GARNiDELiA|戦い続ける2人の“反逆の歌”

Aメロ、Bメロ、サビの繰り返しに抗いたい

──メイリアさんのボーカルもtokuさんの自宅スタジオで録られているんですか?

toku はい。基本的に今までの作品も作り方は変わらなくて、毎回メイリアがうちに来て歌うっていう。

メイリア まさか自宅スタジオで録ってるとは誰も思わないはず。ただ「REBEL FLAG」の歌録りは引っ越す前の家だったよね。旧tokuさん邸のスタジオの最後のレコーディングだった。これはいつもの私でいけるやつだったので、気持ちよく歌えましたね。

toku 最近は録るテイク数も減ったよね。

メイリア(Vo)

メイリア めっちゃ減った。

toku ジャッジするのに時間がかからなくなったから。たぶんね、これも機材のせい(笑)。

メイリア うん。マイクが変わったのはかなり大きかったと思います。あと、自分がどう歌いたいか、どう聴かせたいかみたいなイメージが前より明確になってるし、それをすんなり実践できるようになったというか、迷いなく歌えるようになったのが一番大きいのかな。それはこの5年間でレコーディングの回数を積み重ねてきた結果です。

──カップリングの「PASSION」もそうなんですけど、「REBEL FLAG」は単純にAメロ、Bメロ、サビの繰り返しになっていない。そういう構造の曲も増えましたよね。

メイリア ちょっと前から、その縛りから解き放たれたいと思っていて。

toku うん。もちろんテレビで流れる90秒の尺でストーリーを作ったうえでね。あと、最近は4分以内に収まる曲のほうが僕は好きなんです。

──今回のシングルに収録された3曲もすべて3分台後半ですね。

toku(Compose, Key)

toku 今は4分を超えると長いと感じることがあって、短い尺の中で起承転結があるものを作りたい。それは自分たちがライブで演奏してみて、そういう形のほうがいいんじゃないかなと思ったところもあって。1番と同じ展開を2番で繰り返すのではなくて、全然違う世界に行ってからまたサビに戻ってくるのが自分の中でブームになってます。この「REBEL FLAG」にしても、テンポも速いし、たぶんバンドメンバーもこっちのほうが楽しいのんじゃないかなって。パソコンで曲を作っているからこそ、そこに抗っている部分もあったりします。

崩したくない“踊っちゃってみた”のブランディング

──カップリング1曲目の「PASSION」は、シャッフルビートを取り入れたアッパーなダンスナンバーです。

メイリア これもタイアップなんです。「ミコノート」というスマホゲーム主題歌で、「“踊っちゃってみた”シリーズの流れを汲んだ曲を」というオーダーをいただきまして。

──そのかわいらしいゲームのタイトルからはちょっと想像がつかない、アグレッシブな女性を描いた歌詞ですよね。

メイリア そこはすごく悩んだんですよ。このゲームは巫女さんが主人公で、いわゆる日常系というか、のほほんとしたシーンが多いんです。だからそういう世界観に寄せるという選択肢もあったんですけど、もともと“踊っちゃってみた”シリーズは強い女性像というのがメインテーマの1つでもあったので、その流れを汲むのであればシリーズのブランディングは崩したくないなと。

──なるほど。

メイリア で、「ミコノート」には「穢れ」とか「契り」とか、そういう和風のキーワードがちりばめられてるんです。そのキーワードだけピックアップして、自分の中で恋愛ソングに落とし込んだのが「PASSION」の歌詞ですね。

toku 曲調にしても歌詞にしても、果たしてゲームと整合性が取れているのか?(笑)

メイリア でも、ゲームをプレイした方は、今言ったキーワードを見て「なるほどね」と思ってくださるはず。

GARNiDELiA

──同じく“踊っちゃってみた”シリーズの楽曲である「Hysteric Bullet」(2017年11月発売の8thシングル「アイコトバ」のカップリング曲)や「紅葉愛唄」(2018年3月発売の3rdアルバム「G.R.N.D.」に収録)と同様の作詞法ですよね。

メイリア まさに。「ヒスバレ」は「銃娘」という中国のWebアニメの主題歌でしたけど、アニメの内容に寄り添うというよりは「銃」というキーワードから歌詞を膨らませたし(参照:GARNiDELiA「アイコトバ」インタビュー)。「紅葉愛唄」も中国のアプリゲーム「王者栄耀」に登場するキャラクターのイメージソングでしたけど、「もみじ」と「愛しい人と離れ離れ」というキーワードからストーリーを妄想してます(参照:GARNiDELiA「G.R.N.D.」インタビュー)。そういうところで私の作詞力が鍛えられてるのかもしれない。特にゲームの場合は、ざっくりしたお題をもとに歌詞を書くことがあるので。

toku そういうお題もありつつ、僕が先に書いた曲にも合わせなきゃいけないから、余計に大変だと思います。この曲に関しては、僕としては基本的には和風マリリン・マンソンをやりたかったんですよね。三連符で、ちょっと和メロが入ったロックテイストのあるEDMみたいな。そんな曲にここまでハマる歌詞に仕上げてくれました。

メイリア ホントにいっぱい考えたから! もう自分との戦いでしたね(笑)。でも、今tokuさんが言ったように三連符の今までやったことない感じのダンスナンバーだし、そのサウンドに引っ張られる形でセクシーなイメージも浮かんだから、これは曲先でよかったなと思ってます。

日本語の曲っていいよね

──GARNiDELiAのダンスナンバーのバリエーションも広がっていますね。

メイリア うん、どんどん広がってますね。「PASSION」はライブでも絶対盛り上がるはず。でも、何気に作曲は難産でもあったよね? メロディを何パターンか作らなかったっけ?

toku(Compose, Key)

toku そう。リズムだけは決めてたけど、メロディは5パターンくらい作った。メロディに日本語が乗るか英語が乗るかで音数も変わってくるだろうし……ということをあれこれ考えてたら「日本語の曲っていいよね」と思ったりもしました。

メイリア そうだね。いつも思うんですけど、“和”をテーマにダンス曲を書くと、言葉は和風でもサウンドは洋楽的だったりEDMっぽいものが意外とハマってカッコよくなるなって。その路線は「極楽浄土」から始まってるけど、シリーズ化したことで古語の響きの美しさもより強く感じるようになりましたね。

toku あと「PASSION」は、引っ越して最初にレコーディングした曲であり、新居でどれだけ低音を出せるかというテストケースでもありました。

メイリア 低音ボンボン響いてたよね。