ナタリー PowerPush - ハルカトミユキ

鋭く時代を切り開く23歳ユニットの素顔

楽譜を読まずにショパンを弾いてた

──ミユキさんは見た目から、ハルカさんはシド・ヴィシャスと並ぶ反逆のアイコンとしてカート・コバーンに出会った、と。さらにお2人はそれぞれ異なるバックグラウンドをお持ちだそうで、まず、ミユキさんは子供の頃からピアノを習っていたんですよね。

ミユキ(Key, Cho)

ミユキ はい。3歳から高校3年生までクラシックピアノを習っていたんですけど、普通、それくらい長い期間やってると、ピアノのコンクールに出たり、音大に進学する人も多いんです。でも私の場合はそういうことではなく、3歳から毎週同じ先生に来てもらって、補助を受けながら私が弾きたい曲をただ弾いていたっていう。しかも弾いていたのはほぼショパンの曲だったんですよ。先生からはリストとかドビュッシーとかいろんなCDをもらったんですけど、作者を見ずに曲だけ聴いて、いつも選んでいたのがショパンだったんです。クラシック然としてないし、曲の一番盛り上がるパートを一度聴いただけで頭に焼き付くんですよね。

──ある意味キャッチーだったと。ただクラシックの素養がある人の中には、不協和音が含まれていることも多いロックがよくわからないっていう人も少なくないですよね。

ミユキ 実は私、楽譜が読めないんですよ。

──え、楽譜を読まずにショパンを弾いていたんですか?

ミユキ そう。だから、楽譜に「ドミソ」とか書き込んでました。1曲弾くとなると、楽譜がかなりのボリュームになっちゃうので、楽譜なしで弾けるようになった上で発表会にも出てましたよ。

ハルカ じゃあ、初見演奏はできないの?

ミユキ そうそう。それだったら、CD聴いて耳コピしたほうが早いですね。

ハルカ 考え方がロックだね。

──じゃあ、初めてロックを聴いたときも違和感はなかった?

ミユキ なかったですね。不協和音も気持ちよく感じました。

ハルカ あとミユキは中学生のとき、ORANGE RANGEのファンクラブに入っていたんだよね?

ミユキ 私は栃木出身なんですけど、中学生の頃みんながジャニーズにハマっているときに私だけこっそりORANGE RANGEのファンクラブに入って、学校帰りにそのまま東京や横浜までライブを観に行ってたんです。でも帰る電車がなくなっちゃうので、アンコールを観ずに帰ったり。

──そういえばORANGE RANGEってギターのNAOTOくんがテクノ好きだから、その影響でミユキさんも電子音楽が好きなのかもしれないですね。

ミユキ そうですね。ギターのNAOTOさんが雑誌なんかで紹介してたオススメのテクノ系CDは漏らさず聴いてましたから。

フォークの中のパンク性に影響を受けた

ハルカ(Vo, G)

──一方、ハルカさんは言葉の人だったんですよね。

ハルカ そうですね。歌は好きだったんですけど、大学に入ってアコースティックギターを手に取るまで、楽器もやったことがなかったし、楽譜もコードもわからなければ、ピアノはむしろ嫌いだったりして(笑)。そんな中、中学生のときに自分は言葉が好きなことに気がついたんですね。当時は単純に国語の授業が面白かったのと、本もけっこう好きだったし、詩を読むのも好きだったんです。だから音楽を聴いたとき、曲よりも先に歌詞が頭に入ってきたし、歌詞から曲が好きになることが多かったんです。そこで自分でも詩を書くようになったんですけど、それが音楽になるのはかなりあとの話なんですよ。

──言葉の面で影響を受けた人は?

ハルカ 反骨精神のある男性バンドに一番影響を受けていて、中でも汚い言葉や激しい言葉の中にキレイな言葉が入ってる、銀杏BOYZやTHE BACK HORNの歌詞ですかね。あと、70年代から活動されている友部正人さんとか友川カズキさん、豊田道倫さんとか加地等さんとか、フォークの人たちの言葉もパンクの言葉と似ているところがあるなと思ったんです。そういうフォークの中のパンク性とか、パンクの中のフォーク性にはすごく影響を受けていますね。

初ワンマンライブ「ドライ・バニラアイス」

2013年3月28日(木)東京都 WWW
完全招待制

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ハルカトミユキ

立教大学の音楽サークルで知り合った1989年生まれのハルカ(Vo, G)とミユキ(Key, Cho)によるユニット。ライブを中心とした活動を展開し、2012年11月に初の全国流通音源となるミニアルバム「虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。」をリリース。静謐さと激しさをあわせ持つサウンド、刺激的な歌詞で大きな注目を集め、iTunes Storeが選ぶ2013年期待の新人アーティスト「ニューアーティスト2013」にも選ばれる。2013年3月、2ndミニアルバム「真夜中の言葉は青い毒になり、鈍る世界にヒヤリと刺さる。」をリリースする。