ナタリー PowerPush - 神聖かまってちゃん

「つまんね」「みんな死ね」全曲解説

「聖天脱力」

──そして「つまんね」のラストは「聖天脱力」ですね。朝をテーマにした2曲で終わる感じですけど。

だから「さわやかな朝」で終わっときゃよかったんですよ。へへへ(笑)。「聖天脱力」はデモのほうがいいっていうか、ちょっとこんな感じで自分で腑に落ちない感じになっちゃったんで、余計に。まあいいんすけど、とりあえず僕は「さわやかな朝」で止めます。

──「聖天脱力」はいつ頃書いた曲なんですか?

これいつだろ? 4年前ぐらいじゃないすか? 思い出せないっすね。歌詞を見てもただやる気がないだけでよくわかんないです。

──というわけで、「つまんね」についてひととおり話してもらったんですけど。

まあ、あんま語るもんじゃないですね、やっぱりこれは。

──「つまんね」は夏頃のレコーディングセッションで録った曲を収録したそうですね。エンジニアはNATSUMENのAxSxEさんで。最初のレコーディングセッションでこれらの曲を録ろうというのはどういう意図で決めたんですか?

みんなで話し合って「どうしよっか」「どう分けよっか」みたいな話はしてたんです。んで「明るいのと暗いので分けよっか」みたいな感じになって、こっちは暗いほうなんすけど、でも最終的には俺としては、どっちも暗い曲あったりするし、どっちも明るい曲があったりするし、結局別にどうってこともない。

──(笑)。

けどやっぱ割と世界観が深いものは、たぶん「つまんね」のほうに入ってます。でも全部が全部っていうわけじゃないですよ。コンセプトなんかどうでもいいやっていう感じですわ。

「ねこラジ」

──じゃあ続いてアルバム「みんな死ね」について聞かせてください。こちらは「ねこラジ」から始まる選曲なんですが、最初は「みんな死ね」が明るいアルバムの予定だったんですよね?

そうです。「みんな死ね」が明るいアルバムの予定でした。まあ、明るいアルバムって言われても(笑)。

──確かに、1つの曲で明るい面も暗い面もありますしね。

なんだよって話ですよホントに。あはは(笑)。ホントバカバカしくなってきますわ、こんなん。別にそんときの、作ってるときの自分から言ったら「薄情なこと言うんじゃねえよこの野郎」みたいな感じで殴りに来るんじゃないかって(笑)。だから今の僕がこうやって語るのも薄情なんですけど。

──作ってるときはそれどころじゃないんだってことですよね。

いろんな気持ちがありますからね。

──「ねこラジ」はちょっとファンタジックな世界観の曲ですけど。

ファンタジックですね。単純にメロディが良いですね。

──「ねこ」と「ラジオ」が出てくるこの世界は、何かきっかけがあって生まれたものなんですか?

ねこ飼ってたからじゃないですか。ねこ好きなんで。

──でもねこが塔を登る曲を書こうって、普通はあんまり思いつかないですよね。

いや、思うんじゃないですか。知らないですけど。ねこが塔を登る曲を書こうとか思うんじゃないですかね、人は誰でも。

──誰でもは思わないと思いますよ(笑)。

まあ誰でもはないけど50%は思いますよ。50%はやっぱねこが塔を登る曲を書こうって思いますよ。でもこういう歌詞見てると思いますけど、こういう歌詞の話とかは語ってく分だけなんなんだろう、奪うっていうか、そういう余地を。余地を奪ってどんどん魅力がなくなってくもんだと思いますよ。

「あるてぃめっとレイザー!」

──2曲目「あるてぃめっとレイザー!」もライブで盛り上がる、いい曲ですよね。

これですか。別に普通ですよ。作ったのだってもうホント5年前とか4年前とかですよ。だから昔もライブでやってたんで、単純にライブの曲だなって。レコーディングは勢いで歌ったんで1番サビの「あるてぃめっとレイザー!」って叫ぶとこボーカルエフェクター踏み間違えてます。もう二度と歌えないからそのままでいいやみたいな(笑)。

──こういう曲はギターリフから作るんですか?

これはたぶんそうです。でもどうなんだろうな、単に「あるてぃめっとレイザー!」って言いたかったっていうのもあるかもしれません。「金持ちお嬢様」と「あるてぃめっとレイザー!」はたぶん言いたかったんでしょうね。それだけです。

「ベイビーレイニーデイリー」

──「ベイビーレイニーデイリー」は新しい曲ですよね。

まあわりと新しいほう。「ベイビーレイニーデイリー」僕大好きです。いや、好きですね、俺この曲。メロディも歌詞も。いや、好きですね。なんか……とっても大好きです。

──これは実際のの子くんの彼女のことを歌った曲ですよね。

そうです。つき合ってた頃に彼女に向けて作った曲です。

──こういう両思い状態のラブソングは、かまってちゃんの曲としてはすごく珍しいですよね。

珍しいっていうか僕自身そういう経験がなかったですからね。この曲ができるまで、そういうハッキリとしたことはなかったんで。だからこの曲書いたとき、一気に「お前変わったな」みたいな、そういう意見はいっぱいありました。俺は大好きですね、これ。

──実在のモデルがいるせいか、すごくリアルに気持ちが伝わってきますね。

歌詞もなんか女々しいし。やっぱ女々しい自分が好きなんで、僕は。

──曲ができたとき彼女に聴かせたりしました?

そうですね。それは覚えてます。「PVできたよ」って言って、そしたら覚えてるのが「ポップだね」って言われたこと。今でも覚えてる。これ一生忘れないんじゃねえの。ふふふ(笑)。

──彼女とはどうして別れたんですか?

僕が最終的に、僕から切り出しましたよ。結婚したいくらい好きだったんですけど、なんかおかしくなったんでしょうね、なんか自分の中で。だから反省してんのは、彼女に対しても歌詞の中にあるように、僕は自分のものを全部さらけ出してたんで、要するに精神的にちょっとよろしくないというものも全部ぶつけてて。なかなかちょっと「死にたい」とかそういうメールを。反省してますね、俺のせいだ……。いろいろあったんです。あんま、訊くなよ。いろいろあったんだよ。いろいろあるんだよ(笑)。

ニューアルバム「つまんね」 / 2010年12月22日発売 / 2400円(税込) / Warner Music Japan / WPCL-10886

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CD収録曲
  1. 白いたまご
  2. 天使じゃ地上じゃちっそく死
  3. 美ちなる方へ
  4. 芋虫さん
  5. 黒いたまご
  6. 笛吹き花ちゃん
  7. 夜空の虫とどこまでも
  8. 通学LOW
  9. いかれたNEET
  10. さわやかな朝
  11. 聖天脱力

ニューアルバム「みんな死ね」 / 2010年12月22日発売 / 2400円(税込) / PERFECT MUSIC / XQFL-1016

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CD収録曲
  1. ねこラジ
  2. あるてぃめっとレイザー!
  3. ベイビーレイニーデイリー
  4. 自分らしく
  5. 怒鳴るゆめ
  6. 最悪な少女の将来
  7. スピード
  8. 男はロマンだぜ!たけだ君っ
  9. 神様それではひどいなり
  10. 僕のブルース
  11. ぽろりろりんなぼくもぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃーん
  12. いくつになったら
  13. 口ずさめる様に
神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)

の子(Vo,G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表した後、ワーナーミュージック・ジャパンと契約し、2010年12月にメジャーレーベルのワーナーから「つまんね」、インディーズレーベルのPERFECT MUSICから「みんな死ね」という2枚のアルバムを同時リリース。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。