ナタリー PowerPush - 神聖かまってちゃん
「つまんね」「みんな死ね」全曲解説
「夜空の虫とどこまでも」
──「夜空の虫とどこまでも」はインストですね。ライブでも比較的よく演奏される曲ですが。
うん、インスト好きなんです。ライブバージョンも良いって言われますけど、僕はデモもこっちも両方好きです。アルバムのほうは木琴の音色つっこんでてそれが好きです。
──歌詞がないぶん、どういうイメージでこのタイトルになったのか気になります。
いや、そのまんまですよ、夜空の虫とどこまでも行くような感じですわ。自分で作った曲聴いて、あっ、もうこれはこうだって感じで。うん。
──この曲に歌詞を乗せずにインストにした理由は何かあるんですか?
いや、理由はないです。ただインストになったんです。昔からインストは作ってましたよ。
──ああ、サイトで聴ける「放課後の図書室」とかもインストですしね。
そうなんですよ。「放課後の図書室」は「ロックンロール(は鳴り止まないっ)」の前に作ってるんです。ただ、この曲はこれで全然オッケー。
──歌詞がなくても完成してる。
いやあ、それはどうかな。わかんない。
「通学LOW」
──「通学LOW」はタイトルどおり、聴いてると落ち込む感じがありますね。
うーん、もともとそうなんすよね。けどこっちのアルバムのほうはちょっと攻撃性が増しちゃいましたね。まあいいんだけど(笑)。
──これは実体験をもとにした曲ということでいいんでしょうか?
憂鬱な気分っていうんですか。朝とかもホントに行きたくねえみたいな感じですね。いやマジで「通学LOW」ですわ。僕は通学路が大っ嫌いだったんで、ほんっとに。あはは(笑)。あのなんなんだろう、吸い込まれていくような死にたくなる気分。
──こういう気持ちで毎日学校に通ってたということですか。
だいたい。
──これ結構ライブでも、最近割と頻繁にやりますよね。
昔よりやりますね。バンドでできるようになったんで。
──ちょっと脱線しますけど、ライブのセットリストはどうやって決めてるんですか?
直前まで決めてないです。むしろ本番になっても決めてないときあります。ライブのセットリストは昔から困るのが、だいたい僕の気分で、今日は明るい曲は歌えない、「怒鳴るゆめ」とか絶対無理だ、みたいなことは昔から言ってましたね。
──じゃあ「怒鳴るゆめ」をやってるときは、精神状態が良いときなんですね。
良いんじゃないですか。あはは(笑)。でもセットリストだいたい決めてるはずなんですよ、ほかのメンバーは。
「いかれたNEET」
──「いかれたNEET」はライブでも映えるし、このレコーディングのバージョンもいいですよね。
マジッすか。PVのがいいっすよ。音の出具合がもっと。まあこっちも別にいいっす(笑)。悪くないです。
──イントロから混沌とした音が鳴ってますが。
ムニャムニャウニャウニャした。「美ちなる方へ」のあのウニャウニャとか「通学LOW」のああいったものとか、音作りは全部自分でやってて、その音の作り方がまた複雑なんですけど、いちいち説明すんのめんどくせえもう!
──あのイントロはシンセで弾いてるんですか?
シンセです。リサンプルとかそういったもの使っていろいろなことをウァーってやって、んでもって自分でメロディを探すんです。メロディとして扱えるものを僕の中で何か発見しようとするんですね、たぶん。それは「美ちなる方へ」のあの「ウーニャー♪」とかと同じで、この「通学LOW」の「ドゥールー♪」も同じで、「いかれたNEET」の「ムーウェー♪」も同じです、はい。なんかこれはやってたらできたみたいな、作ってたらできたっていう、そんな感じなんですけどね。
──の子さん、曲はギターで作るんですか?
いや、なんかギターで作るってわけでもないです。感覚で作るって感じです。総合的に言えば。
──じゃあ例えばシンセとか、新しい機材を買ったからこんな曲を作ってみようみたいな、そういうこともあったりします?
新しい機材を買ったからこんな曲を作ってみようってのありますよ。例えばボコーダーとかそうだったりします。でも新しい機材買ったからじゃなく、新しい機材がマッチしたっていう答えのがたぶん正しいと思います。
──この曲は最初聴いたときはフィッシュマンズみたいだなと少し思ったんですが。
それはタイトルじゃないですか(笑)。「いかれたBaby」もじってますから。
──あ、タイトルはやっぱりそこから来てるんですね。音的にも少しダブっぽい感じもある気がするんですが。
そこはわかんないです。フィッシュマンズにもこういう曲あるかもしれませんけど、でももっともっと深いですよフィッシュマンズは。
「さわやかな朝」
──「さわやかな朝」には驚きました。いきなり絶叫してますよねこれ。問題作なんじゃないかと。
いや、これ問題作じゃないですよ。普通に良いと思いますよ。僕、普通に良くなったと素直に言えますよ。だから最後に通して聴いたとき思ったのが、次「聖天脱力」って曲なんですけど、「さわやかな朝」で終わらしときゃよかったなぁって。
──(笑)。これデモはもっとさわやかというか、普通に歌ってましたもんね。
透き通った感じ。
──なぜ今回絶叫しようと思ったんですか?
荒れ狂ったからです。
──そのときの気分ということ?
はい、そのときの気分です。
──歌詞の「ママ」と「パパ」みたいな表現も異色ですよね。
相当ムカついてイライラしてたんでしょうね、朝で。
──子供の頃の記憶?
まあホントそんな感じです。学校行く前ですね、うん。
──そんな子供の頃からイライラしてたんですか。
えっ(笑)。いや、子供の頃はイライラしてんじゃないですか、むしろ。イライラとも違いますね。落ち込んでたみたいな(笑)。
──確かにパパとママがいて一見幸せな家庭の風景みたいな描写なんですけど、気持ち的には憂鬱な感じが出ていますよね。
うん、俺も今歌詞見てなんかそんな感じすんなあって。まあわかんないっすけど。
──歌詞で1カ所わからなかったのが「パパが変な棒をパタパタさせたら」っていうフレーズなんですけど。変な棒って何のこと?
変な棒ってあれですよ、筋トレみたいな棒あるじゃないですか。あれなんか一時期親父が持ってた記憶があるんで、ただそれだけです。
CD収録曲
- ねこラジ
- あるてぃめっとレイザー!
- ベイビーレイニーデイリー
- 自分らしく
- 怒鳴るゆめ
- 最悪な少女の将来
- スピード
- 男はロマンだぜ!たけだ君っ
- 神様それではひどいなり
- 僕のブルース
- ぽろりろりんなぼくもぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃーん
- いくつになったら
- 口ずさめる様に
神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)
の子(Vo,G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表した後、ワーナーミュージック・ジャパンと契約し、2010年12月にメジャーレーベルのワーナーから「つまんね」、インディーズレーベルのPERFECT MUSICから「みんな死ね」という2枚のアルバムを同時リリース。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。