ハタチになった感想は「こんなもんか」

──ハタチになった瞬間はどう思いましたか？

「こんなもんか」って思いましたね（笑）。ただハタチになって思うのは、いろんな人が育ててくれた20年だったなということで。その人たちに少しでも恩返ししながら、自分が思ってることを素直に音楽に反映していけたらいいなって。

──周囲の人たちに反発していた時期もあったけど。

すごくありましたね。でも、そのときの私が純粋な気持ちで反発していたから周りの人は手を貸してくれたと思うんですよね。

──打算的に反抗していたわけではなくて。

そう。私に変な計算があったら見捨てられていたと思います。ホントにまっすぐ人にぶつかっていたから。今の私もいい子にしようと思ってもできないところもあるし、これからも人とぶつかることはたくさんあると思うけど、計算だけはしたくないですね。

音楽に捧げた10代

──この20年の人生でいろんなターニングポイントがあったと思います。

もちろんデビューしたことが大きかったですけど、16歳で単身上京して人生が変わりましたね。才能がある人なんていくらでもいるんだって上京してから強く実感したし、時代の流れに巻き込まれるのではなく、自分で流れを作るくらいの気概を持って臨まなきゃダメだということもわかりました。それは絶対に1人じゃできないことで、私のことを信じてくれる人たちのサポートがないとできない。私が曲を作ることと歌うことしかできないのは確かなので。

──10代の家入レオはずっとギラギラしてましたか？

してましたね。私がわかりやすい不良みたいな感じではないから周りの大人も余計に困惑したり、傷付いたりしたと思うんですけど（笑）。13歳で音楽塾ヴォイスに入ってから、自分の音楽を守らないといけないと思って必死だったんです。10代のときは学校の帰り道に友達とどこかに寄って遊ぶようなことはできなかったけれど、音楽を通じてそれとまったく違う経験をたくさんさせてもらったから、その経験は絶対にムダにならないと思っています。

──それくらい13歳から今まで音楽漬けの人生だった。一般的に青春にあたる時期のすべてを音楽に捧げたと言っても過言ではないですよね。

ホントに音楽しかなかったですね。だからこそ20代はプライベートをもっと充実させたいと思っています。10代は勢いで乗り切れても、これからはそうはいかないと思うから。「もっと遊びたい」とかそういうことではなくて、いろんな人生経験をするからこそ、あふれてくる思いがあると思うので。10代のときは青春をテーマにいろんな曲も作れるし歌えるんだけど、20代は歌詞に説得力を持たせるためにもっといろんなことを貪欲に吸収しないといけないと思っています。

5年後、10年後に変化に気付くのが楽しみ

──多忙だろうから、その合間を縫ってインプットの時間を作っていくしかないですよね。

そうですね。でも、いつも母から言われるんです。「人に呼ばれるうちが華なんだからがんばりなさい」って。だから時間がないっていうのもすごくありがたいことではあるのかなって。

──お母さんは今のレオさんの歌を聴かれているんですか？

ちゃんと聴いてくれてるみたいです。母なりの愛情表現なんでしょうけど、リリースした曲は全部「すごくいい！」って言ってくれます。うちの母はすごく天然の人で少女みたいなんですよ。よくここまで無事に生きてこれたねっていうような人で（笑）。

──パーソナリティとしてはレオさんと真逆？

そうだと思います。母というよりおばあちゃんみたいな感じかも（笑）。どちらかと言うと、私は男性っぽいんだと思います。顔も性格も父に似てるし。父は頑固な人なんです。両親に反抗していた時期もあったけど、母が天然だから救われた部分もありますね。

──ちなみに一番反抗していたのはいつ頃ですか？

中学3年ですね。すごかったと思います。

──全部音楽にぶつけていた？

ぶつけてました。音楽がなかったらもっとひどかったと思います……（笑）。あの頃は母が作ったごはんを食べるのもイヤで。コンビニでカップラーメンを買って食べたりしてましたね。今となっては母の愛情にすごく感謝しています。でも、音楽をやってなかったら愛情に気付くのがもっと遅かったと思います。結局、自分が変わったかどうかってあとで振り返ったときに気付くんですよね。そういう意味ではハタチになった自分がどう変化したかのか、あとになってわかるんだと思います。5年後、10年後に自分がどう変化したと思うのか。今はそれが楽しみです。