氣志團と出演者の相思相愛

大野　氣志團もそうですけど、出演するアーティストのほうもおそらく採算度外視で、どんだけ演出してくるんだっていうようなことをしますよね。

フジジュン　ね、それもホントほかとは違う。

大野　ほとんどのアーティストが完全オーダーメイドの衣装ですよ。しかも「学生服ベースのオーダーメイド」（笑）。完全にヤンキーの世界で、氣志團に取り込まれてる。1つのイベントのために衣装を新調してくるなんて、宇野さんがおっしゃってたワンオブゼムのフェスじゃありえないことですよね。

フジジュン　AKB48とかもそうでしたしね。

宇野　AKBが氣志團のメンバーと共演したとき、氣志團はわざわざメンバーみんなブレザーを準備してきたのに、AKBもヤンキーセーラー服みたいな服装を準備してきてたっていう。だからステージ上にはブレザーを着てる氣志團と、ヤンキーの格好をしてるAKBがいて（笑）。

一同　はははは（笑）。

宇野　お客さんだけじゃなくて、氣志團とほかの出演者同士がお互いにサプライズを仕掛けるっていう。まあその結果お互いすれ違いみたいなことが起こっちゃったんだけど（笑）。

フジジュン　ホントに團長の愛情に愛情で返して、みたいなのがどのアーティストからも見えますよ。

ノートの隅で繰り広げる“俺フェス”

宇野　「氣志團万博」って毎年裏テーマみたいなものがいくつも仕込まれてるんですよね。例えば去年だと1日目が岡村靖幸さん、3日目吉川晃司さんで。これは翔さんもステージで言ってましたけど、真ん中の日には尾崎豊さんを出したかったって。

大野　それはもう呼びたいですよね。

宇野　80年代に青春を送った人なら知ってると思いますけど、岡村さんと吉川さんと尾崎さんの3人ってすごく仲良しだったので。どこかで尾崎豊さんが見てるんじゃないかなって物語を翔さんやファンは考えちゃう。2013年のhideさんなんかも象徴的ですよね。

フジジュン　うん。

宇野　音楽好きな人ってよく“俺が考えるフェス”みたいなのやるじゃないですか。例えばビートルズをトリにして、ジミヘンはトリ前にしようかなって（笑）。ロックファンの中学生みたいな感じで、1人ベッドの上で妄想して。

フジジュン　あははは（笑）。いや本当そんな感じですね。「氣志團万博」のラインナップは“バカが考えたロックフェス”ですよ（笑）。

大野　完全にノートの隅に書いたような妄想ラインナップですからね。

宇野　ダメな音楽ファンが授業中とかにノートの隅に書くやつですよね（笑）。「ここでサプライズにマッチを出して」とか。

一同　わははは（笑）。

フジジュン　自分で書いててブルッちゃって（笑）。

宇野　「氣志團万博」はそういった妄想を現実化したものなんですよね。

大野　常識ある人のオファーじゃないですよね（笑）。

出演オファーはダメもとで行く

フジジュン　オファーする翔くん自身もビビりながら声をかけてる、みたいなところはあるみたいですね。

大野　吉川さんに直接オファーする（参照：綾小路翔の悲願達成「氣志團万博」に吉川晃司）って、やっぱりちょっとすごいなと思いますよ。

フジジュン　ああそれ、翔くんも話してましたね。3年やってみて、夢や執念みたいなのを忘れちゃいけないなっていうことを改めて思ったって。ダメもとで行く行動力ですよね。それこそ夢を叶えるためにっていう。

宇野　そういう考えや行動って絶対必要ですよね、世の中を面白くするためには。

フジジュン　うん。しかもそれでいて若い子を置き去りにもしないってのがすごい。

宇野　そう、そこも重要ですね。

フジジュン　2014年だってそれこそ味噌汁's、きゃりーぱみゅぱみゅが出て、GRANRODEOも。ラインナップの中に若い子が狂喜乱舞するメンツがいるのはすごく意味があると思う。

宇野　翔さんは本当に音楽好きな方で、現役の音楽ファンでもあるんですよね。まだ誰も注目してないときからチェックしてたみたいなのが多いし、そういう面もちゃんと生かされてる。

フジジュン　そのうちの1組だった私立恵比寿中学は豪雨の中でライブをするっていうドラマを生んで。2013年ではオープニングアクトだった彼女たちは翌年晴れてメインアクトとして出てきた。グッときますよね。