入野自由「Live Your Dream」 PR

入野自由|アーティストデビュー10年目、全曲作詞で切り開いた新境地

入野自由が3月20日に6枚目のミニアルバム「Live Your Dream」をリリースした。

レーベル・Kiramuneの第2弾アーティストとして2009年に音楽活動を開始した入野。声優業・俳優業と並行して着実にリリースを重ね、2016年には尾崎雄貴(Bird Bear Hare and Fish)やMummy-D(RHYMESTER)など、多彩なミュージシャンが参加したフルアルバム「DARE TO DREAM」を発表した。海外留学に伴う休業を挟み、復帰後の2018年には向井太一とタッグを組んでシングル「FREEDOM」を制作。ますます表現の幅を広げる彼の次なるチャレンジが形になったのが、全曲の作詞を自ら手がけたコンセプチュアルなミニアルバム「Live Your Dream」だ。音楽ナタリー初登場となる入野に本作に込めた思い、そして制作を経ての彼の変化について語ってもらった。

取材・文 / 柳川春香

「次は作詞かな」と思えるタイミングだった

──これまでの入野さんの音楽制作は、例えば向井太一さんにしても、2015年発表の楽曲「見果てぬ世界、繋がる想い」からたびたびご一緒されている佐伯youthKさんにしても、入野さんの「この人の曲が歌いたい」という希望からスタートすることが多かったですよね。今回それとは正反対とも言える“全曲自分で作詞する”という明確なコンセプトを設定したのは、何か心境の変化があったんでしょうか?

以前からディレクターに「詞を書いてみませんか」とは言ってもらっていたんですが、書くのはあまり得意じゃありませんし、「できたら」とは思いつつ、なかなか踏ん切りがつかなかったんです。でも、海外に留学していた期間にふと「書いてみよう」と。「作品にしよう」とはっきり思っていたわけではないんですが、書き始めてみたら形になって、それをディレクターに送ってみたら「いいですね」と言っていただけたので、それから海外を回っている間に書き溜めていきました。

──海外留学がきっかけの1つになったんですね。「DARE TO DREAM」も「FREEDOM」もそれぞれ挑戦的な内容だったので、次はどんなものが来るんだろう?と楽しみにしていたんですが、いきなり全曲作詞というのは思い切ったなと感じました。

「DARE TO DREAM」というすごくいいアルバムができて、じゃあその次に何をやるか?と悩んでもいたし、どんどん新しいことにチャレンジしたい、これまでと違うものを見せていきたいと思っている中で、「次は作詞かな」と思えるタイミングだったんですよね。せっかく書けたから形にしないのはもったいないし、やりたい、やらなきゃいけないとも思って。そういう感覚があってできたんです。ただ、今回自分が書いた詞がほかの方に書いてもらった楽曲の中に1曲だけ混ざるのは違和感があって、だったら海外で書いた歌詞を1つテーマに据えて、1枚にまとめたら綺麗かなと思ったんです。

──それでミニアルバムという形になったと。今まで以上にご自身の体験や感情がダイレクトに反映された内容になったと思うのですが、自分の書いた詞を世に出すことに気恥ずかしさはなかったですか?

最初にディレクターに見せるときには勇気が要りましたけど、もう恥ずかしさはないですね。自分が「大丈夫かな」「足りないな」と思った部分も、曲に全部底上げしてもらったと思います。

──ということは、今回はすべて詞先で作った?

はい。それぞれ「この詞の曲はこの人にお願いしよう」という形で進めました。詞先ということもあったので、初めましての方よりは、もともと交流のある方や、自分が信頼のおける方にお願いしたいとは思ったんです。「Monet」だけは初めましての方なので、また新鮮な感じになりました。

入野自由「Live Your Dream」豪華盤ジャケット

1曲1曲に見える、旅の思い出

──入野さんは特にここ数年は「あなたの世界観を歌わせてください」というスタンスで、「もらった曲をどう自分のものにしていくか」という取り組み方をされてきましたよね。

そうですね。「僕の好きなものを歌わせてください」という感じでした。

──今回はそれとは作り方が全然違うわけですが、やっぱり歌っているときの感覚も違いましたか?

歌っていて情景が思い浮かびやすい、というのはありました。今までは書いていただいた曲を自分なりに解釈して、歌詞も自分のものに置き換えて考えたりしていたんですが、今回は解釈も何も、自分の書いた状況や景色がそのままそこにある。どちらがよいということではないんですが、感覚としては全然違いました。

──では仕上がった作品を聴いて、改めて「こんなことを書いていたんだな」「こんなことがあったんだな」と気付くようなこともありましたか?

例えば「sayonara baby」は最初に書いた曲で、2年前、29歳になってすぐの頃に書いたんです。そのときは語学学校にいたんですが、周りは10代や20代前半ばかりで。でも年齢はあまり気にならなくて、自分も学生みたいな感覚に戻っていました。そういう時期に書いているので、歌っているとその感覚が戻ってきて、恥ずかしい気持ちにはなったりします(笑)。ちょっと青い感じがしますよね。

──「sayonara baby」というタイトルもなかなかストレートですもんね。

そう思われがちなんですけど、これはスペイン人の友達が知っている日本語が「sayonara baby」だけだったというエピソードから来ているんですよ。「ターミネーター2」の最後で主人公が「sayonara baby」と言ってバンッと銃を撃つのを観たからだそうなんですが、それをふと思い出して付けたタイトルなんです。

──なるほど(笑)。でもそうやって、どの曲にも誰かとの思い出や旅のちょっとしたエピソードが詰まっているんでしょうね。

そうですね。「誰からも愛されるあなたのように」はドイツ・オランダ、「Monet」はフランス、「Lazy morning」は日本に帰って来てから書いた曲で、「sayonara baby」はイギリスにいたとき、「MASCLETA」はスペイン……と、1曲1曲に自分がしてきた旅の感覚があります。