メジャーデビュー5周年を記念したさまざまな企画を展開中のKANA-BOON。現在進行中の全国47都道府県ツアー「KANA-BOONのGO!GO!5周年!シーズン4 ワンマンツアー『Let's go 55 ONE-MAAN!!』」の開催、B面集アルバム「KBB vol.1」「KBB vol.2」やミニアルバム「アスター」「ネリネ」の発表など精力的な活動を重ねてきた2018年を経て、彼らは5周年企画のラストを飾る作品として、2019年第1弾シングル「ハグルマ」を3月6日にリリースする。
アニメ「からくりサーカス」のオープニングテーマとして作られた表題曲には、サウンドにおいても歌詞においても、バンドとしての力強い意志がにじむ。デビューからの5年間を経て、これからKANA-BOONはどう進んでいくのか? 転換期を迎えている4人にじっくりと語ってもらった。
取材・文 / 小川智宏 撮影 / トヤマタクロウ
逃げ場のないところで戦っているワンマンツアー
──2018年3月から5シーズンにわたって5周年の企画を進行中ということで、忙しそうですね。
谷口鮪(Vo, G) めちゃくちゃ忙しいですね。デビューした年と同じくらい忙しい。
──いよいよシーズン5に突入しましたが、ここまでの5周年企画では何が一番印象に残っていますか?
谷口 僕は今やっているワンマンツアーですね。現在回っているツアーだからというのもありますけど、わかりやすくここまでの集大成でもあり、自分的には今までの5年間でも最大のトピックという感覚です。今、一番充実してるなって。
古賀隼斗(G, Cho) 僕も今やっているワンマンツアーですね。トピックとしては「ただいまつり」をやったり(参照:KANA-BOON、4年ぶりの「ただいまつり!」大盛況のうちに終幕)、対バンツアー「Let's go TAI-BAAN!!」で憧れの先輩と対バンしたり(参照:KANA-BOONのアジカン愛あふれた「Let's go TAI-BAAN!!」初日公演「夢が叶いました!」)、地元の三国ヶ丘FUZZで5日間連続でライブをしたり、それぞれすごく印象に残っているんですけど、それを経て今のKANA-BOONの姿があるという意味で今回のツアーが一番印象的ですね。
小泉貴裕(Dr) うん。三国ヶ丘FUZZでやったあと店長と話したり、そういうところで思うところがあってからの今のワンマンツアーなので。現在進行形でライブも変わってきていい状態になっていますし、初めての場所でも待ってくれているお客さんがいることを実感できてうれしいです。気持ちを込めてライブをできていますね。
飯田祐馬(B, Cho) ホントに全部が今の自分たちにつながっているなと思います。アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)のような憧れていた先輩と対バンしたり、三国ヶ丘FUZZでデビュー当時一緒に対バンしてた人たちとまた会ったり。初めて音楽を聴いたときの衝撃とか、デビュー前のこととか、全部思い出しました。5年間築き上げてきたものがちゃんと噛み合ってきているのが今のツアーなのかなと思います。しかも今この時期にライブハウスを回ることで、なんて言うんですかね……地肩が強くなってきているように感じます。お客さんとの距離も近いし、自分たちの曲、言葉、楽器の音だけで、逃げ場のないところで戦っている感じ。自分たちを見つめ直せる場だなと思いながらツアーをやってます。楽しいですね。
──KANA-BOONの歴史の中で、これだけガシガシとライブをやるのは初めてじゃないですか?
谷口 初めてですね。だからツアーでも18公演目あたりのときに「本来ならここで終わりよな」っていう話をみんなでしました(笑)。まあ、ハードはハードですけど、KANA-BOONにとってはこういうやり方がええんやろうなって。
古賀 一番成長できる気がする。
谷口 うん。こうやってしっかりとライブをたくさんやっていくことでね。今までは自分たちのワンマンツアーが終わるとしばらくはイベントとかフェスしかなかったけど、ここからはこの経験を経て、もうちょっとライブを詰めてやっていくのが、ステップアップするために必要なことなんじゃないかな。
みんなでバンドをやっている感覚
──KANA-BOONはライブハウス叩き上げのバンドというイメージはあまり持たれていないかもしれませんが、だからこそ今回こういった長いツアーをやることで新しく見えてきたこともあったのでは?
谷口 ありますね。今までも一生懸命ライブに向き合ってきたつもりではありますけど、なんと言うか……自由じゃなかったような気はしますね。今はステージに上がってもすごく自由にやれているんです。普段日常生活を送っている僕たちのままポンとステージに上がるわけじゃないから、これまではどこかで着飾った部分がありましたけど、そこの悪い部分がなくなったかなと思います。いい意味でオンオフの区切りがあまりなくなったというか。今まではやっぱりステージに上がって30分とか2時間、丸々オンでい続けることに不自由さを感じながらライブをやっていたんですよ。あんまりステージ上で自由にやっちゃいけないと思っていたんですよね。セットリストを組んで、決めたことをしっかりやり通すということを意識していた。今、こうやってツアーを回っていて、今までの自分たちはすごく不器用やったなと思う瞬間が多々ありますね。「そうか、もっとこんなふうにしてよかったんや」とか。
古賀 今までのライブでは1つの自分しか見えてなかったんですよ。でも、今回のツアーの中でミーティングを重ねて、「古賀はもうちょっとこうしたほうがいい」という意見をもらって、こういう俺も出していいんやって思えた。チャレンジをすることで、新しい自分が見えてくると感じましたね。そうやってチャレンジを繰り返していくことで、ライブバンドとしてよくなっていくんじゃないかな。ライブでの見え方、だいぶ変わったと思いますよ。
谷口 ふふっ。
古賀 なんの笑いやねん。
谷口 いや、面白いですよ、最近の古賀のライブは。ようやくちゃんと面白くなった。
古賀 どういうことや!(笑)
飯田 うん、いろんな面白さがあるな(笑)。
──(笑)。飯田さんはどうですか?
飯田 今まではCD通りの音を再現するのが正解という頭でライブをやっていたんです。いいCDができて、それを忠実に再現するために、内に内に向かっていたなと。でも、それだと傍から見たらそんなにライブ感が生まれていなかったのかなと今回のツアーで思いました。前やったら鮪が「こうしたら」って言って、僕らは「そうやな」ってその通りにする感じだったんですけど、最近はメンバーの間で「こうしたほうがいい」みたいな意見が出るようになったんですよ。それってみんなが全員のことを見えているということですよね。すごく視野が広がったなって思います。自分やったら気付かないこともあるし、それをメンバー内で解決してステップアップするスピードが速くなっている。
──コミュニケーションが活発になっている感じがあるんですね。
谷口 ありますね。ようやく、みんながちゃんとバンドに参加したなっていう感覚です。これまではライブとなるとやっぱりみんな自分のことで精一杯で、それぞれのことをそれぞれがプロフェッショナルにまっとうすべき、というところに頭がいっていたけど……今だから思いますが、それって別にバンドじゃないなって。今は話もするし、みんなでバンドをやっているというのを全員が感じているんで。
──小泉さんはステージの一番後ろからメンバーを見ていて、バンドが変わったなと感じる部分はありますか?
小泉 最近は、ライブの雰囲気に応じてそれぞれが動いてるなと思って。それを見て僕もテンションが上がるし、そうやっていろんな人が影響を与え合ってテンションの上がるライブをやれたら、もっとよくなるなと思います。僕自身もこれまでは決まった枠の中で楽しんでるなと感じていたんです。今はそこじゃなく、ライブ全体をどう楽しむかというところに僕の気持ちもシフトしてきているので、いい状態なのかなと思いますね。
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今が最高やと本気で思ってる