日向坂46インタビュー|齊藤京子&上村ひなのが考えるグループの未来と“日向坂46っぽさ” (3/3)

“日向坂46っぽさ”とは?

──シングルには「One choice」のほか、6つのカップリング曲が用意されています。一期生~三期生メンバーで歌う「恋は逃げ足が早い」「友よ 一番星だ」はどれも曲調やテーマは違えど、さわやかなポップさが共通してあるなと感じました。「One choice」にも引けを取らない、表題曲になってもおかしくないキャッチーさですよね。

齊藤 「恋は逃げ足が早い」は最初に聴いたときから、何回聴いても日向坂46らしさが詰まった曲だなって。誰の曲か知らずに聴いても「あっ、日向坂46の曲だよね」とわかりそうなくらい日向坂46っぽいなと思います。MVは横浜スタジアムで撮影させていただいて、そのときに初めて横浜スタジアムに行ったんですよ。「ここでライブをするんだな」と楽しみに感じたし、MVには今までの写真や映像が出てきてちょっとウルッとしてしまうところもあったり。初期の頃と今の自分たちを照らし合わせているような映像なので、すごくお気に入りです。

──「知らずに聴いても日向坂46っぽい」というのは確かにと思いましたが、その“日向坂46っぽさ”って言葉にするとどういうことになるんでしょうね?

齊藤 確かに。日向坂46っぽさ……なんだろう? 「めっちゃ明るい」とかではないけど明るくて、歌詞をしっかり聴かなくてもポジティブなことが伝わる曲で、さわやかで青春感があって……うーん、言葉にするのは難しいですね。

上村 「恋は逃げ足が早い」も恋愛ソングですもんね。やっぱり日向坂46は恋愛ソングが多いのかな。恋愛、青春、さわやか、明るい……みたいな。ワード的にはやっぱりそういうのが思い浮かぶんですけど。

──「『めっちゃ明るい』ではない明るさ」というあたりは言い得ているかもしれませんね。「友よ 一番星だ」は友情と青春を感じる応援ソングですが、グイグイ引っ張るような押し付けはなく、優しく背中を押すような感じがあったり。そのソフトな感じは日向坂46っぽいと言えるのかも。

齊藤 そうですね。あと、日向坂46の歌詞に出てくる「君」は、私には高嶺の花に感じるんですよ。「One choice」もこれまでの曲も。自分が男性だったとしたら絶対に手の届かない女性を想像させると言いますか。それも特徴的だなと思います。

一期生の激ムズ曲、三期生の食べ物曲

──期別曲は一期生が「愛はこっちのものだ」、二期生が「You're in my way」、三期生が「パクチー ピーマン グリーンピース」、四期生が「シーラカンス」とそれぞれ1曲ずつ収録されています。「愛はこっちのものだ」はこれまでの一期生曲と比べると少しクールで大人っぽいですね。

齊藤 一期生単独の曲は活動が長い分一番多いんですけど、今まで一度もやってなかったような曲調と歌詞で。「7年で初めて歌うジャンルの曲がきたな」と第一印象で思いましたね。難しすぎて、しっかりボイトレをしてからレコーディングに挑んだんですけど、ボイトレの先生も「もうこれは難しすぎて無理だー」と放棄されるくらい。いや、放棄されてはいないんですけど(笑)、放棄気味になるくらい先生でも難しいと思うような曲で「これは相当気合いを入れて挑まないとダメだよ」って言われました。レコーディングでも「この曲の前にちょっと休憩を入れさせてください」とスタッフさんがおっしゃったくらい、大人の方も力が入るくらいの激ムズ曲でした。

──齊藤さんはグループの中でも歌唱面を引っ張っているポジションですけど、そんな齊藤さんでも難しいと感じた?

齊藤 そうですね。1人で全部歌うとなると相当難しいと思うんですけど、カラオケとかでチャレンジしてみたい(笑)。一期生曲は明るくジャンプするような曲が多くて、「愛はこっちのものだ」はこれまでだと二期生に振り分けられそうな、ちょっと憧れのあったタイプの曲だったのでうれしかったです。

──三期生はなぜいつも食べ物が題材なんでしょう?(笑)

上村 そうなんですよ。

齊藤 食べ物ばっかりだよね。ジャム(1stアルバム「ひなたざか」収録曲「この夏をジャムにしよう」)とかゴーフル(7thシングル「僕なんか」カップリング曲「ゴーフルと君」)とか。ポップなイメージがありますよね。

上村 なぜなんでしょうねー。かわいらしくて、うれしいですけど。最初に「パクチー ピーマン グリーンピース」というタイトルを聞いたときはびっくりしました。それで歌詞を読んでみたら、どうやら苦手な食べ物を並べて「どんな人間だって好き嫌いがあるけど、嫌いなものがあるから好きなものがこんなに好きになるんだよ」というメッセージが込められているんだなとわかったんですけど、私自身は好き嫌いがなくて、あまり共感はちょっと……。

上村ひなの

上村ひなの

齊藤 あははは。

上村 パクチーもピーマンもグリーンピースも好きなので。でも歌詞のメッセージはすごく素敵だなと思ったので、メッセージをしっかり伝えられるように歌います。ほかの三期生は好き嫌いが多い子が多くて、髙橋未来虹と山口陽世は3つとも全部本当に嫌いだって言ってました(笑)。秋元康先生はそんな三期生に合わせて書いてくださったんですかねー。

──三期生の曲は食べ物という共通点だけじゃなく、どの曲もすごくかわいらしくて、ちびっ子たちにも愛されそうな要素が共通してありますよね。ライブで歌うときの衣装もカラフルですし。

上村 キャッチーでポップな世界観が三期生の曲にはあって。曲が増えていくうちにだんだん「三期生らしさ」が見えてきたところだったので、また1つ三期生らしい楽曲をいただけたことで、もっともっと私たち4人の色を濃くしていけたらいいなと思いました。

──期別の色合いということで言うと、三期生は特別個性がありますよね。この曲を三期生以外が歌うところはあまり想像かつかないです。

上村 そうですねー。いつかこれもガラッと変わるときがくるんですかね。

──「愛はこっちのものだ」みたいなクールな曲が回ってくるかもしれない。

上村 そんな未来も楽しみにしています。えへへ。

楽しい未来に向かって

──お二人から見て「この子は最近すごいな」と感じるメンバーはいますか? 伸びがすごい人とか、個性が強くなってきた人とか。

齊藤 最近というよりは「改めて」という感じなんですけど、影山優佳はすごいなと思いますね。アイドルとしてもタレントとしても完璧だなって。同じ道は……さすがに私が今から知的キャラになるのは無理なので(笑)、同じ道を歩めないなりに自分もああいう的確なコメント力とかは身に付けたい。本当に尊敬します。

──影山さんは今作の活動をもって卒業されることが決まっています。もちろん寂しさはあるでしょうけど、同じ一期生の仲間を送り出す齊藤さんとしては、なんの不安もない?

齊藤 はい。影ならどの世界に行ってもきっとうまくやっていけると思いますね。

──上村さんはすごいと感じるメンバーはいますか?

上村 もちろん全員すごいなと思いますけど、三期生で言うと山口陽世が最近はすごいなと思いますね。「ひな誕祭」でも始球式をやったりとか、最近は野球関連のお仕事も増えてきていて。

──始球式も面白かったし、確かにテレビなどで観ていても覚醒している感じがありますね。

上村 はい。おうちでは机の上に野球の本をたくさん置いて勉強しているらしいんですよ。そういう努力家なところもありますし、あと彼女はゲームも得意で、アニメやマンガにも詳しかったりするので、いろいろな分野に世界を広げていけそうな子だなって。未来が楽しみですし、同期でもあるのでこれから一緒に楽しいことをいっぱいできたらいいなと思います。

──お二人それぞれ個人個人の思いがあると思いますが、5年目に突入した今、日向坂46をこれからどうしていきたいと考えていますか?

齊藤 東京ドームとか横浜スタジアムとか「紅白歌合戦」とか、私たちはこれまでにもいろんな夢を叶えさせていただいていて。「次の目標をどうするのか」を考えるのが目標とも言えますし……。

齊藤京子

齊藤京子

──やっぱり東京ドームでの単独公演という夢を叶えてしまったのは大きいですよね。あれだけずっと“約束の彼の地”として明確な目標に掲げていたことを実現させたとなると、その先で燃え尽き症候群のようになってしまったアーティストの前例もいくつも見てきたので、日向坂46がここからどうなっていくのかには興味も心配な気持ちもあります。

上村 でも、いつもステージに立つたびに思うのが、私たちは本当に日向坂46が大好きだなということで。この空間を未来につなげていきたいという気持ちはすごくありますね。そのためには、行き先を決めることを先輩方にお任せするだけじゃなくて、後輩の私もしっかりと考えてやっていかなくちゃいけないなって思うんです。メンバー全員が1人ひとり全力で駆けていった先に、また楽しい未来が待っていたりするのかなって。とにかく今は目の前のことに全力で向かっていこうと思います。

──お二人が個人として目指しているものは?

齊藤 私は個人の仕事も本当に好きで、楽しくて。たとえうまくいかなくて落ち込んでも、その反省にすらやりがいを感じるんです。今年は去年よりもっとバラエティでがんばっていきたいという気持ちがあります。

──齊藤さんは単独での仕事も多いし、何よりヒコロヒーさんとともに自身の冠番組である「キョコロヒー」(テレビ朝日系)を2年続けています。「キョコロヒー」は齊藤さんにとってもう1つのホームができたと言ってもいいほど大きな存在になっていますよね。

齊藤 そうですね。ありがたいことに、最近はバラエティ番組に出ると芸人さんに必ず「『キョコロヒー』観てるよ」って言われるんですよ。それは本当にうれしくて。

──素を出してあけすけにものを言っているのが、齊藤さん個人の魅力として伝わっているんだと思います。

齊藤 ありがとうございます。そう言っていただけるのも本当にうれしくて。番組ではあんな感じですけど(笑)、「キョコロヒー」の話をするとちょっと泣きそうになるんですよ。自分でも誇りに思っているし、私を選んでくださったスタッフさんには感謝していますね。

──そんな齊藤さんが一番のスターだと絶賛する上村さんにも、個人で冠を持つ未来がくるかもしれませんよね。

上村 えー、あるんですかねー。……えー(笑)。あの番組は京子さんの魅力があって成り立っているものなので、今の自分ではまったく想像ができないですけど。

齊藤 ひなのちゃんはけっこう“裏バラエティ番長”みたいなところがありますし、日向坂46のレギュラー番組「日向坂で会いましょう」(テレビ東京系)でも名言連発で。たまに振り返り企画みたいなのがあると、名言はだいたいひなのちゃんですからね(笑)。

──パンチライン率が高すぎますよね(笑)。皆さん嫉妬してしまうんじゃないかと。

齊藤 嫉妬というよりは憧れですね。爪痕を残しまくっているので、ムチャぶりとか大喜利とか、本人は武器だと思ってないかもしれないけど、だいぶ向いてるなと思います。……というのがありますけど、私の中でひなのちゃんはスターなので、何よりもとにかくソロで歌っているところが見たいです。

上村 えー(笑)。私はどうしてもシャイな部分があるので、すぐ「私なんか」と思っちゃうところがあるんですけど、もっと積極的に発言して、まずは自分で「やりたい!」と思うことをもっと口に出せるようにがんばっていきたいと思います。京子さんの言葉に勇気付けられました!

左から齊藤京子、上村ひなの。

左から齊藤京子、上村ひなの。

プロフィール

日向坂46(ヒナタザカフォーティーシックス)

2015年に秋元康プロデュースによる欅坂46のアンダーグループ・けやき坂46として、長濱ねるを中心とするメンバー12人で活動開始。2018年6月に、けやき坂46名義で1stアルバム「走り出す瞬間」を発売。2018年に三期生が加入し、2019年2月には、けやき坂46から日向坂46へグループ名を改名した。同年3月に1stシングル「キュン」を発表し、この曲で年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場。以降コンスタントに作品をリリースし、2022年3月にはグループ結成時からの目標であった東京・東京ドームでのワンマンライブ「3周年記念 MEMORIAL LIVE~3回目のひな誕祭~」を成功させた。2023年4月に通算9枚目となるシングル「One choice」をリリース。