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report種類から買い方まで 脇田もなり、アナログレコードを知る(後編)

これまで何度もアナログレコードをリリースしながら自分ではアナログレコードの聴き方がわからないという脇田もなりに、東洋化成の小林美憲氏が2回にわたってアナログレコードにまつわるいろいろを教える本企画。小林氏にアナログレコードの種類や構造などについてを解説していただいた前半(参照:種類から買い方まで 脇田もなり、アナログレコードを知る(前編))に続く今回、脇田は再生方法や購入方法などについてを学んだ。

取材・文 / 加藤一陽
撮影 / 臼杵成晃(インタビュー)、佐藤類(ロケ)
撮影協力 / 東京・COCONUTS DISK KICHIJOJI

針はどこにっ!?
いよいよ再生

小林 ここからはいよいよ再生の手順を説明しますね。プレーヤーにはターンテーブルという回転するテーブルがあります。レコードを聴くときにはターンテーブルにレコードを乗せて、針を盤面の溝の上に落とすと音が鳴ります。じゃあ、やってみましょうか。

レコードプレーヤー。丸いところがターンテーブルで、右上からアナログレコード上に伸びているのがフォノカートリッジ(針)。

レコードプレーヤー。丸いところがターンテーブルで、右上からアナログレコード上に伸びているのがフォノカートリッジ(針)。

脇田 (おもむろにターンテーブルシートを持って)ええと、まずこれは外していいんですよね? 外しますよ? え、ダメ? 乗せたまま?

小林 これは外さないほうがいいですね。このシートの下は硬いので、そこに直接レコードを乗せると盤面が傷付いてしまう可能性があるんです。

脇田 どうしよう、自分のやつは外しちゃってた。なくしたかも……ちなみにレコードって、どこから曲が始まるのかがわからなくて。針を落とすのは盤面のどこでもいいんですか?

小林 1曲目から聴くのであれば、レコードの一番外側。外側には曲が始まる前の空白の部分があるので、その部分であればどこに針を置いても大丈夫です。レコードって溝の外側がちょっと盛り上がっているんですね。ほら、わかるかな?

脇田もなり

脇田もなり

脇田 あー、本当だ本当だ。

小林 この盛り上がっている部分の横辺りに針を落とせば、収録曲が最初から再生されます。じゃあスイッチを入れて……。

脇田 わあ回った、どうしよう! (慌てて針を置く)あ! なんか「ボスボスボス」って話し声が聞こえてきた!

脇田もなり

小林 MCの音ですね。用意したレコード、ライブ盤だったんですね(笑)。

脇田  鳴ってる! すごいすごい! ちなみに、レコードの溝ってたまに太いのがあるじゃないですか。これは曲の切れ目ですか?

小林 そうですそうです。スキップしたいときは、この太い溝のところに針を落とす。慣れれば曲頭ぴったりのところから再生することもできるようになりますよ。

脇田 ちょっとやってみます。えっと、こうして……あれ? できてます?

小林 ライブ盤だから分かりにくいかもしれませんが、いい感じでしたよ。優しく落としてくれてよかったです。

脇田 本当ですか? うれしい。センスがあるのかもな。

間違えると“高く”なる!
回転数ってなんだ?

脇田 プレーヤーには「回転数」って書いてあるところがありますよね。あれもわからないんですけど。

「33」「45」と書いてあるのが、レコードプレーヤーの回転数切り替えボタン。機種によっては、SP盤の再生で使用する78回転を選択できるものも。

「33」「45」と書いてあるのが、レコードプレーヤーの回転数切り替えボタン。機種によっては、SP盤の再生で使用する78回転を選択できるものも。

小林 ああ、こうやって切り替えるんですけど(33回転から45回転に切り替える)。

脇田 速くなった! あははははは(笑)。 声がめっちゃ高くなってる!

脇田もなり

脇田もなり

小林 回転数は1分間あたりにターンテーブルを何回転させるかという設定で、基本的に12inchも7inchも、33回転と45回転から選びます。収録時間が長いものは33回転、収録時間が短いものは45回転と覚えておくといいかもしれません。ちなみに33回転は、正確に言えば33と3分の1回転しているんですね。レコードのレーベル面に回転数が書いてあることが多いので、それを見て適切なほうを選んでください。

レコードのレーベルに記載された回転数の指示。左が7inch盤で回転数は45rpm、右が10inch盤で33 1/3rpm。

レコードのレーベルに記載された回転数の指示。左が7inch盤で回転数は45rpm、右が10inch盤で33 1/3rpm。

脇田 間違えると、声が高くなったり低くなったりします(笑)。そういえば前「レコードを使ってみました」ってTwitterにアップしたことがあるんですけど、そのときに、「なんか回転数おかしくない?」って言われたことがありました。回転数を合わせることって重要なんですね。

小林 さっきみたいに、間違えると適切な音で再生されません。あと、プレーヤーによっては78回転っていう設定もあって。これは昔販売されていたSP盤っていうレコードを聴くための設定です。今ではSP盤で新譜がリリースされることはありませんから、ほぼ使わないと言っていいでしょうね。

脇田 相当珍しいんだ。ちなみにSP盤ってどういうレコードなんですか?

小林 古いタイプのレコードで今のものと材質が違っていて。硬くて重くて割れやすいし、収録できる時間も短いんです。SP盤の弱点を補ってできたのが今のレコードなんですね。


2016年12月21日更新