「ジャケ買い」
……でもどこで買う？

──大雑把にアナログ盤の聴き方を実践してきましたが、興味は湧いてきましたか？

脇田　はい、自分でも買って聴いてみようと思いました。

──では、どこでアナログ盤を買いましょうか。

脇田　えっと、HMV……あれ、間違ってます？

小林　いやいや、もちろん正解の1つです。でもそういったレコードショップのほかにも、ネット通販でも買えるし、オークションサイトでも買えます。中古も売られているので、昔発売されたレコードで興味があるものがあれば探してみるのも楽しいですよ。中古盤はオークションサイトでも買えますし。マニアの人なんか、海外のオークションサイトで買っている人も少なくないです。

脇田　えええ。

脇田もなり

小林　中古なら100円くらいからありますので、何を聴いていのかわからない場合は、安い中古レコードの中から気になるジャケットのものを買ってみるのもいいと思います。“ジャケ買い”って言うんですけど。

脇田　「ジャケ買い」。ジャケから「こういう音だろうな」って想像して選ぶんですか？ すごい……でも確かにジャケがオシャレだったらそれだけで欲しい。

小林　お店の人に「こういう音楽が好きなんですけど」って相談して買ってみるのもいいですし。

脇田　レコード屋のおじさんって一見怖そうですけど……。

小林　ははは（笑）。優しく教えてくれますよ。お店の人に質問するのはネットではできないことですから、どんどんやってみてください。

脇田　はい。diskunionとかで質問してみます。

取材後のロケでアナログレコード店デビューを果たした脇田もなり。

小林　ただ、中古盤だとレコードに傷が付いているものもあります。あまり傷が大きいとノイズが出たり、針がちゃんと溝をなぞれなくなったりすることがあるんです。あとはレコードが反っていて、うまく再生できないような状態のものがあったりもして。だから買うときはちゃんとコンディションを確認してくださいね。

脇田　ええ……でも、試しで聴いたりはできないんですよね？

小林　新品はできるんですけど、あまりに安い中古レコードだと試聴できないことが多いですね。お店によっては「500～600円くらいから試聴できますよ」というところもあります。基本的にディスクを見ることはできるから、傷が付いていないかとか、反っていないかとかを一応チェックするといいですね。

試聴をする脇田もなり。

脇田　はい、わかりました。傷が入っていたりしたらすぐわかるんですか？

小林　そうですね、わかると思いますよ。レコードが黒いのって、傷や汚れがわかりやすいようにっていうのも理由の1つなんです。もともとは透明に黄色がかったような色味の材料で、それにカーボンを混ぜて黒くしているんですよ。

脇田　なるほど！

傷が付いたアナログレコード。

最終章
小林さんからのメッセージ

脇田　小林さんはこういうお仕事をされていて、やっぱり家にはアナログ盤がたくさんあるんですか？

小林　ありますあります。引っ越しとかはすごく大変ですよ。

脇田　何枚くらいですか？

小林　6000枚くらいですかね？

脇田　えー！ 置くためだけの部屋とかあるんじゃ……。

小林　ありますね。だから家族の理解も必要で（笑）。ただスペースは確かに取られますけど、そのぶんリターンが大きいというか。やっぱり聴いていて楽しいです。これは僕じゃなくて別の人が言っていたんですけど、「回っているレコードを見るのって、焚き火を見ているときみたいに目からの効果もあるよね」って。まさにその通りだなって思うんです。

脇田もなり

脇田　ああ、わかる気がします。夜に照明を暗くして、コーヒーを飲みながらレコードを……っていいですよね。イメージが浮かびます。今日いろいろと理解したら、本当に自分でもアナログレコードを聴いてみたいなと思いましたよ。

小林　ぜひそうしてください。そしてアナログレコードを好きになってほしいです。若い人たちの間でも人気は出ていますが、やっぱりプレーヤーの使い方とかアナログ盤の買い方とか、わからないこともたくさんあると思うんです。そういうときはお店の人とか、すでにアナログ盤を持っている人にいろいろ質問してみてほしいです。人によってはお父さんやお母さんが教えてくれるかもしれません。そんなふうに上の世代の人とのコミュニケーションを楽しめるのもレコードの魅力です。そういう楽しみ方をしてほしいですね。

脇田　はい、わかりました。今日はありがとうございました！

脇田もなり