バンドは青春、イナ戦はスポ根

──「涙の青春」もまさに“汗と涙”が似合う曲ですね。

上中　これは、武郎がいいメロディを書いてくれました！ 歌詞も武郎が骨組みになるものを書いてきて。寂しさを引きずってるような“大人の青春感”にグッときましたね。

山田　うん、これはいい（笑）。ちょうどボブ・ディランが来日してたときで、そういうテイストで作ってみようと思って。

──30代半ばになっても青春というワードが似合んですよね、このバンドは。

上中　基本的にそういうものが好きなんですよ、俺は。スポ根も好きだし。

久保　THE イナズマ戦隊というバンド自体もそうだと思うんですよ。丈弥が先頭に立って「よし、こっちや！」っていう方向に全員で走っていって、途中でコケたりして。

上中　ハハハハハ！（笑）

久保　で、「またがんばろう！」って進んでいくっていう。そういう感じでバンドをやってきたし、僕らもそれが好きなんですよね。

山田　切磋琢磨してる感じも、青春っぽいかもしれないですね。メンバーがカッコいい演奏をすると「負けたくない！」って思うし。

上中　バンドは青春ですよ！ 例えば地元の友達がライブに来てくれて「めっちゃカッコよかった。グッときたわ」って言われたりすると、こっちもたまらない気持ちになりますからね。大人になったら、そういうことってないでしょ？

中田　仲間と一緒に何かをやったり、同じ方向に進んでいくっていうこともなくなるよな。

上中　……これが記事になったらサムいことになってるかもしれないけど（笑）、人情のある曲が好きやし、そういうものを歌いたいんですよ。

この年齢になると「とにかく続けることが大事」って言葉に納得できる

──今の世の中に必要なものですよね、それは。「この手の中に」には“まだまだ見たい景色があるんだ”という意思が込められたナンバー。この曲はそのままTHE イナズマ戦隊の未来につながってますね。

上中　先が見えるアルバムになりましたね。今「17周年のご返杯ツアー」をやってるんですけど、リード曲（「ジャパニーズドリーム」）のリアクションもすごくよくて、「自分たちの感覚はズレてない」という手応えがすごくあるんですよね。来年はこのアルバムをしっかり届けて、その後、胸に突き刺さって取れないような曲をなんとしても作りたいと思っていて。それを持って、もっと大きい景色を見に行きたいですね。

久保　長崎のライブのときの印象がすごく強いんですよね。「こんなに集まってくれるんだから、もっと行けるんじゃないか」って。

上中　武道館、やりたいですね。俺、チケット手売りするわ。

山田　8000枚？

上中　がんばるよ。親戚も回るし（笑）。

──1つひとつの景色をしっかり見ながら、時間をかけて上がっていくのって素晴らしいことですよね。

上中　そうですよね。ほかのバンドの人が「ゆっくり上がっていくのがいい」って言ってると「負け惜しみか？」って思うかもしれないけど（笑）。

久保　そういうことも、今になってわかってきたんですよね。昔は「とにかく続けることが大事」とか「時間をかけて上がっていくのがいい」って言われても、よくわからなかったんですよ。でも、この年齢になると「そうなんだな」って納得できるというか。これまで一緒にやってるからこそ出せる音っていうのが、ホントにありますからね。