ナタリー PowerPush - HEY-SMITH

「カッコよければなんでもいい」猪狩秀平が語るライブ観

ほんまに自分がやりたいからやってるだけ

──音楽に対していい意味で「しょせん」と言える猪狩さんやHEY-SMITHを観るためになんばHatchがパンパンになるくらい人が集まる。そうやって期待をされてることについてはどう考えてます?

僕はリスナーのために曲を書いてるわけじゃないですし、ほんまに自分がやりたいからやってるだけなんですよね。彼らが来てくれたり聴いてくれるのは死ぬほどうれしいですけど、彼らもやりたいからやってるだけやと思うんですよね。だから俺がそこに媚び始めたら、なんかそいつらもやりたいことができなくなるんじゃないですかね。俺らがやりたいことやってるから、彼らもやりたいように観たり聴いたり、聴かずに帰ったりできるんだと思う。だから期待感とかプレッシャーとかそんなんリスナーからはまったくないです。

──バンドがやりたいことをやってるのを観て「暴れたいな」って思う人たちがなんばHatchや東京・SHIBUYA-AXがいっぱいになるレベルの人数いるって、すごくいい関係ですよね。

ずっとそういう関係でありたいですね。そういう意味ではそこは“無機質”でありたいし。俺が好きなバンド観に行ったときに「お前らのおかげだぜ、サンキュー」みたいなこと言われたら「しんど」ってなるんです。そいつが俺のために歌ってようが金のために歌ってようがどっちでもいい。俺はその人のカッコいい姿を観に来ただけなんで、その人がカッコよければなんでもいいですね。

──だから猪狩さん自身もお客さんの望む「カッコいい猪狩秀平」であろうとは思っていない。

いないですね。まずお客さんが望んでるカッコよさがわかんないし。もしそう思ってたらもっとライブでカッコつけてます。

──「セフレが観に来てます」って話はしないですよね(笑)。

しないですね(笑)。「僕はまあこういう人間ですけど、よかったらお願いしまーす」くらいの感じです。そういう俺らだからこそ、あれだけのお客さんが集まってくれるのはめっちゃうれしいっすね。うれしさを説明しようと思ったらいっぱい言葉は出てくる気はしますけど、結局「めっちゃうれしい」って言葉が一番似合うっていうか、それに尽きます。「ありがとう」とはほんまに思ってます。

「ここドラムだけになるやんか、こうやって撮って」

──そもそもどうしてライブDVDを出そうと思われたんですか?

まず僕がいろんなバンドのライブDVDを観るのが好きなんです。CDを聴いて想像するのも好きなんですけど、どんなやつが歌ってるかがやっぱり知りたい。言ってることとバンドのノリがリンクしてるようなバンドが好きなんで。だから自分たちもそういうのを表現したいと思って。あと自分らがどういうライブしてるのか普通に観たかったっていうのもあります。

──前作のライブDVDは「Our Freedom」で、今作は「Your Freedom」。タイトルが意味深だなあと思ったんですけど……。

猪狩秀平(G, Vo)

それね、ただ単に「Y」付けただけっす(笑)。「Our」の前にYを付けたら「Your」になるから、「Our Freedom 2」にするか、Y付けて「Your Freedom」にするかってなって。それだけのことです。

──「Our Freedom」=我々の自由が、「Your Freedom」=あなた方の自由になったから、バンドに何かあったのかと思ったんですけど……。

あはははは(笑)。タイトルの意味は手に取る人が自由に決めていただいてかまいません!

──それこそ「Your Freedom」だと(笑)。DVDのダブルアンコール、トリプルアンコールの仕掛けも面白いですよね。

僕、ボーナストラックとかあるCDが好きなんです。曲が終わってもブーンってCDが回り続けてて。まだなんかあるのか、終わるか。あそこすっごいドキドキするんですよね。そういうのをDVDでも入れたかったんです。

──「Produced by HEY-SMITH」ってクレジットされている通り、実際に映像の編集なんかにも関わっているんですね。

もちろんもちろん。ディレクターが仲いい友達なんで、本番前に一緒にカメラ持って「こういうアングルとか、DVDに普通ないやんか」とか「こういうの入れて」って言ったり。そいつは曲も全部知ってるから「ここドラムだけになるやんか、そんときここからこうやって撮ってくれない?」とかもやりました。

──確かにアングル、カッコいいですよね。ドラマー越しにフロアを映すとバンドのプレイにお客さんがノってる臨場感がホントによく伝わるし、上空からフロアのサークルモッシュを映すところは大災害が起きてるみたいだったし(笑)。

ほんまですか? ああよかった。映像のディレクターだけじゃなくて楽器チームとかPAチーム、照明チーム、全員ほぼ友達なんです。そういうチームで絶対やりたくて。特に照明なんてセットリストを10分前に言われるわけで、曲を知らんやつやったら無理ですからね。

──なんばHatchやSHIBUYA-AXを回るようになっても、いまだにそのコンパクトなチーム感で動けてるってすごいですよね。

それはほんまに大事にしてて。チームじゃないと絶対イヤなんですよね。DVDでそういうとこも見せたかったんです。

ライブDVD「Your Freedom」/ 2014年3月5日発売 / CAFFEINE BOMB ORGANICS / CBR-62
[DVD2枚組] 3801円 / CBR-62
DISC 1
  1. Welcome To Now Album
  2. Dancing Is Illegal
  3. Endless Sorrow
  4. True Yourself
  5. Like A Gentleman
  6. Jump!!
  7. Living In My Skin
  8. Drug Free Japan
  9. Summer Head
  10. Magic Leaf
  11. Heartbreak
  12. Relax
  13. Theme Of Hey
  14. Journey
  15. The First Love Song
  16. I Hate Nukes
  17. We Sing Our Song
  18. Download Me If You Can
  19. Goodbye To Say Hello
  20. Skate Or Die
  21. Lonely With Everyone
  22. Longest Day

AND ????????

DISC 2
[MUSIC VIDEOS]
  1. Dancing Is Illegal
  2. True Yourself
  3. Living In My Skin
  4. Download Me If You Can
  5. Goodbye To Say Hello
  6. Journey
[EXTRA MOVIES]
  1. TOUR "ON THE ROAD" in OKINAWA
  2. TOUR "ON THE ROAD" in TOKYO
  3. TOUR "ON THE ROAD" in OSAKA
  4. FISHING BATTLE in OKINAWA
ライブスケジュール
  • 2014年3月23日(日)
    大阪府 堺市泉ヶ丘 国際障害者交流センター ビッグ・アイ(SAKAI MEETING 2014)
  • 2014年4月12日(土)
    秋田県 Club SWINDLE
  • 2014年4月13日(日)
    山形県 酒田MUSIC FACTORY
  • 2014年4月16日(水)
    宮城県 BLUE RESISTANCE
  • 2014年4月17日(木)
    福島県 郡山CLUB #9
  • 2014年4月19日(土)
    新潟県 新潟LOTS
  • 2014年4月21日(月)
    大阪府 FANJ twice
  • 2014年4月23日(水)
    東京都 KINGSX TOKYO
  • 2014年4月26日(土)、27日(日)
    宮城県 みちのく公園北地区エコキャンプみちのく(ARABAKI ROCK FEST.14)
  • 2014年4月29日(火・祝)
    兵庫県 神戸ポートアイランド(COMIN'KOBE'14)
HEY-SMITH(へいすみす)

猪狩秀平(G, Vo)、Mukky(Vo, B)、満(Sax)、Iori(Tp)、Task-n(Dr)からなる5人組パンクバンド。2006年に大阪を拠点にライブ活動を開始し、2009年に1stミニアルバム「Proud and Loud」でCDデビュー。2010年の1stフルアルバム「14 -Fourteen-」を経て2011年にリリースした2ndフルアルバム「Free Your Mind」はオリコン週間インディーズランキングで1位を記録する。2012年には「FUJI ROCK FESTIVAL '12」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO」といったフェスに招聘されるほか、coldrain、SiMとのパッケージツアー「TRIPLE AXE TOUR 2012」を開催した。2013年5月、2年ぶりのフルアルバム「Now Album」を発表し47都道府県を回るレコ発ツアーを大成功に収める。その最終公演を収めたライブDVD「Your Freedom」を2014年3月にリリース。