「わたしー、メタル精神捨ててないんでー」

──そしてもうひとつの作詞曲「＼ｍ／」なんですけど、この曲ってライブ会場限定シングル「Chu→ning♪」のリメイクですよね。なぜ改題しようと？

「Chu→ning♪」は会場限定の曲だったので、それとは別バージョンにしたかったっていうのがまずあって。じゃあどんなタイトルがいいんだってなったとき、イベントのバックステージなんかで出演者の皆さんと一緒に写真を撮るとき自分がよくメロイックサインを作ってることを思い出したんですよ。ほかの方が（顔の横に右手を当てて）「ピースっ！」ってやる感覚で。「わたしー、メタル精神捨ててないんでー」って（笑）。

──素晴らしい中二イズムです（笑）。

ただ皆さんが顔の横でかわいくピースを作ってるのに私だけメロイックサインを目の前に突き出すのも違うので、顔の横でメロイックサインを作るようにはしていて。あと、メロイックサインを作りながら「ピース」って言ってるメタルバンドのライブ映像を観ることがけっこうあったことから、まず「メタルピース」という喜多村的造語ができあがり（笑）。で、メロイックサインっぽくて、しかも「ピースっ！」「いえーいっ！」っていうテンションを表現できる記号ってないかな？っていうことで、この顔文字みたいなものが完成したんです。「→↑」のときもそうだったんですけど目を引きたいっていう気持ちもあったので。

──じゃあ目論見は成功ですね。ナタリーで「証×明」のトラックリストが公開されました、っていうニュースを出したら（参照：キタエリ、新作リード曲PV公開＆早くも新曲リリース決定）、ちゃんとTwitterで「で、最後の曲、なんて読むんだよ」的なツッコミが入ってましたから。

計画通り（笑）。そういうふうに、キタエリストが「まーた喜多村が遊んでやがるよ」ってあえて釣られてくれるのはもちろんだし、あと「なんでこの人、顔文字とか使っちゃってんの？」って思った方がこれをきっかけに喜多村英梨っていう人のことを気にしてくれるようになったらホントにうれしいですよね。

これからも続く喜多村英梨の物語

──「＼ｍ／」って詞も面白いですしね。ド頭の「時は来たれり」は「時はキタエリ」に空耳できるし、「レディゴー」と「★Eri★ Go!!」を、「I Scream!」と「アイスクリーム」をかけてたりするし。この人、ダジャレうまいなあって思いました（笑）。

私は今ホメられてる……のか？（笑） でもそのダジャレというか言葉遊びにはやっぱりこだわりがあって。私とキタエリストの暗号ソングにしたかったんです。「時は来たれり」や「★Eri★ Go!!」「I Scream!」もそうですし、「薔薇×百合デコレーション☆」は私が男性ファンのことを「キタエリスト薔薇組」、女性ファンを「キタエリスト百合組」って呼んでるから仕込んだフレーズだったりしますし。一見カオスな歌詞なんだけど、私たちならではの遊びをしてみたかったんですよね。あとはこの曲をライブ会場で初めて完成する曲にしたかった。CDの中だと「時は来たれり」や「★Eri★ Go!!」を歌ってるのは私だけなんですけど、ライブではみんなにもデスボで叫んでもらいたいですし、歌詞カードに「（）」付きで書いてある「でしょ」とか「Yeah!!」以外にも掛け合いやコールをガッツリ入れてるので、そこも歌ってもらいたいですし。私の中では、ライブに来てくれたみんながノドを潰すくらいのテンションで盛り上がってくれたときに初めて完成を見る曲なんです。

──「証×明」でキタエリサウンドセカンドシーズンが到来したことを文字通り“証明”した今、やってみたいことってあります？

「証×明」で重たいながらもスッキリと聴かせつつ、個々の楽器が主役になれるサウンド作りができるようにはなったものの、さっきもお話した通り、まだまだ出し惜しみしている部分はあるので（笑）。これからは、このサウンドを踏襲しつつ、皆さんにお見せしていない試みを、それぞれ絶好のタイミングで提示できたらなって思ってます。実際来月リリースする「掌 -show-」っていうシングルでもけっこう挑戦してみたつもりですし。タイトル曲が「シドニアの騎士」っていうアニメのエンディングテーマになっているんですけど、私、この「シドニアの騎士」の原作マンガのホントにファンで。世界観は壮大だし、ストーリーは本当に練り込まれてるし、エグい表現や人の死みたいなハードな表現からも絶対に逃げないし。そういう作品から「おっしゃ、じゃあお前かかってこいよ」っていう挑戦状を受け取ってまた新しいことをガツガツやってみていたりするので、今は「これからも声優アーティスト・喜多村英梨の物語とキタエリサウンドは続いていくんだな」って思ってもらえるとうれしいですね。