JAM Project コンセプトEP「THE JUDGEMENT」インタビュー|結成22年目のあくなき挑戦──新章へと踏み出したJAM Projectの“今”に迫る (3/3)

俺たちはアカペラをやっていくべき

──そんな遠藤さんが作曲をされたのが次の「Atonement ~償い、そして希望へ~」です。伴奏は控えめなキーボードだけでほぼアカペラですね。

影山 前のツアーなどでアカペラをやったときに「やっぱり俺たちはこれをやるべきだよね」と手応えを感じたので、今回もやってみようと思ったんです。

遠藤 最初から兄さんのその希望があったので、はじめはそのための曲を書いていました。でも俊次さんから「アカペラにこだわらず、バンドサウンドでのバラードを意識してみよう」という話があってこの形になりました。だからアカペラをすごく意識して作ったわけでもないんですよね。

影山 遠藤が作ったメロディに志保ちゃんがボーカルアレンジしやすいメロディを付けてできました。

──ライブで聴くのが特に楽しみな曲です。

きただに プレッシャー!(笑)

──最後は再生した地球で生きる新たな人類の希望に満ちた「EDEN」です。これは作曲に福山さんがクレジットされていますね。

福山 はい。僕もいくつかデモを作ったんですけど、まさか最後の曲のサビになるとは思いませんでした。

遠藤 違う曲用に提出してたやつだよね。

福山 そうそう。それがこの曲のサビに採用されたけど、歌を入れた段階で僕がかつてJAM Projectで似たメロディの曲を書いていたことに気付いて。それから急いで作ったいくつかのメロディのうち、最後に作ったのが今のものです。

遠藤 でも俺たちはどの曲に似ていたかわかってないもんね。

福山 秘密です。

──最初と最後にオーケストラのような音が入る意図は何でしょう?

奥井 志保ちゃんに聴かないと正しいことはわからないけど、映画が終わったあとのエンドロールみたいですよね。

影山 最近の映画は4曲くらい続くこともあるし。

きただに 2曲は絶対あるやつ。

──制作面を中心に話を伺いましたが、今回の作品は激しめの曲が少ないぶん、皆さんの歌声を堪能できる1枚だと感じました。

奥井 ファンはこんな内容になるとは絶対に思ってないですよね。だからどう受け取られるか少し気になってる。私は、たまにはこういうのもいいんじゃないと思うんですけど。

きただに 昔、Kissも映画仕立てのコンセプトアルバム(「Music From The Elder」)を作ったんですけど、それがファンにケチョンケチョンに言われて、確か彼らの中では一番売れなかったんですよ。俺は好きなんですけど。

──(笑)。歌声に話を戻すと、先ほど話した皆さんの悪そうな声とか、あと「EDEN」の福山さんの「Angel's ladder」の声なんかはやっぱり最高だなと感じました。

福山 うれしい、ありがとうございます。

奥井 あれすごいですよね、発音が。「エンジェルズラァダ~♪」って「そんなに本格的?」っていう。

きただに それで言うと「THE JUDGEMENT」の福山芳樹の「絶望への道」がめっちゃ最高でした。レコーディングで聴いてて「ええな」と。

福山 改めて言われると照れるな。

自分たちを支持してくれるファンに“JUDGEMENT”してもらう覚悟もあります

──ここまで話を伺った「THE JUDGEMENT」を携えてのツアーが間もなく始まります。ツアーはどんな内容になりそうでしょうか?

奥井 福ちゃんにヒゲでも生やして出てもらったらいいんじゃないかな。

福山 悪いやつとして?(笑)

影山 でも実際どうなるんだろう? ライブの頭からEPの内容をそのままやるのか……。

福山 これまでオリジナルアルバムを作ったときも、それらはライブの前半や中盤、後半にバラしていたけど、このEPを改めて頭から聴くと、今回それはできないなと思って。MCも挟みようがない。だから頭に7曲まとめてやるしかないんじゃないかな。そういうチャレンジができるチャンスも1回きりだろうし。

奥井 ライブがどんなものになるか決まっていませんが、もちろんいつものJAM Projectらしい楽曲もやると思います。だから多くの人に来ていただきたいです。

──新たな試みもいつもの楽曲も楽しみです。遠藤さんときただにさん、影山さんの意気込みはいかがでしょう?

遠藤 このコンセプトEPはJAM Projectにとって初めての試みばかりで、俺も結果的にはすごく刺激的だったけど、当初は「どうなんだろう?」という気持ちはありました。だから聴いたファンの子も戸惑いがあるかもしれません。でもそれはファンが“JUDGEMENT”してくれたらいいことだと思います。そのためにも、ライブで俺らが挑戦したJAM Projectの第2章を体験してください。

きただに パンデミックがまだ終わらないうちに戦争も始まり、さすがのきただににもいろいろ考えて。

奥井 「さすがのきただに」ってどういうこと?

影山 「普段何も考えない自分でさえ」ってことでしょ。

きただに そうそう、本当に考えもしなかったことがたくさん起きて。その中でもこうして「THE JUDGEMENT」という作品を作って、JAM Projectがチャレンジャーであり続けられること、そしてその姿をみんなに見せられることが大きな喜びです。ライブ、ぜひ見に来てください。

影山 今回の作品で一番言いたかったのは、ダニーが言ったような危機的状況にいる人類が「お前はどっちなんだ? 自分で“JUDGEMENT”できるのか?」と問われている時代だということなんです。それは1人ひとりが考えるべき問題で、みんなそれぞれに思いがあるでしょう。ただ自分はミュージシャンなので、仲間と一緒に作った作品の中で自分の主張や理想をぶち込みました。そこには自分たちを支持してくれるファンに“JUDGEMENT”してもらう覚悟もあります。ツアーに来るファンも、僕らの歌声をしっかり聞いて、その思いについて考えてくれたらうれしいです。

ライブ情報

JAM Project LIVE TOUR 2022 THE JUDGEMENT

  • 2022年10月8日(土)東京都 立川ステージガーデン
  • 2022年10月10日(月・祝)福岡県 福岡国際会議場
  • 2022年10月16日(日)大阪府 東大阪文化創造館Dream House(大ホール)
  • 2022年11月2日(水)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)(※FC「MOTTO! MOTTO!! +」会員オンリーDAY)
  • 2022年11月3日(木・祝)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
  • 2022年11月20日(日)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
  • 2022年11月27日(日)愛知県 Zepp Nagoya

プロフィール

JAM Project(ジャムプロジェクト)

日本のアニメソング界で活躍する実力派シンガーからなるボーカルユニットで、正式名称は「Japan Animationsong Makers Project」。進化した日本のアニメに見合う主題歌を作るという目的で2000年に結成され、現在は影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹の5人で活動している。2008年に8カ国10都市を回る初のワールドツアーを行い、2012年にはバンドを引き連れて南米ツアーを実施。上海国際博覧会や麗水国際博覧会など国際的イベントにも出演し、アニソンを世界中に届けてきた。結成20周年を迎えた2020年に1月にオリジナルアルバム「The Age of Dragon Knights」とコンプリートボックス「JAM Project 20th Anniversary Complete BOX」を同時リリース。9月にALI PROJECT、angela、FLOW、GRANRODEOを迎えてオンラインフェス「JAM Project 20th Anniversary Special JAM FES.〈JAPAN ANISONG MEETING FESTIVAL〉」を開催した。2022年7月に14枚目のベストアルバム「JAM Project BEST COLLECTION X IV」を発表。9月にコンセプトEP「THE JUDGEMENT」をリリースし、10月よりライブツアー「JAM Project LIVE TOUR 2022 THE JUDGEMENT」を開催する。