ナタリー PowerPush - HEY-SMITH
「カッコよければなんでもいい」猪狩秀平が語るライブ観
HEY-SMITHがライブDVD「Your Freedom」をリリースした。
自ら“バンド史上最高傑作”と語ったアルバム「Now Album」を昨年5月にドロップしたHEY-SMITH。彼らはこのアルバムを携えて58本におよぶ47都道府県ツアーを敢行した。その最終公演となった11月3日の地元、大阪・なんばHatch公演の演目すべてを収めたのがこの「Your Freedom」だ。バンド自らが編集に携わったという今作は、彼らが全国のライブハウスで見せてきた精巧なプレイや熱気に満ちたパフォーマンスを余すことなく堪能できる作品となっている。
今回ナタリーではバンドのフロントマンである猪狩秀平(G, Vo)にインタビューを実施。ツアーの総括から、猪狩の考える“ライブ観”までじっくりと話を聞いた。
取材 / 成松哲 文 / 小林千絵 インタビュー撮影 / 佐藤類
このエネルギーを足して、また東北で演奏しよう
──「Now Album」を携えて回った58本のツアー、いかがでした?
これくらいの本数のツアーは過去にもやったことがあるんで、本数的にはオッケーやったんですけど、今回はゲストバンドを少なくしたので自分たちのライブが90分くらいあったんですよ。前までは45分とか60分くらいまでだったんで「90分やるとこんなにしんどいん?」っていうのは思いましたね。いくらケアしても喉が回復しなくて、劇薬みたいな薬飲んだときもありましたし。そういう意味では体力的にかなりしんどかったですね。まあおっさんになってるんかもしれませんけど。
──いやいやいや(笑)。半年で58本もライブをしたら、調子を崩したっておかしくないですって。
でも1つのツアーで47都道府県行ったのは今までなかったんで。全国でたくさんの人が待っててくれたり、新しく友達ができたりっていうのは楽しかったですね。
──DVDにパッケージされているのは、そうやって全国を回ってきた上でたどり着いた最終公演。MCで、47都道府県すべてで演奏した「Journey」には各地のお客さんのパワーが曲に加わっていき、大阪公演の2日前に行われた仙台公演でさらに東北のお客さんのパワーが乗っかったと言ってましたよね。
「Journey」は、全国各地のライブでお客さんからもらったいろんなパワーを東北に持っていこうと思って作ってた曲やったんです。だから仙台のライブが終わったときには「東北に持ってきたから、もうこの曲は大阪ではやらんでええな」って思ってセットリストに入れないつもりだったんです。けど、当日のなんばHatchがすごいハッピーで大きなポジティブなエネルギーにあふれてたんで、「やっぱここでもやって、このエネルギーをこの曲に足して、また向こう(東北)で演奏しよう」って気持ちになりました。
──ホームグラウンドである大阪でのライブだったことは意識しました?
やっぱり地元っていうのはデカいっすね。僕らは100人も入らないようなライブハウスからスタートしたんですけど、そっから観に来てくれてるやつがこのなんばHatchにも来てて、そういうやつらがずっとヤジ飛ばしてくるんですよ(笑)。
──DVDでもフィーチャーされてますよね(笑)。
ああいう雰囲気は大阪でしかないですね。ヤジってるやつも嫌がらせしようと思ってるわけじゃないし、その周りのやつらもそのヤジ聞いて笑ってるし。
──ヤジを飛ばしてるお客さんとのやりとりを見て、お客さんといい関係を築けてるんだなって思いました。お客さんイジりってやり方を間違えるとフロア全体が微妙な雰囲気になるじゃないですか。それを「うるさいわ、ボケ!」から始めて笑いに昇華させちゃうあたりはすごいなーと。
あれ、僕全然怒ってないですからね。むしろ大歓迎。もはやそれを楽しみにしてくる客もいるくらいちゃいます?(笑)
──甲子園の阪神戦的な?(笑)
そうそう、応援団を観に来るやつがいるような。
セットリストが決まるのは本番の10分前
──この日のライブは初っ端「Welcome To Now Album」から始まって、「Dancing Is Illegal」「Endless Sorrow」「True Yourself」とメッセージ性の強いシリアスな3曲が続きますよね。どういう意図でこのセットリストにしたんですか?
僕らはセットリストが決まるのが本番の10分前くらいなんです。
──え? 10分前ってリハーサルも終わってますよね?
そうですそうです。僕らのリハーサルはだいたい1曲通したら終わりですし。時間がないっていうんじゃなくて、それ以上やりたくない。リハーサルを長くやると迷うことがあるんですよ。1回通して「よかったやん」ってなって、ほかのパターンを試したりすると「ここはいいけど、ここはアカンな」っていう迷いが生じてくるんですよね。だから迷わんように、1曲ポーン!ってやっていい感じやったらもうそこで終えるようにしてるんですよ。
──へえ。
「こうなっちゃうんちゃうかな?」とか考えるのがイヤで。セットリストも、その日を想定しながら組んでるとリハーサルが終わったあとで「今日のこの雰囲気だったら、こっちのほうがいいんちゃう?」とかなることがよくあるんですよ。だから自分たちの前に出演するバンドのライブとか観て、「あ、今日こんな雰囲気なんや」っていうのを感じてからセットリストを決めるんです。
- ライブDVD「Your Freedom」/ 2014年3月5日発売 / CAFFEINE BOMB ORGANICS / CBR-62
- [DVD2枚組] 3801円 / CBR-62
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DISC 1
- Welcome To Now Album
- Dancing Is Illegal
- Endless Sorrow
- True Yourself
- Like A Gentleman
- Jump!!
- Living In My Skin
- Drug Free Japan
- Summer Head
- Magic Leaf
- Heartbreak
- Relax
- Theme Of Hey
- Journey
- The First Love Song
- I Hate Nukes
- We Sing Our Song
- Download Me If You Can
- Goodbye To Say Hello
- Skate Or Die
- Lonely With Everyone
- Longest Day
AND ????????
DISC 2
[MUSIC VIDEOS]
- Dancing Is Illegal
- True Yourself
- Living In My Skin
- Download Me If You Can
- Goodbye To Say Hello
- Journey
[EXTRA MOVIES]
- TOUR "ON THE ROAD" in OKINAWA
- TOUR "ON THE ROAD" in TOKYO
- TOUR "ON THE ROAD" in OSAKA
- FISHING BATTLE in OKINAWA
- ライブスケジュール
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- 2014年3月23日(日)
大阪府 堺市泉ヶ丘 国際障害者交流センター ビッグ・アイ(SAKAI MEETING 2014) - 2014年4月12日(土)
秋田県 Club SWINDLE - 2014年4月13日(日)
山形県 酒田MUSIC FACTORY - 2014年4月16日(水)
宮城県 BLUE RESISTANCE - 2014年4月17日(木)
福島県 郡山CLUB #9 - 2014年4月19日(土)
新潟県 新潟LOTS - 2014年4月21日(月)
大阪府 FANJ twice - 2014年4月23日(水)
東京都 KINGSX TOKYO - 2014年4月26日(土)、27日(日)
宮城県 みちのく公園北地区エコキャンプみちのく(ARABAKI ROCK FEST.14) - 2014年4月29日(火・祝)
兵庫県 神戸ポートアイランド(COMIN'KOBE'14)
- 2014年3月23日(日)
HEY-SMITH(へいすみす)
猪狩秀平(G, Vo)、Mukky(Vo, B)、満(Sax)、Iori(Tp)、Task-n(Dr)からなる5人組パンクバンド。2006年に大阪を拠点にライブ活動を開始し、2009年に1stミニアルバム「Proud and Loud」でCDデビュー。2010年の1stフルアルバム「14 -Fourteen-」を経て2011年にリリースした2ndフルアルバム「Free Your Mind」はオリコン週間インディーズランキングで1位を記録する。2012年には「FUJI ROCK FESTIVAL '12」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO」といったフェスに招聘されるほか、coldrain、SiMとのパッケージツアー「TRIPLE AXE TOUR 2012」を開催した。2013年5月、2年ぶりのフルアルバム「Now Album」を発表し47都道府県を回るレコ発ツアーを大成功に収める。その最終公演を収めたライブDVD「Your Freedom」を2014年3月にリリース。