「A3!」の冨士原良がキャラクターデザインを担当し、2次元と3次元を自由に行き来するユニークな活動形態で話題を集めている5人組ダンス&ボーカルグループ、学芸大青春。彼らが1stアルバム「HERE WE ARE !」を完成させた。
今回のアルバムにはこれまで配信リリースされてきた楽曲に加えて、各メンバーのソロ曲を収録。音楽性、歌詞共に、過去の歩みを振り返りながらよりさまざまな可能性を見せてくれるような、グループのこれまでとこれからが詰まった作品になっている。
この特集ではデビュー前から共同生活をしながら活動を続け、その裏側の物語を「学芸大青春 バクステアプリ」で伝えてきた5人が今回のアルバムにどのように取り組んだのか話を聞いた。またすべてのソロ曲の作詞作曲編曲を手がけたO-liveによる楽曲解説も最後に掲載している。またコミックナタリーでは学芸大青春のパーソナルな魅力に迫った特集が公開中。併せてチェックしてほしい。
取材・文 / 杉山仁
5人の仲を深めた川遊びと韓国旅行
──学芸大青春の活動1周年の記念日となる9月2日に1stアルバム「HERE WE ARE !」がリリースされました。これは皆さんがYouTubeに1stシングルの「JUNES」の動画をアップした日から数えて1年ということだと思いますが、まずは当時のことを思い出してもらえますか?
内田将綺 「JUNES」を録ったときは、本当にまだ何もわかっていない状態でした。今ではレコーディングのときは、自分の中で考えて「こう歌おう」というイメージがつかめるんですけど、当時は本当に「どうやって練習しよう!?」というところからのスタートで(笑)。
星野陽介 レコーディングもそうですけど、初めての経験ばかりだったんです。
仲川蓮 うんうん。
相沢勇仁 この曲の完成度をどれだけ高められるかによって、デビューしたあとに行ける場所も変わってくると、期待と不安が織り交ざった心境で練習していたし、本番は「やってやろう!」という気持ちでいましたね。
将綺 今考えると、5人の波長もあの頃はまだまだ合っていなかったのかもな。
南優輝 しかも「JUNES」は俺たちの曲の中でも特に掛け合いが多い楽曲で、次の人にうまくバトンを渡して歌っていかないといけなかったので、すごく難しかったですね。
陽介 そのうえ、よりによってレコーディングの前々日ぐらいから俺の声が出なくなってしまったんです。みんなこの日のために一生懸命やってきたのに、足を引っ張ってしまうと思うと本当に申し訳なくて……。本当は2日目の予定だった蓮が1日目に歌ってくれたり、みんなが時間を代わってくれたりしました。
──皆さんで協力して乗り越えていったんですね。
陽介 曲を書いてくださったR・O・Nさんもスタッフさんもみんな本当に優しくしてくださって、そのおかげでやりきることができました。このときのことはいまだにみんなに頭が上がらないよ!
──それ以降、皆さんの中で印象的だった思い出というと?
蓮 同じ事務所のVOYZ BOYのみんなが「youthful days」のミュージックビデオに出てくれて。僕たちも撮影風景を一緒に観ていたんですけど、撮影が終わったあと、夏だったので「みんなで川に行こう!」ということになって。そこで遊んだのがすごく楽しかったです。
優輝 遊び始めてすぐ、どしゃ降りの雨が降ってきたよね(笑)。めちゃくちゃ晴れていたのに、10分ぐらいしたら急に大雨になったんです。
将綺 そうだった(笑)。俺たちは共同生活をしているので、一緒にいる時間は長いんですけど、家や仕事場以外で一緒に過ごすと、思い出がすごく残るような感覚がありますね。
勇仁 あと、みんなで韓国に行ったのもいい思い出でした。初めて5人一緒に海外に行って、飛行機に乗るのも初めてで。あれはすごく楽しかったよね。
陽介 楽しかった!
勇仁 いろんなお店でごはんを食べたり、洋服を見たり、ストリートライブを観たり。
優輝 ストリートライブ、すごかったよね。
勇仁 すごくうまかった。あと面白かったのが、帰りの飛行機でみんなが機内食を選んでいるときに、寝ていた将綺のテーブルに何も聞かれずにフルーツが置かれたんです(笑)。
優輝 のちのち考えると、ベジタリアンの方に出そうと思ったものが間違えて将綺に出てきちゃったんだと思うんですけど(笑)。
将綺 起きたら隣にいる蓮と陽介がすごく笑ってて、「何がおかしいの?」と思いながらむしゃむしゃ食べていたら、みんなが「将綺は海外でもちゃんと野生児だって認識されててよかったじゃん(笑)」って!
共同生活から生まれたチームワーク
陽介 俺も楽しかった思い出はいろいろあるんですけど、やっぱり自分が壁にぶつかったときに、みんなに助けてもらったことが印象深いですね。
将綺 それはやっぱり、共同生活だもんな。
陽介 自分はもともと悲しかったりすると1人で落ち込んじゃうタイプなんですけど、相談できるみんながいることが本当に大きくて。それがあったから強くあれたのかなって思います。だから生活の1つひとつが大切なものだし、メンバーの4人ありきですよ。
優輝 陽介はしきりに言ってくれるよね。「ホントよかった!」って。俺は5月の配信ライブ「WHO WE ARE !」(参照:学芸大青春が1stライブ公演中止を受け無観客ライブを配信、新曲配信リリースも)が一番の思い出で、5人でいろいろと話し合いながらダンスやパフォーマンスの練習を重ねていく中で、「これが自分のやりたかったことだ!」と思いました。
──あの配信ライブは、とても素晴らしかったですね。ステージ演出がどんどん変わっていったのもバーチャルならではですし、皆さんのパフォーマンスもキレッキレでした。
優輝 がんばりました! 例えば、「Race!」では観てくださるお客さんを煽るような振り付けがありましたけど、そこは振り付けとしてやるというよりも「お客さんたちと一緒に楽しむようにやったらいいんじゃないか?」とか、そういうことを曲ごとに話し合ったんです。
──優輝さんが得意なブレイクダンスも「JUNES」で披露されていましたね。
陽介 あのブレイクダンスも「このカウントだったら、こんなふうにしよう」と優輝が自分で考えて踊っているので、優輝のオリジナルになっています。
将綺 あとは、俺たちが本番のテンションでやる中で自然とできあがっていったものも思い出深い。「youthful days」だと、優輝が通ったルートを俺が通っていく瞬間があるんですけど、それは最初から決めていたわけではないんです。パフォーマンスを重ねる中で、「こうしてみよう!」と思って生まれたもので。勇仁の投げキッスを自分もやりたいときには、それをやってみたりもしますし、そういう瞬間がすごく楽しいです。
優輝 本番の最中に目が合うとかもそうだよね。
将綺 そうそう。打ち合わせしていないハイタッチが気持ちよく決まった瞬間も。共同生活をしているからこそ出てくる息の合ったパフォーマンスがあるんです。
──そうやって5人の絆を深めてきたからこそ、1stアルバム「HERE WE ARE !」が完成したことはうれしかったんじゃないですか?
優輝 めちゃくちゃうれしかったです!
陽介 今でも信じられない(笑)。
勇仁 ドッキリだと思ってます(笑)。
──発売直前に「ドッキリ大成功!」みたいなことがあるかもしれないと(笑)。
全員 いやだー!(笑)
優輝 (笑)。とにかく、ここからがスタートだと思っています。
俺らの力を底上げした曲
──アルバムを制作するにあたってメンバー同士で話していたことはありますか?
優輝 基本的にはスーさん(プロデューサーの杉沢さん)やラーさん(マネージャーの村沢さん)に俺たちのアイデアを渡して、それをもとにスーさんが決めていくというような感じでした。
蓮 曲順で言うと、「星になれ」で最後に歌っているのが僕なので、次の曲が僕のソロ曲になっていたり、「JUST」で最後に歌っているのが勇仁なので、次の曲が勇仁のソロ曲につながっていたりして。その雰囲気がすごくいいなと思いました。
勇仁 俺も「星になれ」が終わって、蓮のソロがはじまるのは聴いていて気持ちよかった。
将綺 2人で褒め合ってるんじゃないよ! あとでいちゃいちゃしてもらえますか(笑)。
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「ノンフィクション」は俺たちの過去と未来