GLAY|JIROが語るメットライフ2DAYS、“言葉”のニューアルバム、そして25周年のこと

デビュー25周年イヤー真っ最中のGLAYがニューアルバム「NO DEMOCRACY」を10月2日にリリースした。

アニバーサリーイヤーに際して掲げられた7つの公約のうちの1つとなる本作には、既発のシングル曲を含む全14曲を収録。新曲群にはTAKURO(G)、HISASHI(G)、JIRO(B)が作曲したナンバーが含まれ、それぞれGLAYの進化したサウンドを提示している。

今回の特集ではJIROの単独インタビューを実施。8月に埼玉・メットライフドームで行われたデビュー25周年記念ライブをはじめ、ニューアルバムの制作エピソード、大きな節目を迎えた心境について聞いた。さらに、TERU(Vo)、TAKURO、HISASHIにデビュー25周年にちなんだ質問を送り、それぞれに答えてもらった。

取材・文 / 中野明子 撮影 / 斎藤大嗣

「HOWEVER」屋台コントと「FATSOUNDS」3連発の理由

──今年1月にスタートしたデビュー25周年イヤーは、今が折り返し地点になるんでしょうか?

活動自体は4月からスタートしたので、まだまだですね。ただ、メットライフドーム公演が25周年の活動の中心になると思っていたので、まずはそれが無事終わってよかったなと。

──メットライフドーム公演は、初日は「良いGLAY」、2日目は「悪いGLAY」をコンセプトにそれぞれ内容をガラッと変えられていました(参照:名曲&ヒット曲だらけの2時間半!GLAY、3万人を興奮させた“良いGLAY”ライブ / 「FATSOUNDS」3連発に「安EVER」!MISIAも駆け付けた“悪いGLAY”メットライフ公演)。振り返っていかがですか?

終わってからいろんな感情が湧きましたね。それと、メットライフの前に韓国での初めてのライブがあったんです(参照:GLAYが初の韓国公演開催、韓国語で愛を伝える)。そこでたくさんの声援をいただいて、日本からも応援に駆け付けてくれた人がいて。半数以上の人が現地の方で、「私たちの街でようやくGLAYが観れる!」という熱狂度で接してくれたので、俺たちもテンションが高くなったんです。それを受けてのメットライフドーム公演だったので、熱も入ったし、感じるものが多かったですね。何よりもわざわざあんな暑い中、会場に来てくれたファンがたくさんいたことに感動しました。この人たちは本当に“ファンのプロ”だな!と。

JIRO(B)

──ステージに立っている立場としてはいかがでしたか? かなり暑くハードだったのでは?

僕らが倒れたらどうしようもないので、ステージに扇風機とか置いてもらっていたし、それほどでも。ファンの方のほうが暑かったと思います。

──2日間のライブを振り返って印象的だったことはありますか?

ひさびさにサポートキーボードで斎藤有太さんに入ってもらったんですけど、有太さんがバカバカしい「悪いGLAY」にも喜んで付き合ってくれたのがうれしかった。俺たちの内輪ノリだけに見えたらよくないなと思ってたんだけど、有太さんがエンタテインメントとして楽しんで、演奏しながら喜んでくれたのがよかったです。

──「悪いGLAY」は確かに悪ノリ全開でしたね。存分に楽しませていただきました。

ははは(笑)。

──一方で「良いGLAY」のほうは、アニバーサリーらしい、パブリックイメージのGLAYを表現した内容だったと思います。

そうなんです。「良いGLAY」のほうは「みんなが聴きたいベスト3」をランキングで紹介して演奏したんですけど、セットリストにはベスト10に入った曲も入れてたんです。ファン投票で人気のある曲というのは“絶対”なので、そういうのは公言しなくても入れようと。早い段階で自分の中で決めて、うまいことちりばめていきました。

──そうでしたか。ところで2日目の「悪いGLAY」の首謀者はHISASHIさんなんでしょうか? MCで「すいませんでした!」と謝罪していましたが。以前からライブのセットリストを作るのはJIROさんだとお伺いしていたので、イレギュラーだったのかなと思って。

JIRO(B)

実は最初、「良いGLAY」と「悪いGLAY」の線引きをどうしようかというのがわからなかったんです。だから韓国公演の前に、「俺1人だと荷が重過ぎてどうやって分けていいかわからないし、セットリストも決められないから相談に乗ってくれ」とTAKUROと相談して内容を決めていったんです。冒頭でダミーバンドが出てくることや投票のワースト3の曲をやることは、TAKUROとマネージャー陣とのミーティングで決めて。話し合いの中で、「悪いGLAY」はHISASHIのエッセンスが必要になってくるということになって、彼にアイデアを求めたんです。そしたらHISASHIが「『誘惑』をオープニングから5回連続でやりたい」と言ってきて。ミーティングで「本当に5回やらなきゃいけないの?」と聞いたら、HISASHIは「5回やらないとダメだ!」と珍しく半ギレして(笑)。さらに次のミーティングで「俺個人としては『誘惑』は笑いにできない気がするから、『FATSOUNDS』とか『COME ON!!』みたいに笑いにできる曲のほうがよくない? 曲も短いし。あと3回じゃだめ?」とプレゼンしたら、HISASHIも「まあ、『FATSOUNDS』3回でいいか」となってあの形に着地したんです。あと、ライブの後半で披露した「coyote, colored darkness」の前に流れた過去のドームツアーの映像は、HISASHIが流したいと言って取り入れたんですが、TERUとTAKUROと俺は最後の最後までそのくだりがなんなのかわからないままでした(笑)。

──メンバーそれぞれの思い、アイデアがきちんと反映されたライブだったと。

ええ。ちなみに「HOWEVER」の屋台コントに関しては最後に決まりました。

──あれはコントだったんですか……。

(笑)。もともと、初日は「BELOVED」、2日目は「HOWEVER」をアンコールでやることは決めていて。「HOWEVER」に関してはTERUが弾き語りをしているところに、途中からみんなが加わるアレンジをしようとしてたんですけど、いろいろ話をしてるうちに屋台コントみたいになっちゃった(笑)。そこまではよかったんですけど、さらにHISASHIが「酒場放浪記」みたいにしようと言い出してナレーションを入れてきたんです。

──はははは(笑)。「悪いGLAY」では前代未聞のGLAYが観られた気がします。メットライフ公演は、今後のアニバーサリーイヤーの活動にどう反映されていきそうですか?

11月から始まるアリーナツアーへの布石として開催した部分があるので、ワイワイガヤガヤしていた雰囲気を持っていきたいですね。「HOTEL GLAY」というとファンの方たちの期待も大きいので、そのあたりは楽しんでもらえるライブになると思います。