自分が好きな曲よりファンが喜んでくれる曲を

──そもそもこのカバーアルバムの収録曲はどうやって選んだんですか？

今回はスタジオにカラオケの機材を持ち込んで、周りのスタッフ、年齢も性別もバラバラの人たちから好きな曲のリクエストを集めたんですよ。40代の男性が好きな曲とか、20代の女性が好きな曲とか。自分が歌ってみたいと思う曲も含めて片っ端から歌っていって。それでどれがよかったか集計をとって、最終的に残ったのがこのラインナップなんです。自分が好きな曲っていうだけじゃなくて、みんながいいって思う曲も歌ってみたかったんです。

──その選曲方法は面白いですね。普通は自分が思い入れのある曲を歌いたいものだと思うんですが……。

そうですよね。当然、思い入れのある曲も入っていますけど、なんでだろう。やっぱりいつも意識してるのは、ファンのみんなが喜んでくれる曲を歌いたいっていうことで。特にカバーって難しくて、自己満足に陥りやすいのかなって思うんですよ。例えばカラオケで得意な曲だと、ちょっと流暢に歌いすぎてしまったり。でもそういうものだと“作品”にはならないと思うんで。

──自分の思い入れより、作品としての完成度を優先する？

そう、例えば「ラブリー」も、リアルタイムで通ってはいないんですけど、自分なりのアレンジをしたらめっちゃオシャレになるんじゃないかなっていう思いがあって。「今宵の月のように」もうちの40代の男性スタッフで「この曲はいいよ！」って言う人が何人かいたんで、よし、歌ってみよう！って思ったんです。

──結果正解だったと思います。

やっぱりファンの方にお金を出して買っていただくものですからね。私も若い頃はお小遣いを削って削ってCD買ってたんで。音楽をやる上で自分が楽しむことはもちろん大前提なんですけど、楽しみすぎて趣味で終わるのはちょっと違うかなっていう気がしたんですね。

──収録曲はすんなり決まりました？

いや、実際選んでアレンジしてみたけどうまくいかなかった曲もいっぱいあるんですよ。自分の中の基準を超えられなかったっていうか。やっぱり納得いかないものは入れられないんで。

──その基準って？

アレンジがうまくハマるかどうかはやっぱり大きいですね。私が歌ったときに違和感なく、いい感じで化学反応が起こるかどうかっていう。

実際に歌って「ラブリー」のすごさを知った

──「ラブリー」はリアルタイムでは聴いていなかったということですが、今回実際に歌ってみてどうでしたか？

いや、私こんなにすごい曲だっていうのを歌ってみて初めて知りました。小沢さんってすごい方だなと。メロディラインから転調の仕方から歌詞のはめ方から、とにかくすごくて、レコーディングしながらびっくりしてました。小沢さんって、ふわっと楽しそうに歌いますよね？ で、自分で歌ってみてもすごく楽しくて「これが音楽なんだ」って思ったりして。

──聴いてるほうも楽しかったです。あと「ラブリー」はビデオクリップもヤバいですよね。全体的にファンシーすぎる気もしますけど（笑）。

30歳でこれアリなのかな？って思いながら、頭にお人形付けましたからね（笑）。自分で付けたいって言ったんですけど。

──かなり振り切ってますよね（笑）。

そうなんです！ だからちょっとやりすぎかな？ってみんなに聞いたんですよ。でも「作品だし、振り切っててもいいんじゃない？」って、言ってもらえたんで。最近は子供もいて、30歳だし、大人っぽいかわいさを意識してるんですけど、なんかあんなふうになってしまいました（笑）。

──いやいや、あそこまでやってもらえたらもう言うことないです。

あははは（笑）。ありがとうございます。