故・橋口靖正トリビュートアルバム特集 岡田梨沙、磯貝サイモン、松本素生、秋野温、前田恭介、桃野陽介|愛すべき“素通りできない音楽家”

ぐっちゃんに会ってなかったらゴーイングはきっと解散してた

──さらにアルバムには橋口さんのデモ音源も収録されています。デモとは思えない完成度にビックリしました。

岡田 そうなんですよ! 今回収録するにあたってマスタリングしたんですけど、すでに素晴らしく完成されていたからちょこっと音量レベル上げればいいじゃんって感じだったんですよね。「これ全部、橋口くん1人でやってたんだよね。すごいねー」って、エンジニアと2人で感心しちゃいましたね。

手前左から松本素生(GOING UNDER GROUND)、磯貝サイモン、岡田梨沙、奥左から前田恭介(androp)、秋野温(鶴)、桃野陽介(モノブライト)。

松本 今回CDに入れた以外にもデモはたくさんあるんでしょ? サイモンくんはもうひと通り聴いたんだよね?

磯貝 そうですね。橋口くんのパソコンを回収して、データの整理をしたのは僕なんで。ただ、全部は聴けてないっすね。それくらいいっぱいあったから。

岡田 私も全部は聴けてないな。

磯貝 100曲以上あると思いますよ。全部に訳わかんない仮タイトルが付いてて、聴いたものに関しては半分くらいはふざけた曲ばっかだけど(笑)。

岡田 基本的にメロディのある曲に関しては歌詞も全部乗ってるんですよ。だから今後はいろんな形でそれらを世に出していけたらいいなと思ってるんです。

松本 そうだね。ぐっちゃんは、今ナタリーを読んでる人が「橋口さんってすごい人だったんだな」って思ってる“×20”くらいすごいヤツだからね。

一同 あははは(笑)。

松本 いやホントだよ。俺らのバンドに関して言うと、ぐっちゃんと出会ったから今も続いてるんだよね。ぐっちゃんに会ってなかったらきっと解散してたと思う。俺が弱気な発言するのもぐっちゃんは全部聞いてくれて、ホントに恩人。その恩はいつかあの世で返そうと思ってます(笑)。

磯貝 いなくなってからもお世話になってる感じもあるからね。僕が鶴のプロデュースをさせてもらうようになったのも橋口さんを介しての縁だし。

秋野 逆にいなくなってからのほうが、その存在を強く感じることのほうが多いかもしれないですね。

岡田 そうだね。そこも橋口くんらしいところなのかもしれない。

「-5」はミュージシャンとして悔しくなるようなアルバム

──皆さんそれぞれの音楽の中にも、橋口さんの血は間違いなく流れているでしょうし。

松本 ホントそう思いますよ。常に意識してますもん。

秋野 レコーディング中とか特にそうですよね。

松本 そうそう。「こんなマインドでやってたらぐっちゃんに軽蔑されんじゃねえかな」とかね、そういう気持ちはこれからもずっとあるんだと思う。ぐっちゃんがいなくなって音楽に対する向き合い方がより真剣になったなって思うもん。

松尾清憲 with VelvetTeaSetsのアルバム「ThisTinyWorld」レコーディング中のひとコマ。(撮影:杉山テツヤ)

桃野 僕もいろんな部分で影響はすごい受けたなって思います。うちのバンドは活動休止に入りますけど、橋口くんと最後に作ったアルバム(2016年4月に発売されたモノブライトの最新オリジナルアルバム「Bright Ground Music」)で個人的には1つ扉を開いてもらった感覚があって。もっともっといろんな音楽を作りたいなって思えるようになったんですよね。「-5」は本当に素晴らしいアルバムだけど、同じミュージシャンとしてはそこに対して悔しさもあるんです。そういう感覚をちゃんと僕らに残してくれたことも、すごくありがたいなって思います。

磯貝 だからこそ今回の作品が幅広い人たちに届くといいよね。ホントに届いて欲しいなって思う。

──最後に1つ。橋口さんが亡くなる前、昨年12月25日に配信が予定されていた「Noel」という新曲はどうなるのでしょうか? ファンは気になっていると思うのですが。

岡田 そうなんですよね。それも今回どうしようか考えたんです。すでに歌詞とオケはできてるんですけど、ボーカルだけが仮歌なんですよ。だからそれをそのまま出すのはきっと本人的に嫌だろうなと思って今回は見送りました。でも、今後いい形でアップロードできたらいいなとは思っているので、楽しみにしていてほしいです。

V.A.「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~」
2017年12月6日発売 / LOVEMART
V.A.「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~」

[2CD]
2700円 / LMCL-002

Amazon.co.jp

DISC 1 春色の君はかわいい」
  1. 春色の君はかわいい / 橋口靖正
    <参加アーティスト>
    岡田梨沙(Dr) / 磯貝サイモン(Piano) / 中澤寛規(G / GOING UNDER GROUND) / カトウタロウ(G) / 前田恭介(B / androp) / 朝倉真司(Tambourine, Toys) / 金子由衣(Violin) / 島内晶子(Violin) / 島田光理(Viola) / 小谷和秀(Cello) / 阿部健太(Tp)
  2. HGYM / 橋口靖正
    <参加アーティスト>
    岡田梨沙(Dr) / 磯貝サイモン(Piano, Synthesizer, Organ) / 中澤寛規(G / GOING UNDER GROUND) / 平田崇(G) / 根岸孝旨(B)

~2017.4.21 LIVE 「HGYM感謝祭 東京編~Hほんとに Gぐっちゃん Yやせたら Mもてたのに」~
演奏:HGYM感謝祭オールスターズ[磯貝サイモン / 岡田梨沙 / 中澤寛規(GOING UNDER GROUND) / 平田崇 / 神田雄一朗(鶴)]

  1. シャナナナ / 中澤寛規(GOING UNDER GROUND)
  2. ウォーリー / 磯貝サイモン
  3. 春色の君はかわいい / 秋野温(鶴)
  4. もしもWikipediaにのれたなら / 濱口尚
  5. UNKO / WILDTHINGS(タカタタイスケ[PLECTRUM]、石田匠)
  6. 朝の光 / 桃野陽介(モノブライト)
  7. シンクロナイズドテレパシー / 松本素生(GOING UNDER GROUND)

~橋口靖正デモver.~

  1. 春色の君はかわいい
  2. HGYM
  3. UNKO(WILDTHINGS)
  4. もしもWikipediaにのれたなら
DISC 2「-5」
  1. HGYM Theme
  2. シャナナナ
  3. (-5)
  4. Your Father
  5. Gifts
  6. シンクロナイズドテレパシー
  7. ウォーリー
  8. Top of the world
  9. メグ
  10. Kind of crossover
  11. 朝の光
「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~」発売記念イベント

2017年12月8日(金)東京都 HMV record shop コピス吉祥寺
START 19:30

橋口靖正(ハシグチヤスマサ)
橋口靖正
1980年3月14日生まれのシンガーソングライター。さまざまな楽器を使いこなすマルチプレイヤーで、宅録を中心とした制作活動を行う。自身の活動以外にもアレンジャーやプロデューサーとしてGOING UNDER GROUND、モノブライト、Suck a Stew Dry、寺岡呼人、磯貝サイモン、鶴、椎名慶治、あいみょんら多くのアーティストの作品に参加した。このほかギタリスト、キーボーディストとしてサポートミュージシャンも務める。これまで4枚のシングル作品をリリースし、2016年6月には最初で最後のアルバム作品「-5」を発表。同年12月8日、虚血性心疾患のため急逝した。
HGYMモテ計画(エイチジーワイエムモテケイカク)
岡田梨沙(ex. D.W.ニコルズ)、磯貝サイモン、中澤寛規(GOING UNDER GROUND)、平田崇、濱口尚からなるチーム。2016年12月8日に虚血性心疾患のため急逝した橋口靖正が生前に残した素晴らしい音楽を、よりたくさんの人に広め、伝えることを目的に発足した。2017年12月には2枚組のトリビュートアルバム「春色の君はかわいい / 『-5』 ~Tribute to Yasumasa Hashiguchi~」をリリースした。
秋野温(鶴)
(アキノアツシ・ツル)
鶴
鶴のボーカル&ギター。バンドは埼玉県鶴ヶ島西中学出身の秋野、神田雄一朗(B)、笠井快樹(Dr)によって2003年に結成された。メンバー全員がアフロヘアという個性的なルックスと確かな演奏力が話題となり、2004年に1stアルバム「素敵CD」をリリース。全国的な音楽活動を展開し、2008年にシングル「恋のゴング」でメジャーデビューを飾る。2012年2月に映画「アフロ田中」の主題歌「夜を越えて」を表題曲としたシングルをリリースし、これをもってアフロヘアを引退。2013年4月に結成10周年を記念し、ベストアルバム「グレイテスト鶴です~ベストじゃん!!~」を発売した。2017年1月には鶴の全リリース楽曲から演奏曲をセレクトするワンマンライブを全国各地で開催。10月にはニューアルバム「僕ナリ」をリリースした。
磯貝サイモン(イソガイサイモン)
磯貝サイモン
1983年9月20日生まれのシンガーソングライター。アーティスト名は本名で、サイモン&ガーファンクルの大ファンである父親に名付けられた。2006年、シングル「君はゆける」でメジャーデビュー。2014年には亀田誠治、山村隆太(flumpool)、阪井一生(flumpool)が中心となって結成されたバンド・THE TURTLES JAPANにピアニスト&キーボーディストとして加入する。2016年にデビュー10周年を迎え、2017年には4枚目となるアルバム「sponge-like」をリリースした。自身の音楽活動以外に加え、嵐、KARA、ナオト・インティライミらの楽曲提供やプロデュース業も行っている。
岡田梨沙(オカダリサ)
岡田梨沙
1980年6月11日生まれのドラマー、パーカッショニスト。15歳でドラムを始め、2007年にD.W.ニコルズに加入。9年後の2016年にバンドを脱退した。現在はフリーのドラマーとしてKinKi Kids、奥田民生、トータス松本、土岐麻子、山内総一郎(フジファブリック)らのライブや磯貝サイモン、豊崎愛生、南波志帆などの作品のレコーディングに参加している。
前田恭介(androp)
(マエダキョウスケ・アンドロップ)
androp
4人組ロックバンド・andropのベーシスト。2009年12月に1stアルバム「anew」でデビュー。緻密なサウンドアプローチと多角的な音楽表現のみならず映像作品やアートワークでも注目を集めており、フランスのカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル、アメリカのOne Show Designなど国内外のアワードを受賞している。また、映像効果にこだわった幻想的かつ完成度の高いライブにも定評がある。2018年1月10日にはニューシングル「Joker」とBlu-ray / DVD「one-man live 2017 at 日比谷野外大音楽堂」が同時リリースされる。
松本素生
(GOING UNDER GROUND)
(マツモトソウ・ゴーイングアンダーグラウンド)
GOING UNDER GROUND
2001年にシングル「グラフティー」でメジャーデビューしたGOING UNDER GROUNDのボーカル&ギター。2006年に初の東京・日本武道館公演を開催。2007年には彼らの楽曲が原案となった映画「ハミングライフ」が公開された。幾度かのメンバーチェンジを経て、2015年からは現体制となる松本、中澤寛規(G, Vo)、石原聡(B)の3人編成で活動。2016年1月にインディーズレーベルyouth recordsと契約し、5月に新体制になってから初の全国流通盤となるシングル「the band」をリリースした。2017年にデビュー15周年を迎え、同年10月にニューアルバム「真夏の目撃者」を発売した。
桃野陽介(モノブライト)
(モモノヨウスケ)
モノブライト
2007年7月にシングル「未完成ライオット」でメジャーデビューしたモノブライトのボーカル。2012年に全新曲構成のアルバム「新造ライヴレーションズ」のライブレコーディングを実施するなど、さまざま取り組みを展開。同年11月にはアニメ「銀魂」のエンディングテーマ「ムーンウォーク」をシングルリリースした。2015年6月にはデビュー当時からのメンバーでもあったドラムの瀧谷翼が脱退し、メンバーそれぞれがソロ活動を展開する。2016年1月に新体制初のワンマンライブ「モノブライト LIVE 2016 bright eyes」を東名阪で開催し、4月にアルバム「Bright Ground Music」をリリース。2017年10月、北海道・Sound Lab moleで12月に行われるツアー「monobright × MONOBRIGHT × モノブライト 2007-2017」の最終公演をもって無期限の活動休止期間に入ることを発表した。