ナタリー PowerPush - ニコナタ 影山ヒロノブ×小出祐介(Base Ball Bear)「超音楽祭2014」対談

継承されるアニソンの遺伝子

4月26、27日の2日間、千葉・幕張メッセ国際展示場で開催される巨大イベント「ニコニコ超会議3」内にて、豪華絢爛な音楽ライブイベント「超音楽祭2014~超会議3~」が行われる。

ジャンルを超越した多彩なアーティストがラインナップされるこのイベントの開催を記念し、今回ナタリーではともに26日の出演となる影山ヒロノブと小出祐介(Base Ball Bear)の対談を企画。数々の影山楽曲を聴き育ち、戦隊ヒーローやアニメへの造詣が深い小出と、アニソン界の重鎮・影山による熱いクロストークは、当日のライブへの期待を大きく膨らませることになるはずだ。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 小坂茂雄

小出少年、「ROBONATION」の洗礼を受ける

左から影山ヒロノブ、小出祐介。

小出祐介(Base Ball Bear) 僕、世代的に影山さんの音源をめちゃめちゃ聴いてるんですよ。

影山ヒロノブ 「ドラゴンボールZ」とか?

小出 もちろん「ドラゴンボールZ」も世代ですし、あとは「(電撃戦隊)チェンジマン」とかの戦隊モノ。当時、3作品くらい影山さんが歌ってましたよね?

影山 「チェンジマン」が1985年で、その後に「(光戦隊)マスクマン」「(鳥人戦隊)ジェットマン」とやりましたね。

小出 僕は1984年生まれなんで「チェンジマン」は後追いですね。それ以降はリアルタイムで観てたんですけど、戦隊モノの曲の中では「マスクマン」が一番好きなんです。あの曲(オープニングテーマ「光戦隊マスクマン」)、変わってますよね(笑)。

影山ヒロノブ

影山 あははは(笑)。あれはね、ちょっと歌謡曲っぽいんですよね。作曲は井上大輔さんなんだけど、当時、山口百恵の曲に似てるって言われて、ちょっと話題になった。「♪ア・ア・ア イミテーションゴールド」の「♪ア・ア」のところが一緒っていう(笑)。

小出 確かに似てますね(笑)。あと、サビで転調しませんか? してそうに聞こえるだけでしてないのかな?

影山 んー、えーっと(サビを小声で口ずさんで)……してますね!(笑)

小出 ですよね。めちゃめちゃ変な転調なんだけど、それがすごくフックになってる。今改めて聴くとすげえ凝ってていい曲なんですよ。で、その後、僕は中1でギターを始めて、Deep Purpleのリッチー・ブラックモアに憧れて速弾きの練習をずっとしてたんですけど、ある日、リッチー読本みたいなのを読んだらそこにレイジーの名前が載っていて。「あ、これって影山ヒロノブさんのバンドなんだ」と思って、そこからレイジーも聴くようになったんですよね。

影山 マジですか!

小出 さらに僕が中1だった97年には「スーパーロボット大戦F」がセガサターンで出て、影山さんも出演されていた「ROBONATION(SUPER LIVE '97 SUMMER)」というイベントが開催されたんですよ。

小出祐介

影山 あははは(笑)。「ROBONATION」って言葉が出てくるなんてビックリした! あのイベントは1回しかなかったんで。

小出 「スパロボF」に合わせてセルフカバーアルバム(「スーパーロボット大戦 ボーカルコレクション ROBONATION. 1」)も出たし、その後には「ROBONATION」を収録したライブアルバムも出て。中1のときに僕が一番聴いたアルバムは、Deep Purpleの「Live in Japan」と、その「ROBONATION」のライブ盤ですからね。だから影山さんの歌はかなり聴いてきてるっていう。

影山 いやー、すごくうれしいなあ。その「ROBONATION」っていうのはアニソンの世界では画期的な出来事で。それ以前のアニソンのライブは、いわゆる会館系のところでやっていたから、みんなおとなしく座って観る感じだったんです。昔の歌謡曲のコンサートのようなスタイルというかね。でも「ROBONATION」は赤坂BLITZでやったから。

小出 オールスタンディングですもんね。

影山 そうそう。だからアニソンファンの子たちが初めて、立ち上がって拳を振り上げて一緒に歌ってもいいんだってことに目覚めた日でもあるんだよね。それ以降はもう、スーパーロボット関係とか特撮系のイベントはほぼオールスタンディングになりましたから。

小出 「ROBONATION」はほんとすごい内容でしたよね。僕はライブのVHSも持ってるんですけど、いきなり「マジンガーZ」のホバーパイルダーが舞台装置としてぶわーっと出てきたりして。で、そこで歌われるロボットアニメの主題歌は全部がロックアレンジというか、今のJAM Projectにつながるようなアレンジになっていたじゃないですか。それがめっちゃカッコよくて。ホントにずっと聴いていたんで、そのお話を今、影山さんご本人とできているのがうれしいです(笑)。

影山 いやいや、ほんとにビックリですね。レイジーを聴いてくれていたことも含めて。だって、あのバンドは80年に解散してますから。

「チェンジマン」が俺の人生も“チェンジ”してくれた

小出 そもそも、レイジーを解散させたあと、ヒーローものやアニソンを歌うようになったきっかけはなんだったんですか?

影山ヒロノブ

影山 あのね、俺は20歳でレイジーを解散して、その後はソロになったんですけど、なかなかいい曲も自分で書けないし、とにかく苦しかったんですよ。年間150本くらいライブはやってたけど、動員もどんどん落ちてくるし。で、そんなことを5年くらい続けたときに、当時のコロムビアのディレクターが戦隊モノの話をもってきてくれて。要は、従来のアニメや特撮の曲のスタイルを、ロックを聴いて育った世代の人たちに変えてほしいっていうことだったんですよね。で、初めてやったのが「チェンジマン」だったっていう。

小出 なるほどなー。だから「“チェンジ”マン」なのかな?(笑)

影山 あははは(笑)。でも確かに「チェンジマン」が俺の人生も“チェンジ”してくれたと思いますね、うん。

小出 曲調はほんとに「チェンジマン」からかなり変わりましたもんね。急にロックベースになるあたりがニューウェイブっぽいというか。

小出祐介

影山 うん。リズムも一気に速くなりましたから。

小出 BPM速いですよね。前のめりだし。

影山 そこが1つの転換期だったんでしょうね。今、アニソン系のイベントに出ると俺のことをみんな“長老”って呼ぶんですよ。いやいや俺の前にもまだまだ先輩方がたくさんいるのになって思って最初はヘコんだりしてましたけど(笑)、今のアニソン界を支えてるファンの人たちは若い方が多いから、いわゆるその転換期以降のスタイルがメインになってるわけで。そう考えると彼らの中では俺が一番古いシンガーって認識なのかもなって納得するところもあるんですよね。

ニコニコ超会議3

「超音楽祭2014 ~超会議3~」DAY1概要

2014年4月26日(土)千葉県 幕張メッセ国際展示場 ホール8 超音楽祭ステージ
OPEN 10:00 / START 11:00 / END 17:30(予定)

<出演者>
影山ヒロノブ / Base Ball Bear / アップアップガールズ(仮)/ ELISA / 椎名ぴかりん / SKY-HI / SCREEN mode / 春奈るな / ℃-ute / 流田Project / 任天堂スペシャルビッグバンド

<ニコニコ生放送>

JAM Projectニューシングル「Breakthrough」 / 2014年4月30日発売 / 1296円 / ランティス / LACM-14210
JAM Projectニューシングル「Breakthrough」
収録曲
  1. Breakthrough
  2. Maverick~覚醒されし獣~
  3. Breakthrough(Off Vocal)
  4. Maverick~覚醒されし獣~(Off Vocal)
Base Ball Bear ニューアルバム「二十九歳」 / 2014年6月4日発売 / EMI RECORDS
Base Ball Bear ニューアルバム「二十九歳」
初回限定盤 [CD+DVD] / 3780円 / UPCH-29167
通常盤 [CD] / 3165円 / UPCH-20353
CD収録曲
  1. 何才
  2. アンビバレントダンサー
  3. ファンファーレがきこえる(Album Mix)
  4. Ghost Town
  5. yellow
  6. そんなに好きじゃなかった
  7. The Cut feat. RHYMSTER(Album Mix)
  8. 方舟
  9. The End
  10. ERAい人
  11. スクランブル
  12. UNDER THE STAR LIGHT
  13. PERFECT BLUE(Album Mix)
  14. 光蘚(Album Mix)
  15. 魔王
  16. カナリア

※曲順、曲名は変更の可能性があります。

初回限定盤付属DVD
  • メンバーによる初の公式インタビュー
  • 2014年4月4日、TOUR「光蘚」ファイナルとして名古屋ボトムラインにて敢行されたBase Ball Bearによる最新ライブ映像 (収録曲未定)
影山ヒロノブ(カゲヤマヒロノブ)

1961年2月18日、大阪府生まれ。1977年にハードロックバンド・レイジーのボーカル“ミッシェル”としてデビューを果たす。1981年5月のレイジー解散後はソロとして活動し、1985年にKAGE名義で「電撃戦隊チェンジマン」の主題歌を担当。これを機に特撮・アニメソングでの活躍が増え、「ドラゴンボールZ」の主題歌「CHA-LA HEAD-CHA-LA」や「聖闘士星矢」主題歌「聖闘士神話 ~ソルジャー・ドリーム~」などを次々と大ヒットさせた。2000年には同じくアニメソング界を牽引する水木一郎、松本梨香、さかもとえいぞう、遠藤正明とともにJAM Projectを結成。現在は遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹とともにJAM Projectとして日本のみならず世界各国を舞台に活動しながら、作詞、作曲、編曲、プロデュースをこなす「アニソンアーティスト」として幅広い活躍を見せている。

Base Ball Bear(ベースボールベアー)

小出祐介(Vo, G)、関根史織(B, Cho)、湯浅将平(G)、堀之内大介(Dr, Cho)からなるロックバンド。2001年、同じ高校に通っていたメンバーによって、学園祭に出演するために結成された。高校在学中からライブを行い、その後も楽曲制作等、精力的な活動を続け、2006年にメジャーデビューする。2007年には「抱きしめたい」「ドラマチック」「真夏の条件」「愛してる」といったシングルや、アルバム「十七歳」を立て続けに発表。2010年1月には初の日本武道館単独公演を開催した。バンド結成10周年を迎えた2011年には、シングル3枚とアルバム「新呼吸」を発表。2012年は2度目の日本武道館公演を皮切りに活発なライブ活動を展開し、2013年2月に初のベストアルバム「バンドBのベスト」とシングル「PERFECTBLUE」を同時リリースした。2014年6月には約2年7カ月ぶりとなるオリジナルアルバム「二十九歳」を発表。9月からは全国19都市を回るライブツアー「2014年秋ツアー」(仮)を行う。