日(日)
- 東京都 gee-ge.
- 出演者コレサワ / macico
- 2016年12月4日(日)
- 北海道 musica hall cafe
- 出演者コレサワ / LOVERSSOUL
- 2016年12月10日(土)
- 静岡県 LiveHouse窓枠Cafe「AOZORA」
- 出演者コレサワ
- 2016年12月11日(日)
- 京都府 京都ROOTER×2
- 出演者コレサワ / 金木和也
- 2016年12月17日(土)
- 新潟県 Blue Cafe
- 出演者コレサワ / and more
- 2016年12月18日(日)
- 広島県 音楽喫茶 ヲルガン座
- 出演者コレサワ / 渕上里奈
- 2017年1月7日(土)
- 香川県 SPEAK LOW
- 出演者コレサワ / and more
nana x コレサワ「バックアップ」コラボコンテスト
「ジエイポップ」の発売を記念して、音楽SNSアプリ「nana」では「『バックアップ』コラボコンテスト」を開催。新曲から定番曲まで、nanaにアップされているコレサワ楽曲すべてが審査対象で、審査にはコレサワ本人も参加する。
最優秀賞受賞者にはコレサワと楽曲レコーディングができる権利がプレゼントされる。また優秀賞受賞者は10月より開催されるコレサワの全国ツアー「J-POPしか歌えないっツアー」へ招待され、コレサワとグリーティングすることができる。
- <応募期間>
- 2016年8月19日~2016年9月18日23:59
- <企画ページ>
- http://nana-music.com/topics/nanakoresawa/
コレサワ
大阪出身の女性シンガーソングライター。日常の風景を独自の視点で切り取ったポップなナンバーを得意としている。またメディアに顔出しをせず、「れ子ちゃん」と言われるクマのキャラクターがビジュアルを担当する。2015年4月に、初の全国流通盤であるミニアルバム「君のバンド」を発表。8月にテレビ東京「廃墟の休日」エンディングテーマに使用された「シュシュ」を配信リリースした。12月には2ndミニアルバム「女子、ジョーキョー。」を発表。2016年9月に3rdミニアルバム「ジエイポップ」をリリースする。10月からはバンド編成によるツアー「J-POPしか歌えないっツアー 仲間編」を、また11月からは弾き語りツアー「J-POPしか歌えないっツアー ぼっち編」を実施する。
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