音楽ナタリー PowerPush - 氣志團万博2015

3人の筋金入り音楽ファンをうならせた“ありえない祭り”の醍醐味

万博とバンドの相互関係

大野 綾小路翔って何人いるのかなって思うとき、たまにありません?

綾小路翔(氣志團万博2012より)

フジジュン あははは(笑)。それあります。

大野 「氣志團万博」の当日、彼は舞台裏で出演者をステージにお見送りして、終わったら出迎えて、さらにコラボもして、もちろん自分のステージもあって。裏側でも数パターン衣装も着替えるし、けっこう飲んでるし(笑)。

フジジュン で、終わったあとは地元の先輩と飲みに行ってますからね(笑)。

大野 そうなんですよ。なんでそこまでするんだろうって思うくらい。

フジジュン すべてをフラットに考えてるんでしょうね。アーティストも地元の先輩も、尊敬する存在ってところでは変わらない。それこそ昔敵対視していた番長同士の手を大人になってからつながせたって話を聞いたことありますけど(笑)。「氣志團万博」の出演アーティストをすべての参加者に紹介してえんだよっていう思いもどこかにあるのかなって。

大野 あ、地元の先輩と飲みに行く前に、楽屋で翌日の出演者1人ひとりに向けて手紙も書いてる!(笑)

フジジュン あとこのラインナップ見てると、ああこういう音楽が氣志團のバックボーンになってるんだっていうのが見える。そういう意味でもなんか「氣志團万博」って氣志團の集大成みたいになってる気もしますね。

綾小路翔(氣志團万博2013より)

宇野 氣志團って90年代末~00年代頭にかけて、80年代のヤンキーカルチャーを「なんでこの時代に?」って感じで打ち出したバンドで。最初は氣志團がやってたオマージュに対してみんな深読みしたり元ネタを探ったりして共有できてたんだけど、今の若い子にしてみたら80年代も90年代もたいして変わらない。だからあのスタイルがいつの時代かっていう遠近感がなくなって「氣志團はああいう格好の人たちだ」ってことでまとめられちゃってる。

フジジュン うん。

宇野 そうやって音楽リスナーやオーディエンスがあんまり作品を深堀りしなくなった時代だからこそ「じゃあもう全部見せるよ」ってことですよね。要するに、これまでは作品単位に込めていたオマージュみたいなものを、木更津のステージで一挙に見せてる。

フジジュン なるほど。

宇野 それは氣志團という特殊なコンセプト、思想を持ったグループだからできることなんですよね。氣志團という表現集団における「万博」って、単純に“彼らがやってるフェス”というだけじゃなくて氣志團自体の説明書みたいにもなってる。

大野 ああ、まさにそうですね。血となり肉となった音楽と、それらをつなげて自分の音にした脳内が見える。

宇野 だからこんなに大きなフェスを毎年必死になってやってるのに、氣志團自体の活動はどうなってるのって思わせない。これが氣志團の活動なんだってちゃんと思えるんですよね。

各アーティストがファン層を広げる場

フジジュン 「万博」が氣志團を好きになるきっかけにもなってますよね。実際に昨年の「万博」が終わってからファンクラブの会員も増えましたし。

宇野 氣志團のブランドがちゃんと上がってるんですよね。それに若い層の認知度も。特に自分たちの世代のファンを相手にずっとやってくアーティストが多い中で、ちゃんと若い子の認知というかファン層を広げているのはすごい。

大野 ですね。固定ファンを大事に育てていくだけじゃない。テレビ的に言うと“キッズ・ティーン”層へのアピールも丁寧。

宇野 その上、ほかの出演者にとってもちゃんとWin-Winの関係になってるんですよね。大御所の方は特にそうですけど、ある程度ファンが固定化されちゃってる中で、やっぱりこういう場所に来ることによって単純にほかの層にも広がるし、本人にとっての刺激にもなる。「万博」が音楽シーンの潤滑油みたいな感じになってる。

VAMPS(氣志團万博2012より)

フジジュン うん。じゃなかったらVAMPSが毎年出ないですよね(笑)。

大野 1つのアーティストが好きで来た人もたぶん全部観るとものすごい量の勉強をして帰れるっていうか。

フジジュン そうですね。

大野 しかもなかば強制的に。いるしかないですからね、ステージは1つだから(笑)。

オープニング映像に込めた思い

宇野 知らないアーティストに触れるという意味では、アーティストごとに流れるオープニング映像が重要で。あれが毎回すごく面白くできてるから、観ちゃうんですよね。

フジジュン 初めて観るバンドでもスッと入れますもんね。

大野 あれも全部設計図は綾小路翔が書いてるんですよ。とんでもない時間のワンショットインタビューを撮って。翔やんに思いを存分に語ってもらってから1アーティストごとに構築していく。

フジジュン へえ。

浜崎あゆみ(氣志團万博2012より)

大野 だいたいあの人の戦い方や考えは煽り映像の中に詰まってます。例えば浜崎あゆみさんのときは「結局はアイツ福岡のヤンキーですからね」とか言っちゃうし。それで関係者からはその部分の映像は厳しいって言われてたのに、翔やんが責任持つってことで流したところayu大喜び。

フジジュン ふふふふ(笑)。

大野 結局ayuのライブで“元ヤン発言”部分の映像を使用するまでにいたったという(笑)。翔やんはギリまで攻めるんですよ。

宇野 確かに。

フジジュン 攻めちゃダメなところをズバッと攻めることで、相手からも「この人はわかってくれてるんだ」って思われるっていうね。

氣志團万博2015 Presented by シミズオクト
開催日程 2015年9月19日(土)・20日(日)
開催時間 OPEN 9:00 / START 10:30 / END 20:20(予定)
出演者 19日(土) 氣志團 / 郷ひろみ 他
20日(日) 氣志團 / ももいろクローバーZ 他
会場 千葉県 袖ケ浦海浜公園
料金 1日券12000円 / 2日通し券21000円 / 臨時駐車場券3000円
チケット一般発売日 2015年8月29日(土)
年齢制限 未就学児入場不可 / 12歳以下は保護者同伴かつ要チケット
問い合わせ HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999(平日 12:00-18:00)
氣志團ニューシングル「幸せにしかしねーから」 / 2015年2月25日発売 / 影別苦須 虎津苦須(avex trax)
CD+DVD / 1944円 / AVCD-83189/B
CD / 1080円 / AVCD-83190
CD収録曲
  1. 幸せにしかしねーから
  2. ジゴロ13
  3. 幸せにしかしねーから(カラオケ)
  4. ジゴロ13(カラオケ)
DVD収録内容
  • 幸せにしかしねーから(ミュージック ビデオ)
  • 熱闘!! 氣志團万博2014
氣志團(キシダン)

氣志團

1997年に千葉県木更津で結成。メンバーは綾小路翔(Dragon Voice)、早乙女 光(Dance & Scream)、西園寺 瞳(G)、星グランマニエ(G)、白鳥松竹梅(B)、白鳥雪之丞(Drums & Drunk / 2014年3月より活動休止中)の6名。“ヤンクロック”をキーワードに、学ランにリーゼントというスタイルでのパフォーマンスが話題を集め、2001年12月にVHSビデオで“メイジャーデビュー”を果たす。「One Night Carnival」「スウィンギン・ニッポン」などヒット曲を連発し、2004年には東京ドームでのワンマンライブも開催。2012年からは地元千葉県にて大規模な野外イベント「氣志團万博」を主催し、他のフェスとは一線を画するラインナップで多くの音楽ファンの支持を集める。2015年9月19、20日には千葉・袖ケ浦海浜公園にて4年目となる「氣志團万博2015」の開催も決定。

宇野維正(ウノコレマサ)

音楽・映画ジャーナリスト。雑誌編集を経て独立し、現在は洋邦の音楽や映画を中心に多岐にわたる原稿を執筆。主な執筆媒体はナタリーのほか「MUSICA」「リアルサウンド」「クイック・ジャパン」「GLOW」「BRUTUS」「装苑」など。

大野ケイスケ(オオノケイスケ)

放送作家・ライター。宮沢章夫および三木聡の演出助手を経てフリーとなり、「MUSIC FAIR」「新堂本兄弟」「綾小路 翔の六本木バナナボーイズ」などの番組を担当。2012年にクレイジーケンバンドと共著で「マイ・クレイジーケンバンド」を刊行した。「氣志團万博」では毎年各アーティストの出演前に上映される煽り映像の構成を務めている。

フジジュン

(株)FUJIJUN WORKS代表取締役バカ社長。音楽・お笑いライターをメインにイベント主催、雑誌編集&デザイン、ラジオDJなどさまざまな分野で活動中。現在はLCV-FMの深夜ラジオ番組「激アツ!ロックンロール教室」に出演中。「別冊ヤングチャンピオン」で連載されている若旦那の自伝的マンガ「センター ~渋谷不良同盟~」の構成、氣志團のファンクラブ会報やツアーパンフレットの編集・執筆も担当している。