ナタリー PowerPush - 神聖かまってちゃん
「つまんね」「みんな死ね」全曲解説
「男はロマンだぜ!たけだ君っ」
──次は「たけだ君」ですね。たけだ君は実在の人なんですか?
実在の人っていうか、「たけだ君」っていう名前の人はいましたけど、別に誰でもよかったんです。結果的には自己投影と同じです。でもって、この「男はロマンだぜ!たけだ君っ」っていう曲の中ではその「たけだ君」をちょっと元気づけようとしてますね。そんなことしなくていいのに。
──しなくていいんですか(笑)。
いや、余計なお世話ですよ。うるっせえよってなりますよ。
──でもそれは、結局自分を元気づけてるということですよね。
こんときはただ単に体調良かったんじゃないですか。
──じゃあ調子悪いときに言われたら。
うるっせえよってなりますよ、こんなもん。黙れよ、てめえ1人で言ってろよ、うるっせえ。くっくっく(笑)。でもまあこの中にもいろいろあるのかもしれません。曲書くときは基本的には俺はなんか切なさはどっかしらに出すんで。あとは雰囲気とか。雰囲気モノなんじゃないっすか。
「神様それではひどいなり」
──ところで今日それずいぶん飲んでますよね。レッドブルを1日に3本飲む人って初めて見ました(笑)。次は「神様それではひどいなり」ですね。
この曲は、確かだいぶ古いです。10代のとき、19歳か20歳くらい。あっ、でもこの曲こそ筋少っぽいですね。なんか筋肉少女帯の初期みたいな感じします。
──この曲は「ひどいなり」とか「殺してやる」とか言ってるんですけど、どこかにやっぱりユーモアがあるんですよね。
はい。やっぱそこらへんはさっき言ったようなポップさ。やっぱそこはバンドとして、曲としても必要なので、やっぱ大切にしてますね。なんか知らんけど大切にしてますね。
──「神様」っていうのは、の子さんにとってはどういう存在なんですか?
神様っすか?
──信仰はあります?
信仰ないっす。
──じゃあここで歌っている「神様」というのは、の子さんにとってそれほどリアルなものではないということですかね。
うん、はっきり言ってしまうとこの歌詞を書いてる時期にはそういったものもあったのかもしれませんけど。でも今そんなん言われてもやっぱ別にそんなもん信じないです。ただ信じないけど、歌う歌わないだったら、気持ちはわかる。だから入りこめますよ。
──あと、この曲を聴いて、改めての子さんのボーカルがすごく個性的だと感じて。の子さんみたいに歌う人ってあんまりいないですよね。
あんまりはいないと思います(笑)。
──ボーカリストとしての自分のことはどう思ってます?
叫べる。叫ぶ。あとは、まったりゆっくり、一気に最低限に落として歌う。「ロックンロール」とかもそうじゃないですか。初め最低限からボソボソ言って、そこから叫んでくっていう。そこらへんですかね。
──その振り幅はの子さんのボーカルの武器なのかなって思いますけど。
でも「あるてぃめっとレイザー!」みたいにめっちゃ叫ぶ曲よりも、ボソボソ歌ってたりボイチェン使って声変えたりする曲のほうが、病んでたり怒りを通り越した境地にいる場合はありますね。例えば「学校に行きたくない」とか歌ってるときとかはやっぱそのときのことがバーッと出てくる。まあ作曲してるとき強烈に残るんで、それは強烈ですわ。だからたぶんそういうことも含めてなんか子供みたいな感じなんすかね。言ってること俺よくわかんないですけど(笑)。あんまりこんな説明とかっつうもんも、しようと思っても難しいっすね。
「僕のブルース」
──で、次は「僕のブルース」ですが。
うん、これは別に思い入れはないですね。
──ないんですか(笑)。ほかの曲とは雰囲気がだいぶ違いますが。
うん。単にメロディって感じ。俺は何も思い入れはないです。
──じゃあ自分としてはそんなに大事な曲じゃないっていうこと?
大事な曲じゃないです。
──でもアルバムに入れたのはどうして?
埋め合わせじゃないすか。
──ははは(笑)。
別にメロディもそんな悪いわけじゃないし、とりあえず埋めとけみたいな感じじゃないですかね。
CD収録曲
- ねこラジ
- あるてぃめっとレイザー!
- ベイビーレイニーデイリー
- 自分らしく
- 怒鳴るゆめ
- 最悪な少女の将来
- スピード
- 男はロマンだぜ!たけだ君っ
- 神様それではひどいなり
- 僕のブルース
- ぽろりろりんなぼくもぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃーん
- いくつになったら
- 口ずさめる様に
神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)
の子(Vo,G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表した後、ワーナーミュージック・ジャパンと契約し、2010年12月にメジャーレーベルのワーナーから「つまんね」、インディーズレーベルのPERFECT MUSICから「みんな死ね」という2枚のアルバムを同時リリース。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。