声優のアフレコのようなレコーディング

──カップリングの「パン屋と本屋」と「雨降りしき」はどちらも「透明な女の子」とは違う印象を持った曲ですね。

今回のプロジェクトにあたって、山崎さんからもいろんな提案があって。「パン屋と本屋」の演奏に栗コーダーカルテットさんが参加しているのは山崎さんのアイデアなんです。「雨降りしき」のストリングスアレンジを上野耕路さんに頼んだのも山崎さんの提案です。ストリングスのレコーディングを見せてもらったのもいい経験でした。「雨降りしき」では初めての経験で、ピアノの窪田（渡 / 空気公団）さんと同時録音をしたんですよ。今までずっと1人でしか歌ってなかったから、目と目をあわせて「せーの」でレコーディングするのって面白い！ってすごくテンションが上がりました。

──それはライブで演奏とあわせて歌うのとも違う感覚？

違いましたね。不思議なんですけど、ちょっとアフレコに似てるなと思いました。

──ああ、ほかの声優さんと呼吸をあわせてセリフを読むような。

そうなんです。ほかの方のお芝居から受けた影響で少しずつ変わっていくような。

──なるほど。それは4thシーズンの新たな収穫ですね。

収穫ですね。大変でしょうけど、もっとやってみたいと思いましたもん。ほかの楽器と一緒にやったらどうなるかと考えると楽しそうなので、またチャレンジしてみたいです。

花澤香菜×空気公団ジョイントライブ

──なんとなく予想はついていましたけど、空気公団、山崎さんとの相性はバッチリでしたね。新しい一面を見せつつ、花澤さんの音楽を求めている人が欲しい要素がドンピシャで詰まっているんじゃないかと。

ああ、それはうれしいです。

──ここから始まる4thシーズンはどうなるんでしょうか。

いやあ、どうなるんでしょうねー。実はもういろいろ動き始めているんですけどね（笑）。

──話せる範囲で決まっていることはありますか？

4月にこのシングルの発売を記念したライブがあるんですけど、それは空気公団と私がジョイントする構成になっているんです。シングルの曲だけじゃなく、過去の私の曲も空気公団の演奏で歌って、山崎さんが選んだ空気公団の曲も歌います。

──それは面白そうですね。花澤さんが空気公団を歌う楽しみもあれば、花澤さんのオリジナル曲が空気公団の演奏でどのように変化するかも楽しめるという。

そうなんです。「かなめぐり」でアコースティックアレンジにして歌っているだけでも楽しいのに、これが空気公団の音になったらどうなるんだろう？って。あと山崎さんが「空気公団のライブは私が歌ってるから今まで観られなかったけど、ようやく観られるわ」って言ってたのが面白かったです（笑）。でも空気公団の曲って歌ってみると超難しいんですよね。これも新たな挑戦ですし、「透明な女の子」も歌っていくうちにどんどん自分の捉え方も変わっていくと思うので、これから歌うのが楽しみです。

──ちなみに空気公団の曲ではどのへんが好きですか？

「青い花」はマストです。あとは「夕暮れ電車に飛び乗れ」とか「コーヒー屋のおねえさん」とか、けっこうアップテンポなものが好きですね。4月のライブは私の曲も山崎さんが選んでくれたものを歌うんですけど、そのチョイスも面白いので期待していてください。

「花澤、いい女になったな」って言われるように

──今後の展開としてお話いただけるのは、そのライブのところまででしょうか。

はい。でも、今「かなめぐり」で旅をする中で得たものは私の中に蓄積されているので、それを歌詞にしたいなあと思っています……というのは言えるかな？ あとは「新しい出会いもまだまだあるぞ」ということですね。

──なるほど。では個人的な2016年の目標は？

これも「かなめぐり」とつながってくるんですけど……今まで私は本当に集中力が乏しいなと思っていたんです。でも「かなめぐり」で一緒に回っているPAの方に「それは集中力がないんじゃなくて、あるからこそいろんなところを見てバランス取ってるんだよ」って言われて「なんてポジティブな！」と思ったんですけど、そういう捉え方もできるんだなって。「意識が別のところにあっても無意識に一定のリズムをキープしている。それってすごいことなんだよ」って言ってくださったことが、少し自信につながったんです。なのでもっとポジティブに、いろんなところに飛び込んでいきたいなと思っています。

──仕事面とは別に、個人的な目標はありますか？

もうすぐ27になるので、もう少し大人の女性になりたいですね。「花澤、いい女になったな」って言われるようになりたい（笑）。なのでパンばっか食べてないで、いろいろほかのことにも手を伸ばしたいです。

──ちなみに花澤さんが考える「いい女」ってどういう女性像ですか？

前から言ってるのは、ジャズバーに自然に通える女（笑）。あとはなんだろうなあ、何気ないところに思いやりがあることとか、そういう内面的なところですかね。私の母は21で私を産んでいるから、今の私の年齢ですでに6歳の子供がいたわけですよ。そんな母の人生経験と、今の私が経験していることはもちろん違うものだとは思うんですけど、27歳の女性としてもっと芯のある人になりたいです。