音楽ナタリー Power Push - KAN

“KAN流のかけ算”で生んだ6年ぶりのアルバム

KANが6年ぶり16枚目のオリジナルアルバム「6×9=53」をリリースした。大の素数好きを公言するKANは2015年9月に53歳を迎えており、満を持して送り出すアルバムには独自の数式「6×9=53」というタイトルが付けられた。

今作は根本要(STARDUST REVUE)、佐藤竹善(SING LIKE TALKING)、塩谷哲、馬場俊英、菅原龍平、TRICERATOPS、桜井和寿(Mr.Children)といったKANと親交の深いアーティストとの共同作業を経て完成した1枚。音楽ナタリーでは、彼らとの交流や多彩な収録曲の制作秘話、さらに“芸能活動29周年”を記念してKANが打ち出した「特別感謝活動年」への思いを尋ねた。

取材 / 成田邦洋 文 / 田中和宏 撮影 / 入江達也

 
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共演はめんどくさいほど面白い

──アルバムのラインナップを拝見して一番に感じたことはゲストとして参加されているアーティストの豪華さです。前作アルバム「カンチガイもハナハダしい私の人生」(2010年3月発表)もそうでした。ゲストを迎えるという近年の傾向について、KANさんはどういった考えをお持ちでしょうか?

KAN

活動年数とともにライブやイベントでいろいろなアーティストと共演する機会が自然と増える中で、「次やるときは何か一緒にレコーディングしたいね」という話は普通に出るんです。そのあと、曲を作っているときに「これは誰と一緒にやったらハマるだろう?」「これは佐藤竹善とやるべきだ!」といったアイデアが浮かんでくる。スタジオミュージシャンに関しても「この曲はこの人に叩いてほしい」というのはあって、今回は特にそれが多かったです。

──オムニバスイベントにKANさんが出演する流れは、ここ数年で加速しているのではないでしょうか?

そうですね、2010年以降はこれまでに比べて多いです。STARDUST REVUEの皆さんにはここ数年じゃなくて、ずっと前からお世話になっていますけど。複数のアーティストが一緒に出るイベントには「それぞれの単独ライブには絶対にないものをちゃんと作ろう!」という考え方でずっと出演してきているんですよ。その都度、何か一緒に考えて作ってリハをやって、というのを繰り返しています。

──例えば各アーティストが30分なら30分、持ち時間をただ1組ずつこなす、という考え方ではないと。

それをやるんだったら、お客さんもその人の単独のツアーを普通に観たほうがいいじゃないですか。そうじゃなくて、そこでしかやれないものを作るべきだと思ってやっています。僕を知っている人は僕と一緒にイベントに出るって聞いたときに「うわ、めんどくさいなあ」ってなると思うんですけど(笑)。でもめんどくさいほど、やったあとで「面白かったね」って必ずなりますから。人前でやるのにめんどくさくないほうがおかしい、と僕は思っているので。

打ち合わせという名の飲み会で無責任なアイデアを

──KANさんなりに「こういうアーティストとは一緒に仕事をしやすい」といった共通点はありますか?

それは単純に、お酒を飲む人ですね。もちろんリハーサルや演奏も楽しいですけど、その前後の飲み会は、お酒を飲む人にとってはすごく重要です。お酒を飲まない人にとっては相当迷惑な話だと思いますけど(笑)。

──本番だけではなく飲み会もワンセットだと。

特に馬場くんとか竹善さんは、何か一緒にやる前から、まずは打ち合わせという名の飲み会をしますから。それで何をやったら面白い、こんなことをやりたい、という無責任なアイデアをとにかくいっぱい出して。それを現実的にどう固めていくかはそのあとです。

──お固い付き合いだけじゃないほうがいい、と。

飲むのが一番いいですね。でも1回のイベントをやるに当たって計3回も深い飲み会をしたときは「こんなに飲んでばかりでいいのかな?」みたいに思ったこともあります(笑)。

ニューアルバム「6×9=53」/ 2016年2月3日発売 / [CD+DVD] 3240円 / UP-FRONT WORKS / EPCE-7183~4
「6×9=53」
CD収録曲
  1. Listen to the Music ~Deco☆Version~
  2. 胸の谷間
    [with TRICERATOPS / Cho:菅原龍平]
  3. ポカポカの日曜日がいちばん寂しい
    [Duet with 佐藤竹善(SING LIKE TALKING)]
  4. 安息
    [作詞:桜井和寿(Mr.Children)]
  5. どんくさいほどコンサバ
    [G:根本要(STARDUST REVUE) / Cho:佐藤竹善(SING LIKE TALKING) / Piano:塩谷哲]
  6. scene
    [Dr:吉田佳史(TRICERATOPS)]
  7. ブログ! ブログ! ブログ!
  8. 桜ナイトフィーバー ~Album Version~
    [Special Guest Guitar Solo:和田唱(TRICERATOPS)]
  9. 寝てる間のLove Song
  10. ロックンロールに絆されて
    [Duet with 馬場俊英]
DVD収録内容
  • Recording Documentary【6×9=53が成り立つまで】
KAN(カン)

KAN

シンガーソングライター。1962年、福岡県生まれ。1987年に「テレビの中に」でデビュー。1990年のシングル「愛は勝つ」が200万枚を超えるセールスを記録した。2002年に音楽留学のためパリに移住し、2004年に帰国。大の素数好きを公言しており、デビュー29周年の今年2016年を「KAN芸能生活29周年記念 特別感謝活動年」と銘打ち、精力的な活動プランを公表している。2016年2月、6年ぶり16枚目のオリジナルアルバム「6×9=53」をリリースした。