ナタリー PowerPush - 神聖かまってちゃん

「つまんね」「みんな死ね」全曲解説

前のアルバムよりは良いんじゃないかなって思ってます

──の子さん自身はこの2枚のアルバムが完成した今、どういう作品になったと感じてますか?

自分としては、前のアルバムよりは良いんじゃないかなって思ってます。でもって、なんか今はこうやってチヤホヤされてるんで、それで入口ができればいいなみたいな。売れればいいっていうのもありますけど、それを含めて入口になればいいなと思う。僕いつも言ってますけど、PV作ってアップしたあの頃っていうのが一番やっぱリアルで、表現としてストレート。自分の核はそこにあるんです。

──そこはブレないですね。

ブレないっていうか、聴いてもらう人によってはたぶん本当にそう思うと思いますよ。特に入口が僕のPVだった場合は。でもわかんないです、人それぞれだと思う。だから俺もいろんな雑誌とかで、あっちはクソだとかいろいろ言ってんすけど、そういうことで余地を与えなくするっていうのは一番いかんのかなと思ったりは、しますよね。

──そのせいで「聴かない」って思われたらもったいないですしね。

はい。でも前作よりは全然良くなってるっていうことは確かです。前作もこんなふうに作れたら良かったんすよね。

──前作と今作はどこが一番違うんですか?

今回のレコーディングでは、完全に僕とエンジニアさんの2人で作りこんでいくのがいいっていうことがわかって、「よし、じゃあほかの人出てって」みたいな。そんな感じだったので。

──じゃあバンドのレコーディングとはいえ、の子さんの個人作業の部分が大きいんですね。

でっかい宅録っていうか。でもやっぱり1人でやってるわけでもないですし、やっぱ気分がありますし。いろいろパニックとかなりながら、まあなんとかやったほうだと思います。

──今このレコーディングを終えて、もう次の新曲はできてるんですか?

いや、これからできていくとするならば時間がなければならないです。

──曲を作る時間がない?

ないですね、昔に比べたら全然ないんですけど。まあでも昔はニートだったんで当然ですよね。単純な話ですわ。ただ、今曲ができてないのは時間の問題か才能の問題かはわかんないです。今は時間がないですけど、でも時間があったら曲が書けたかどうかっていうのもわかんないです。わかんないんで、そのときそのときっつう感じで(笑)。

──今後の神聖かまってちゃんの活動や目標に関して、何か考えてることはありますか?

バンドをぶっ壊したいですね。解散とかいうわけじゃなくても、砂場で自分の作った城とか基地をぶっ壊す感じ。でもまあわかんないです! くっくっく(笑)。たまになんだか破壊衝動に駆られますね。

──昔はこのバンド、いつ解散してもおかしくないなって思ったりしてたんですけど。

うん、そのままっすよ。

──それは今も変わっていない?

いや、だから別に解散っていうものも選択肢としてありますし、未知数なんです。最近だと「22才の夏休み」っていう曲があるんすけど、そのPV観てたら切なさと破壊衝動に駆られてバンドをぶっ壊したくなっちゃって。やっぱ最終的な自分の居場所はそこなんだと思います。

メジャーデビューは素材のひとつなんです

──でもメジャーデビューも決まって、この1年くらいでかまってちゃんを取り巻く状況はかなり変わったと思うんですけど、どうですか?

いや、完全に変わってますけど、今はこういうインタビューがたくさん増えて、特にメジャー来て変わったって実感してるのはそこですね。それで時間が取られてるっていうのがあって。

──インタビューは慣れましたか?

慣れた? わかんないです。インタビューわかんないですわ。

──音楽が仕事になったという意識はあります?

いや、んーまあ言われてみればそうかなみたいな(笑)。一般のバンドがどうやってるのかわかんないすけど、デモテープ送ったりとかするんですかね。なんかそこらへんから違うから、あんまメジャーデビューしてこれが仕事だとか言われても。

──そのあたりも意識してないということですかね。

いや、ホントに。狙った結果としてここにいることは確かなんですけど、なんかそこは別なんすかね。わかんないすわ。

──確かに狙ってここまで来たっていうのはわかります。かまってちゃんの場合、音楽をやってたらいつのまにかメジャーデビューしてた、みたいな感じではないわけですよね。

自分ではやっぱりそこらへんに照準を当てて。メジャーデビューを狙ってたわけではなくて、メジャーデビューはその素材のひとつなんです、あくまで。だから今のバンドとしての在り方みたいなものが一番やっぱり、僕個人としては狙ってたところなんですよね。だから僕としてはCDリリースっていうこと自体は、YouTubeとかネット上に曲をアップすることとほとんど等しい感覚で。たぶん基準が違うんです。俺の中じゃ、得られるものはもう得てるって思ってますから。

インタビュー風景

ニューアルバム「つまんね」 / 2010年12月22日発売 / 2400円(税込) / Warner Music Japan / WPCL-10886

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CD収録曲
  1. 白いたまご
  2. 天使じゃ地上じゃちっそく死
  3. 美ちなる方へ
  4. 芋虫さん
  5. 黒いたまご
  6. 笛吹き花ちゃん
  7. 夜空の虫とどこまでも
  8. 通学LOW
  9. いかれたNEET
  10. さわやかな朝
  11. 聖天脱力

ニューアルバム「みんな死ね」 / 2010年12月22日発売 / 2400円(税込) / PERFECT MUSIC / XQFL-1016

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CD収録曲
  1. ねこラジ
  2. あるてぃめっとレイザー!
  3. ベイビーレイニーデイリー
  4. 自分らしく
  5. 怒鳴るゆめ
  6. 最悪な少女の将来
  7. スピード
  8. 男はロマンだぜ!たけだ君っ
  9. 神様それではひどいなり
  10. 僕のブルース
  11. ぽろりろりんなぼくもぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃーん
  12. いくつになったら
  13. 口ずさめる様に
神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)

の子(Vo,G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表した後、ワーナーミュージック・ジャパンと契約し、2010年12月にメジャーレーベルのワーナーから「つまんね」、インディーズレーベルのPERFECT MUSICから「みんな死ね」という2枚のアルバムを同時リリース。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。