氣志團万博2017 ~房総与太郎爆音マシマシ、ロックンロールチョモランマ~|綾小路翔が語る、結成20周年の夏の奇跡

氣志團の主催による野外フェス「氣志團万博2017 ~房総与太郎爆音マシマシ、ロックンロールチョモランマ~」が、今年も千葉・袖ケ浦海浜公園にて2日間にわたり行われた。

氣志團の結成20周年となる今年は山下達郎、布袋寅泰、米米CLUBといったレジェンド陣から期待の若手まで、幅広い豪華アーティストが出演。各アーティストのファンがジャンルを超えてフェスをまるごと楽しむ「氣志團万博」ならではの光景が今年も繰り広げられた。現在の形式で6回目、そして結成20周年のアニバーサリーイヤーの「氣志團万博」に対し、綾小路翔(Vo)はどのような思いで準備を進め、当日は何を思っていたのか。開催から1カ月を経た今、改めて語ってもらった。

取材・文 / 宇野維正

夏フェスのトリを務めさせていただきたい

──今年も、本当に楽しませていただきました。

あいにくの天候で(笑)。

──でも2日間ソールドアウトで、ちゃんと最後まで完走できましたからね。大成功じゃないですか。

9月16日のOPENING CEREMONY ACTを務めたJAGUAR。(撮影:釘野孝宏)

本当ですね。あれだけ同時期のイベントが台風で中止になったりしている中で、2日間開催できただけでも奇跡だったなって。やはり、我が国が誇る “音楽の神様たち”があれだけ一堂に大集結してくださっていたわけですから、台風もさすがに気を遣ってくれたのかも(笑)。

──すっごい大前提の話をしていいですか? 氣志團万博はずっと9月半ばの連休の時期にやっているわけですが、中止になったことはないものの、毎年台風の動きにヤキモキしているじゃないですか。この時期に野外で大型イベントをやる以上、それってもう宿命みたいなものだと思うのですが、それでもやっぱりこの時期にやる理由がある?

理由はいくつかあります。1つはブッキング。とにかく皆さん、8月いっぱいはフェスなどでスケジュールが埋まっているわけで。あと、皆さんのほとんどは東京に住んでるわけですけど、夏休みの期間は心理的に、いつでもできる東京圏よりも地方でライブをしていたいというのがあるに違いないと思っているんですよ。で、ちょうど皆さんが東京近郊でやりやすくなってくるのがこの時期なのではないかと。それと自分勝手な理由としては、夏フェスシーンというものがこれだけ大きくなっている中で、そのトリを務めさせていただきたいなっていう。図々しい話ですけど(笑)。

──なるほど(笑)。

フェスってもう、1年中やってるじゃないですか。でも9月の半ばは、“夏”って付けられる最後のタイミングだと思うんですよ。

──確かに。氣志團万博が終わると「本当に夏が終わったなー」っていう感覚があります。

9月17日のOPENING CEREMONY ACTを務めたレイザーラモンRG。(撮影:上山陽介)

あとこれはデータで立証されているんですけど、過去十数年、実はこの時期って、(木更津のある)房総では雨の降りづらい時期なんですよ。

──本当に?

はい。西側から台風が来ても、だいたい房総に来る前に進路が外れたり、弱まったりするんです。房総で生まれ育ってきた僕の記憶でも、小学生の頃から「台風が直撃する」ってニュースが流れると、学校が休みになるかもってことで、とにかくうれしくてうれしくて、前の日から興奮していたんですけど、だいたい翌日の朝は台風が思いっきり外れてカラッカラに晴れてる。で、近くの家からも、子供たちがさめざめと泣く声が聞こえてくる。「こんなはずじゃなかった」って(笑)。今年は「24年ぶりに直撃」ってニュースで言ってましたけど、僕の記憶では24年前も大したことなかった。ただ今年は、2日目はほとんど雨が止まなかったですからね。お客さんのみんなに寒い思いをさせちゃって申し訳なかった。

──誰でも参加できるっていうのは間違いなく氣志團万博のいいところなんですけど、その分、朝から雨なのに半袖に短パンみたいなお客さんもけっこういましたからね(笑)。

僕らからも、もうちょっと注意喚起したほうがよかったのかなという反省はあります。あと雨で寒かったせいか、トイレが異常に混んじゃったのは我々がその心理を理解していなかったという運営上の問題でもあるので、そのあたりは今後改善していかなきゃと思ってます。

──1日目は、新しい世代のバンドが多く出演していたのが印象的でした。

左から西園寺瞳(氣志團)、TAKUMA(10-FEET)、綾小路翔(氣志團)。(撮影:青木カズロー)

今年の1日目は、いわゆるパンク / ラウド系のヒーローたちに集まってもらって。ホルモンとかDragon Ashには、勝手ながら同期の仲間って意識もあるんですけど、SiMやcoldrainや、2日目のほうですけどBLUE ENCOUNTは、ほかのフェスでステージを観てどうしても出てほしいと思って。ブルエンに関しては今回が完全に初対面だったんですけど、声をかけさせてもらったんです。そして、かねてから一方的なラブコールを送っていた布袋(寅泰)さんが、今年ついに出てくれることになった。今をときめくロックバンドたちが集った日の終盤にVAMPSが出て、最後に布袋さんが出る。僕にとっては最良の1日。そこでの化学反応みたいなものを見たかったし、見せたかったんです。

──そして10-FEETからももいろクローバーZへ、という異色の流れも氣志團万博の恒例となりつつありますね。

煽りV(各アクトがステージに上がる前に会場で流される映像)でも「10-FEETが房総にモッシュとダイブという文化を持ち込んだ!」って流しましたけど、本当に3年前に彼らが来るまでの氣志團万博の会場って、みんなステージに向かって手を振るくらいで、大変牧歌的な風景が広がっていたんですよ。でも、あのノリにアイドルのファンたちも目覚めちゃって、今や氣志團とももクロより、10-FEETとももクロのほうが親和性が高くなってるっていう。

氣志團万博2017~房総与太郎爆音マシマシ、ロックンロールチョモランマ~

氣志團の主催で9月16日、17日に千葉・袖ヶ浦海浜公園にて行われた野外フェスティバル。2003年と2006年に氣志團の大型野外ライブとして開催された「氣志團万博」が、2012年より会場を袖ヶ浦海浜公園に移し、フェス形式で行われるようになった。現在の形式で6回目の開催となった今回は2日間それぞれ17組ずつが出演し、約5万人が来場した。

出演者

9月16日
YASSAI STAGE

JAGUAR(OPENING CEREMONY ACT) / 氣志團 / 東京スカパラダイスオーケストラ / 10-FEET / ももいろクローバーZ / SiM / マキシマム ザ ホルモン / Dragon Ash / VAMPS / 布袋寅泰

MOSSAI STAGE

四星球 / coldrain / MUCC / LiSA / DJダイノジ / RIP SLYME / 私立恵比寿中学

9月17日
YASSAI STAGE

レイザーラモンRG(OPENING CEREMONY ACT) / ゴールデンボンバー / SCANDAL / KICK THE CAN CREW / WANIMA / 氣志團 / ユニコーン / 岡村靖幸 / 山下達郎 / 米米CLUB

MOSSAI STAGE

UNISON SQUARE GARDEN / BOYS AND MEN / 水曜日のカンパネラ / C&K / BLUE ENCOUNT / MIYAVI / 岡崎体育

番組情報

WOWOWにて放送決定!

本放送直前スペシャル
  • WOWOWプライム 2017年11月11日(土)ほか※無料放送
初日
  • 前編WOWOWプライム
    2017年11月18日(土)15:00~
  • 後編WOWOWライブ
    2017年11月18日(土)18:00~
2日目
  • 前編WOWOWライブ
    2017年11月19日(日)15:00~
  • 後編WOWOWライブ
    2017年11月19日(日)18:00~
氣志團結成20周年記念ツアー「リーゼント魂」
  • 2017年11月9日(木)千葉県 市川市文化会館 大ホール
  • 2017年11月12日(日)福岡県 福岡市民会館
  • 2017年11月18日(土)山梨県 コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
  • 2017年12月1日(金)北海道 札幌市教育文化会館
  • 2017年12月3日(日)東京都 オリンパスホール八王子
  • 2017年12月16日(土)静岡県 富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
  • 2017年12月17日(日)京都府 八幡市文化センター 大ホール
  • 2018年1月7日(日)岡山県 倉敷市芸文館
  • 2018年1月8日(月・祝)香川県 サンポートホール高松
  • 2018年1月13日(土)栃木県 那須塩原市黒磯文化会館 大ホール
  • 2018年1月14日(日)茨城県 龍ケ崎市文化会館 大ホール
  • 2018年1月20日(土)岩手県 遠野市民センター
  • 2018年1月21日(日)宮城県 トークネットホール仙台
  • 2018年1月26日(金)大阪府 オリックス劇場
  • 2018年1月28日(日)愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
氣志團(キシダン)
1997年に千葉県木更津で結成。メンバーは綾小路翔(Vo)、早乙女光(Dance & Scream)、西園寺瞳(G)、星グランマニエ(G)、白鳥松竹梅(B)、白鳥雪之丞(Dr / 2014年3月より活動休止中)の6名。“ヤンクロック”をキーワードに、学ランにリーゼントというスタイルでのパフォーマンスが話題を集め、2001年12月にVHSビデオで“メイジャーデビュー”を果たす。「One Night Carnival」「スウィンギン・ニッポン」などヒット曲を連発し、2004年には東京ドームでのワンマンライブも開催。2012年からは地元千葉県にて大規模な野外イベント「氣志團万博」を主催し、ほかのフェスとは一線を画するラインナップで多くの音楽ファンの支持を集めている。結成20周年を迎えた2017年8月にはTAKURO(GLAY)、鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)、櫻井敦司&今井寿(BUCK-TICK)ら豪華アーティストの楽曲提供によるアルバム「万謡集」をリリース。12月に行われる「JALホノルルマラソン2017」では“公式應援團”に就任し、オフィシャル応援歌「RUNNING MAN」を提供している。