本特集内「東洋化成に聞く盛況アナログレコード市場の実情」にて、「“わからない”が原因でアナログ盤に手を伸ばせない人も確かに多いと思うので、そのあたりをフォローしていけたら」と語った東洋化成の小林美憲氏。それでは早速フォローしていただこう……というわけで、“わからない”が原因でアナログ盤に手を伸ばせない脇田もなりに、アナログレコードの種類や再生方法などを教えてもらうことにした。
ちなみに脇田は11月16日にソロデビューシングル「IN THE CITY」をCDとアナログ7inchのセットで発表する予定。ソロデビューシングルのみならずEspecia在籍時にもアナログ盤をリリースしながら自分では再生することができないという彼女、果たして自力でレコードを聴くことができるようになるのだろうか。前編・後編に分けて掲載する。
取材・文 / 加藤一陽 撮影 / 臼杵成晃(インタビュー)、佐藤類(ロケ)
撮影協力 / 東京・COCONUTS DISK KICHIJOJI
イントロダクション
東洋化成?
──脇田さんはアナログレコードで音楽を聴いたことはありますか?
脇田もなり 前やっていたグループ(Especia)で3枚くらいアナログ盤を出していて、そのときにファンの方から誕生日プレゼントでアナログレコードを聴く機械をもらって。
──その機械、プレーヤーとかターンテーブルって言うんですよ。
脇田 プレーヤー……それをもらって、使い方がわからないなりにそれで聴いてみたことがあります。あとファンの方からアナログレコードをもらったこともありました。だから何枚か実家にあって。
──そうなんですね。今日は取材のために東洋化成さんがアナログレコードやプレーヤーを用意してくださいました。
脇田 あ、これです! このプレーヤーなんです、私が持ってるやつ! 使い方が全然わからなかったけど。
脇田もなり
──これを機にアナログレコードの聴き方を覚えていってただければと思います。では小林さん、まずは自己紹介をかねて東洋化成についてを脇田さんに教えてください。
小林美憲(東洋化成) 東洋化成はレコード会社さんやアーティストから「レコードを出したい」と注文をいただいて、それを作る会社ですね。僕はそこでセールスなどを担当しています。
脇田 へえ。工場があるってことですか?
小林 はい。工場は横浜にあって。注文は今この取材をしている南青山のオフィスに入ってきますので、僕は工場とやりとりをしながらアナログレコードを作っていくんですね。日本で唯一アナログレコードの生産を行っている工場ということもあって、最近だと月に100タイトルくらい作っています……意外と多いでしょう?
脇田にアナログレコードについて解説する東洋化成の小林美憲氏。
脇田 はい。アナログレコード、流行っているんですねえ。アーティストさんもCDもアナログ盤も出すって方、すごい増えてますよね。
小林 そうですね。あと、CDを出さずにアナログ盤と配信音源だけで新曲をリリースする人もいます。とはいえ弊社は業務としてCDやアナログ盤のジャケットの印刷もやっていて、むしろそっちがメインなんです。だからCDの生産量が減るとなると、それはそれで困るんですけど(笑)。
──東洋化成について、わかってきましたか?
脇田 わかってきました。CDを印刷したりとか、発注とか……そういうことをするところ? わかりました。
東洋化成のアナログプレス工場。
7? 12? ドーナツ?
アナログ盤の種類を学ぶ
脇田 アナログレコードって、大きいのと小さいのがありますよね。
小林 小さいのって、こういうやつのことですか?
脇田が「小さいの」と言う7inch盤。
脇田 そうです! これは大きいのに比べて曲の数が少ない?
小林 はい。シングルで使われることが多いですね。逆に大きいほうは片面で25分くらい入れられるので、アルバムが収録されるのはこちらです。ちなみに大きいほうを12inch盤、小さいほうを7inch盤とサイズで呼ぶんですよ。あと12inch盤は「LP」とも呼ばれていて。どういう意味だかわかりますか?
脇田 え……“ロングプレーヤー”とか?
小林 おお、正解と言っていいでしょうね。“ロングプレイ”です。長時間プレイできるから。
12inch盤を手にする脇田もなり。
脇田 あー、大きいから。なるほど。そういえば、今度私が出すのはどっちでしたっけ?
スタッフ ちっちゃいほう。
脇田 わあ。わかりました、覚えました(笑)。
小林 あと真ん中の穴が大きい7inch盤を「ドーナツ盤」って言うんですけど。
脇田 本当だ、ドーナツみたい! でもなんのために穴を大きく?
小林 もともとはジュークボックスの規格に合わせてこういう形に作られているんですね。ジュークボックスはわかりますか?
脇田 わからないです。
この取材後のロケでジュークボックスとの対面を果たした脇田もなり。ロケ地は東京・COCONUTS DISK KICHIJOJI。
小林 たくさんの7inch盤が入っていて、コインを入れて曲を選ぶと自動で再生する機械です。今はあまり見かけませんけど。昔は飲食店などに設置されていたんですよ。それでも7inch盤を作るときにドーナツ盤を選ぶアーティストは多いんですが、それは単純にドーナツ盤の形状が好きだからという理由だと思います。7inch盤には小さい穴のものもありますし、穴の大小で音に違いはありませんから。
脇田 なるほど。ということは、7inch盤は作る側が穴の大きさをを選べるんですね。ちなみに私が出すレコードの穴は?
スタッフ 大きいほう。
脇田 そうなんですね、覚えました(笑)。
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2016年12月21日更新