ナタリー PowerPush - 星野源

復活の武道館、療養期間、今の思いを語る

超一流の人たちが新ネタやってくれてるわけですからね

──幕間で流れる「おめでとうメッセージ」に登場した方々(BARBEE BOYSの杏子とKONTAになりきったレイザーラモンRGと椿鬼奴、アン・ルイスに扮した森三中の黒沢かずこ、友近扮する演歌歌手・水谷千重子、バナナマンによるフォークユニット赤えんぴつ)もすごく豪華でしたよね。

星野源

超一流ですよ(笑)。「ミュージシャン」っていうのはギャグだけど、これはなんのてらいもなく、本当に一流の人たちだから。だって新ネタやってくれてるわけですからね。ほんとにすごいことだと思います。

──あれは星野さん事前に観ていたんですか?

はい。全部は行けなかったんですけど撮影現場にはなるべく。笑いをこらえるのに必死でした。そこで直接日村さんに……あ、いやヒーとんに(笑)「これお守り」って、おーちゃん(設楽統)に破られたタンクトップの切れ端をもらいました。

──ライブ中にお客さんにも見せてましたが、直接いただいてたんですね(笑)。

そうです。でもなかなかきれいに破れることないんですって、あれ。「こんなのないよ」っておーちゃんが言ってて(笑)。ただの布なんですけど何かすごい特別なような気がしてくる。

──もしかしてあれのおかげで成功したのかもしれないですね。

ていうか「絶対この切れ端でちゃんと笑いを取らないとダメだ」と思って(笑)。MCで使ったらみんな笑ってくれたんでよかったです。ホッとしました。

──転換の間もちゃんと楽しませるよう、そういうところも気を配っていたんですね。

そうですね。飽きないように。まあ単純に最初の発想としては、自分が2時間ぶっ通しでやれるのかっていう不安があったので、休憩時間がないとダメだよねっていう話からだったんですけど。休憩時間を作るとしたらどうしようかなっていう。ビデオコメントにしても普通のコメントだと面白くないなあと思って。

──やっぱり星野さんの元には面白い方が集まってきているんだなとすごく感じました。

恵まれてんなと思います。……面白かったなあ。

──それからバンドメンバーにも恵まれてますよね。野村卓史(Piano, Key / グッドラックヘイワ、NATSUMEN、 WUJA BIN BIN)さんと伊藤大地(Dr / SAKEROCK)さんには「おまえと一緒にここに立ててうれしいよ」とおっしゃってましたけど。

「星野源 ワンマンライブ “STRANGER IN BUDOKAN”」の様子。

恥ずかしいんですけど、あれは“ニセ明”だったのでつい本音出ちゃったみたいな感じです(笑)。顔隠してたし。あの2人、卓史くんと大地くんは付き合いが長いんで、ちょっと思い出すわけですよ。お客さん2人の前でやってたときとかもあって、そういうメンバーと1万2000人の前でやれるっていうのは単純にすごくうれしかったです。

──あのメンバーは前からよく一緒に演奏されている方々ですよね。

ほぼいつものメンバーですね。

──1年数カ月ぶりに人の前で演奏するという大事な場面では、やっぱりあの方々とやりたかった?

なんていうか、そのメンバーのよさを知るためにはいろんな人とやらないとなとは思っていてですね、だから「これでずっとやっていくぞ」っていうことでは全然ないです。ただやっぱり武道館決まって、みんなのスケジュール押さえてから病気で延期しちゃって、1年待ってもらったというのもあるし、みんなと一緒にそこに立って楽しい時間が過ごせたのは非常にうれしかったしホッとしましたね。

「化物」は1曲目にやろうと思ってました

──曲順でこだわった部分、例えば「ここで絶対この曲をやろう」みたいなものはあったんですか?

「化物」は1曲目にやろうとは思ってました。そういうふうに意図して作ったわけじゃないんですけど、内容的に”復活”みたいな歌詞ではあるので。あと「地獄でなぜ悪い」を最後にやりたいなっていうのも思ってました。

──あのコスチューム含めて?

「星野源 ワンマンライブ “STRANGER IN BUDOKAN”」の様子。

そうですね。あの服で歌いたいって。で、映画のときの服に似たものを探そうと思ったら、本物があったんですよ。普通なくなっちゃうんですけど、衣装さんがたまたま取っておいてくれて。本当に映画の撮影のときのままの服で出たんです。

──刀はどうしたんですか?

刀は新しく長すぎないやつを買いました。

自分の代わりに自分が演じた役が働いてくれてた

──お休みしたことで、音楽に対する関わり方とか考え方に変化はありましたか?

ああ……なんかあったかなあ。

──お時間がたくさんあったとしたら、いろいろ考えちゃったんじゃないかなと。

考えると落ち込むので、あんまり考えないようにしてました。でも、倒れる前はちょうどアルバムも作ってたし、次のステップに行きたい行きたいっていうことばっかり考えていて、自分の頭の中に「絶対こうじゃなきゃダメ」っていうビジョンがあったんですけど。そのあと「地獄でなぜ悪い」のリリースがあって、あの曲は自分の中では挑戦ポイントがいろいろありつつも、かなり自分勝手に作ったものなんです。それが評判よかったので、今は「こうじゃなきゃダメ」っていうのはあんまりなくて、その都度思いつく面白いことをゆっくりやれたらなと思ってます。

──じゃあその追い立てられるような気持ちはなかったと。

もちろん、細かいのはありましたけどね。でも去年アルバム、シングル2枚出して、映画の出演作が3本あって。リリースもあったし、自分の代わりに自分が演じた役がすごい働いてくれてたので、あんまり休んでない感じに見えるなと思って(笑)。

──ご本人が稼働されてないだけで、作品はどんどん世に出てましたからね。

本当にすごくありがたかったです。

WOWOWプライム「星野源スペシャル」

2014年3月8日(土)13:00~

<放送内容>
13:00~ TV Bros.TV 別冊 星野源 #1武
13:15~ 「箱入り息子の恋」
15:15~ TV Bros.TV 別冊 星野源 #2道
15:30~ 星野源 ワンマンライブ “STRANGER IN BUDOKAN”
17:00~ TV Bros.TV 別冊 星野源 #3館

星野源(ほしのげん)

星野源

1981年1月28日埼玉県生まれのシンガーソングライター、俳優、文筆家。代表的な出演作はテレビドラマ「11人もいる!」「ゲゲゲの女房」、映画「箱入り息子の恋」「地獄でなぜ悪い」、アニメ映画「聖☆おにいさん」など。2000年には自身が中心となりインストバンドSAKEROCKを結成。2003年に舞台「ニンゲン御破産」への参加をきっかけに大人計画に所属する。2010年に1stアルバム「ばかのうた」、2011年には2ndフルアルバム「エピソード」をリリース。その後も順調にリリースを重ねる中、2012年12月にくも膜下出血のため当面の活動を休止することを発表。翌年復帰すると5月にアルバム「Stranger」をリリースするも、6月に病気治療のため再び活動休止へ。これを終えて2014年2月に、延期していた日本武道館公演を開催した。3月からホールツアー「星野源の復活アアアアア!」を行うことが決定している。