ナタリー Super Power Push - 氣志團
「日本人」の誇りを込めた熱き血潮のメッセージ
自分が愛国者だと伝えることになんの躊躇もない
──「日本人」っていうタイトルは、すごくインパクトがあるのと同時に、例えば右翼的なイメージを持たれたり、君が代問題があったりと、誤解されやすいリスキーなタイトルでもありますよね。それでも、このタイトルは今の氣志團にとって必要なものだった?
とにかく僕は、声を高らかに自分が愛国者だということを世の中に伝えていくことに、なんの躊躇もないです。日本は本当に不思議な国で、愛国っていうと、それがちょっとネガティブなイメージを招いてしまうことがあったりするじゃないですか。でも、それって全然ネガティブでもないし、難しいことでもなくて、自分のおじいちゃんやおばあちゃんが好きだとか、自分が通っていた中学校や高校が好きだとか、そんなようなことなんですよね。郷土愛ってみんな持ってるものですし。僕ら6人が最初に集まったライブハウスもそうで、うちのギターのランマ(星グランマニエ)なんて本当に面接のときはダメダメな少年だったんですけど、そのライブハウスの店長さんが鹿児島出身だったので「バカそうだけど鹿児島出身だから拾ってやるか」ってことで認めてもらったりとか(笑)。愛国心っていうのも、そういう郷土愛の延長じゃないですか。これもデビューして10年経ったからできることだと思ってるんですけど、僕らこれまでいろいろなことに挑戦してきて、今、明るいニュースがあまりないこの日本で生活をしていて、そこで僕の信じるものはこれだと。きっとこれは、若いバンドにはなかなかできないことだと思ったんです。
──確かにそうですね。
僕らも少し成長したんでしょうね。その中でせっかくこうしてアルバムを出せるんだから、無駄な逡巡をすることなく、こうしてストレートに日本人であることの誇りを打ち出していきたいなって。みんながちょっと落ち込んでたら、そこで元気を出させてやれるのが俺たちなんじゃないのって。そういうおせっかい野郎たちなんで。カッコいい部分はほかに任せられる人たちがいるんで、僕らはそういうハッピーな部分を担当していけたらなって。「日本人」っていうと、一瞬「おっと?」って思うかもしれないけど、氣志團ならそれをポップでユーモアのあるものにできるんじゃないかって思ったんですよ。
ジャケットに俺らのルーツがある
──それでジャケットはこの大ネタっていう(笑)。
最初はね、「ジャケットも白ランにペンキぶっかけて日の丸とかやる?」っていう意見もあったんですけど、もっと力がみなぎるようなものにしたいなって。タイトルが「日本人」だったら、幕末志士や昭和のスターたち、戦後の日本を盛り上げた人たち、美空ひばりや坂本竜馬や本田宗一郎の写真を並べられないかって、そんなことを思ったときに、「あっ!」ってこのアイデアが浮かんで。しかも、あの衣装ってよく見たら軍服……いや、学ランじゃんって!
──言われてみれば!(笑)
これだったら俺らのカラーも生かせるよねってなったんだけど、意外と権利関係がうるさかったんですよ。坂本竜馬さんなんかはちゃんとOKをいただいたんですけど、それ以外の歴史上の人物はなかなか難しくて、中途半端になってしまって「なんでこの人いないの?」ってツッコまれるのは嫌だなって。
──難しいものですね。
じゃあ同時代のスターを集めたらどうだろうってことで、近場から調べてみようと思って、まずはエイベックス所属のスターたちの権利関係を探っていったら、まあ、このアルバムが130万枚くらい売れた暁には、なんとか2人分のギャラぐらいなら払えるかなくらいのものを提示されて(笑)。これもダメだ、もう企画自体ゼロからやり直しかなって思ったときに、ここはやっぱり自分たちのルーツじゃないかってひらめいたんです。
──なるほど。
今、日本人として生活してる俺たちが、どうしてここに生きているのかを探ってみよう。とにかく自分らの親族の写真をありったけ集めてみようって言ったら、ちょうど50人くらいの写真が集まったんですよね。メンバーそれぞれのひいおじいさん、ひいおばあさんから、おじいさんおばあさん両親まで、これ、内ジャケだとさらにいろいろな写真が出てくるんですけど。トミー(西園寺 瞳)のひいおじいさんがトミーと全く同じ顔をしてたりとか(笑)、これまで見たことがない母親のミニスカート姿とか、ここに俺らのルーツがあるんだなって。写真を見るだけで、勇気がみなぎってくるんですよ。
──苦しまぎれの策が、実はアルバムのメッセージとピッタリ合っていたという。
そうなんですよ。大きなテーマとしては、古きを訪ね、新しきを知るじゃないですけど、やっぱり日本人の素晴らしさを受け継いでいきたくて。ただ、この21世紀にそれだけじゃ伝わらないから、僕らの世代から次の世代に伝える日本人像っていうのがあればいいんじゃないかなって。それはこの作品に込めることができたと思います。オリンピックとワールドカップのとき以外は日の丸を見てもなんとも思わない人も多いだろうけど「俺たち日本人ってすごいんだぜ」っていう気持ちみたいなものを、ここで今一度、ほんのちょっとでも思い出してくれたらうれしいなっていう気持ちをアルバムに込めました。それは僕たちの、ごくわずかかもしれないけど、確かに残っているロックスピリットから生まれたものなんです。
3形態共通
CD収録曲
- 夜明け
- 日本人
- ダンシンッ!!
- スタンディング・ニッポン
- オールナイトロング
- BABY BLUE
- 東京
- 氣志團ちゃん数え歌
- 紫のあいつ
- DEAR MY GIRL
- ありがとう ばかやろう
- 落陽
- MY WAY
[CD+2DVD盤]
DVD 1収録内容
- ・MY WAY(MUSIC VIDEO)
- ・日本人(MUSIC VIDEO)
- ・2011.1.3 氣志團 HALL GIG TOUR 氣志團現象2010A/W ロックンロール・グラフィティ@さいたまスーパーアリーナ「ザ・バックステージ・グラフィティ ~その時、氣志團に何が起こったのか~」(約28分)
DVD 2収録内容
- ・氣志團 “完璧年間行事(パーフェクト・イヤーズ)” 第一弾!!お正月スペシャル「ザ・氣志團ベストテン」&「ザ・氣志團ワーストテン」(約100分)
[CD+DVD盤]
DVD収録内容
- ・MY WAY(MUSIC VIDEO)
- ・日本人(MUSIC VIDEO)
「日本人」ファンクラブ購入限定特典
氣志團ファンクラブ「私立戸塚水産高校」購買部でアルバムを購入すると、特典として「日本人箸~お箸の国の人ですから~」をプレゼント。
詳細はファンクラブ会員ページでご確認ください。
氣志團(きしだん)
千葉県木更津市でカリスマ的人気を得ていた綾小路 翔を中心に1997年に結成。メンバーは綾小路 翔(Dragon Voice)、早乙女 光(Dance & Scream)、西園寺 瞳(G)、星グランマニエ(G)、白鳥松竹梅(B)、白鳥雪之丞(Drums & Drunk)の6名。「ヤンクロック」をキーワードに、学ランにリーゼントというスタイルでライブを行い、2001年12月から3カ月連続で発売されたVHSビデオで“メイジャーデビュー”を果たす。その後「One Night Carnival」「スウィンギン・ニッポン」などヒット曲を連発。2004年には東京ドームでワンマンライブを行い、2004年、2005年にはNHK紅白歌合戦にも出演。2006年には結成10年目を記念して、富士急ハイランドにてイベント「氣志團万博2006“極東NEVER LAND”」を開催し大成功に収めた。2011年には計30公演におよぶ対バンギグシリーズ「極東ロックンロール・ハイスクール」を実施するなど精力的なライブ活動を継続。結成15周年を迎える2012年は「氣志團 完璧年間行事(パーフェクトイヤーズ)」と銘打ち、さらに幅広い活動を展開中。
2012年5月15日更新