ナタリー PowerPush - 倖田來未

話題沸騰カバーアルバムの裏側

倖田來未が、新作カバーアルバム「Color The Cover」を2月27日にリリースする。キャリア2枚目のカバーアルバムとなる今作で、彼女は、「ピンク スパイダー」「ラブリー」「情熱」「今宵の月のように」などのバラエティ豊かな楽曲に挑戦。「エンタテインメントカバーアルバム」と銘打って、彼女流のハイクオリティなサウンドを提供している。

ナタリーでは、そんな新作の発売を控えた倖田來未にインタビューを実施。アルバムに込めた熱い思いを語ってもらった。

取材・文 / 大山卓也

20パターン以上のアレンジを試行錯誤

──アルバム聴かせていただきました。ボーカルはどの曲も倖田さんらしく、アレンジにもそれぞれ説得力があって、すごくいい作品だと思います。

「ピンク スパイダー」ビデオクリップ撮影現場の様子。

うれしいです! 音楽好きの方にそう言っていただけるとほんとうれしい。よかったあ。

──で、今日はちょっとぶっちゃけた話をしたいんですけど……。

どうぞ……怖い!(笑)

──正直に言うとこのアルバム、実際に聴くまではちょっと不安だったんですね。

えっ、どういう意味で?

──自分自身が好きな曲とか思い入れの強い曲がたくさんセレクトされていたので、いったいどう料理されるんだろうって……。

ああ、そうですよね。わかります(笑)。

──でも聴いてみたら、おかしな言い方ですけど、どの曲も思った以上に丁寧に作られていて。

よかったあ!(笑) それはもう必死で作りましたからね。「ピンク スパイダー」もそうですけど、やっぱり原曲を思い切ってひっくり返してしまっている部分があるので。どんな反応をいただけるか、実は私も心配だったんですけど。

──確かに「ピンク スパイダー」の大胆なアレンジには驚きました。もしかしたらhideさんのファンの中には「これは自分には受け入れられない」と思う人もいるかもしれないですけど、それでもこうやって攻めてるのがすごいなと思って。

やっぱり私もhideさんをすごくリスペクトしていますし。それにもとの楽曲自体が圧倒的な存在感を持っているので、それをいい意味で壊しつつ、みんなに倖田來未バージョンもいいよねって認めてもらえるようなものを作りたいと思って。それでもう20パターン以上アレンジ考えて、ロック×ポップス、ロック×デジタル。ああでもないこうでもないっていろいろやってみたんです。

──20パターン以上というのはすごいですね。

でも結局ロック要素が残ると「やっぱり原曲のほうがいいよね」ってことになってしまう。それで一度はあきらめかけたんですけど、最後にロンドンのプロデューサーの方にお願いしてみたら、ああいうダブステップ色の強い音が上がってきて。これはカッコいい!ってなったんですよね。最初はロック要素を残しつつ、キャッチーなポップス風にしたり、もっとヘビーな感じにしてみたり。デジタルの音を足したり引いたり、生音主体にしてみたり、そんなことを延々試してたんですけど。

“倖田來未”というゴールに向かって走ってる

──そういう判断って倖田さんが自分でするんですか? アレンジのニュアンスまで?

はい。デビュー当時は私自身、歌が歌えればいいやって思っていただけだったんですけどね。「キューティーハニー」という楽曲と出会って、それで世の中の方に知ってもらえる機会が増えて意識が変わってきて、それからは「こういう曲を歌ってみたい」とか「もっとこんなアレンジにしたい」とか、どんどん意見を言わせてもらうようになったんです。あと今回はトラックダウンもけっこうこだわりましたね。曲によっては何回もやり直して。

──倖田さんってトラックダウンも立ち会うんですか?

もちろん。毎回必ず立ち会って、家に持ち帰ってまた聴いて。もっとこうしたいな、とかいろいろ出てきますからね。

──そのお話は正直ちょっと意外でした。倖田さんの場合、キャラクターやシンガーとしてのイメージが強烈すぎて、その音に対するスタンスがあまり見えてこないので。

まあそうですよね(笑)。やっぱり倖田來未っていうのは、“エロカッコいい”とか、ファッションでの露出とか、楽曲よりもイメージ先行で先に認知されたので。だからやっぱり流行りで終わってしまうイメージがあったと思います。「キューティーハニー」とか「Butterfly」あたりの頃は特に。

──実際すごく流行りましたしね。

「ピンク スパイダー」ビデオクリップ撮影現場の様子。

ブームで終わらせたくないっていう思いが自分の中で強くて。その頃から最低10年は歌い続けたいって思ってました。だからけっこう批判されたり叩かれたりしたこともあるんですけど、そこは逆にもう貫き通そうってスタッフみんなで話し合って決めたんです。衣装ひとつにしても「ちょっとこれセクシーすぎるんじゃないの」とか言われたりもしたんですけど、「いや、倖田來未はこれがいいんだ」って言ってくれるスタッフに恵まれて。そのおかげで今の倖田來未がいるんですよね。

──なるほど。

だからスタイリストさんが持ってきてくれた服を選ぶときも「私はこの服が好きなんだけど、倖田來未にはこっちが似合うかな」って考えるんです。自己満足にならないように、“倖田來未”というゴールを決めて、そこに向かって走るようにしてる。楽曲選びもファッションもメイクも、常にそこを意識してやっている感じですね。

──自分のキャラクターやアーティスト性を客観的に捉えてるということですよね。だけど倖田さんってどうにも誤解されやすいというか……。

あははは(笑)。態度がデカいんで、やっぱりイメージはあんまりよくないんですかね(笑)。でも倖田來未っていい意味でも悪い意味でも、キャラクター込みで浸透しているところはあると思いますし。本当だったらもう30歳なんで大人っぽいイメージでいきたいんですけど、でもおしゃべりだし、関西人だしで、なかなか軌道修正できないままで(笑)。

──でもいずれにせよ音楽制作に対する真剣さはもっとアピールしてもいいと思います。例えばそういうアレンジへのこだわりとか。

うれしいです、そう言っていただけるの。でも昔はなかなかやりたいようにできなかったんですよ。作家さんも売れてるアーティストに曲を書きたいのが当たり前だから、当時、無名の私にはなかなかデモが回ってこなかったり。でも、今はいい環境で曲を選べて、フォトグラファーもスタイリストさんも自分がやりたいと思う方と一緒にやれるようになってきて、それは今まで少しずつ積み上げてきた結果なのかなって。やっぱりクラブで歌ってて、お客さん3人だけみたいな頃もありましたから。ライブ初日の前日は、今もその光景を夢に見ますもん(笑)。

カバーアルバム「Color The Cover」 / 2013年2月27日発売 / rhythm zone
初回限定盤 [CD+DVD+フォトブック] 4980円 / RZCD-59333/B
CD+DVD通常盤 [CD+DVD] 3990円 / RZCD-59334/B
通常盤 [CD] 2625円 / RZCD-59335
CD収録曲 ※カッコ内はオリジナルアーティスト
  1. ピンク スパイダー
    (hide with Spread Beaver)
  2. Shake Hip!
    (米米CLUB)
  3. ラブリー
    (小沢健二)
  4. 情熱
    (UA)
  5. One more time, One more chance
    (山崎まさよし)
  6. Alone
    (岡本真夜)
  7. Blue Velvet
    (工藤静香)
  8. 「男」
    (久宝留理子)
  9. どうにもとまらない
    (山本リンダ)
  10. 今宵の月のように
    (エレファントカシマシ)
<ボーナストラック>
  1. 歌は我が命
    (美空ひばり)
DVD(初回限定盤)収録内容
  • ドキュメンタリー映像
  • ピンク スパイダー(MUSIC VIDEO~Album Version~)
  • ラブリー(MUSIC VIDEO)
  • Shake Hip!(MUSIC VIDEO)
  • ラブリー(MAKING VIDEO)
  • Shake Hip!(MAKING VIDEO)
DVD(CD+DVD通常盤)収録内容
  • ピンク スパイダー(MUSIC VIDEO~Album Version~)
  • ラブリー(MUSIC VIDEO)
  • Shake Hip!(MUSIC VIDEO)
  • ラブリー(MAKING VIDEO)
  • Shake Hip!(MAKING VIDEO)
倖田來未(こうだくみ)

プロフィール画像

1982年京都府出身。18歳のときに米国でシングル「TAKE BACK」をリリースし、本格的なR&Bサウンドとズバ抜けた歌唱力で注目を集める。国内では2004年にリリースした「キューティーハニー」のカバーがヒットを記録。大胆な発言やセクシーなファッションとともにその認知度を一気に拡大し、トップアーティストの仲間入りを果たす。その後もシングル12週連続リリースの敢行や、ベストアルバムのダブルミリオンセールス達成など多くの話題を提供。その気さくなキャラクターも相まって若い女性ファンを中心に圧倒的な支持を集める。2013年2月27日にカバーアルバム「Color The Cover」をリリース。