“神泉系バンド”フレンズが、8月1日に1stフルアルバム「コン・パーチ!」をリリースした。
2017年4月に初の全国流通盤「ベビー誕生!」を発表してから、大阪・BIGCATや東京・Zepp DiverCity TOKYOといった大箱でのワンマンライブを経験したり、さまざまな大型フェスに出演したりとハイスピードでファンを増やしているフレンズ。「ベビー誕生!」リリース時以来の音楽ナタリーでのインタビューとなる今回は(参照:フレンズ「ベビー誕生!」インタビュー|東京ドーム目指す“神泉系”バンド、誕生の経緯と叶えたい夢)、バンドを取り巻く状況が変わりつつある中でも変わらないアットホームな雰囲気のライブパフォーマンスの源や、「コン・パーチ!」でも表現されているフレンズ楽曲の振り幅の大きさなどについて話を聞いた。神泉の街で和気あいあいとロケを行った撮り下ろし写真と合わせて、フレンズの大きな魅力である飾らない人柄を感じてほしい。
取材・文 / 石橋果奈 撮影 / 山川哲矢
取材協力:ふくろう舎 Cafe HOOT HOOT(東京都渋谷区神泉町10-16)
2017年の記憶があんまりない(笑)
──皆さんにとって、初の全国流通盤「ベビー誕生!」を発表してからの1年半はどのようなものでしたか?
ひろせひろせ(MC, Key) これまで出たことのないフェスに出演したり、ライブで初競演するバンドがいたり、フレンズで見る景色としては初めての経験だらけですべてが新鮮でした。その中で「新曲出したい」とか「こういう会場でやりたい」という思いもどんどん増えていって。毎日必死に曲を作ってライブをして、ミュージックビデオの撮影をして……という感じでずっと動いてたので、2017年の記憶があんまりないんです(笑)。
長島涼平(B) フレンズが始まってからずっと忙しい気がして、ホントにみんなのおかげだなと思ってます。ただ個人的には……もうちょっと休みたいなって(笑)。
──そう思うぐらいに忙しかったんですね(笑)。
おかもとえみ(Vo) そんな日々を送る中でライブハウスの規模も大きくなってきて、実現できることが増えて。皆さんの協力のもと、脳で思ってたことを現実にできた1年半でもあるから、これからもっともっといろんなことやりたいなって思ってます。
三浦太郎(G) 僕は前のバンド(HOLIDAYS OF SEVENTEEN)で夢見ていたような忙しさの中にいて、楽しく過ごせた1年半でした。これからもっと忙しくなりそうで、そう思うと半分ワクワク、半分休み欲しいみたいな感じですけど(笑)、すごく楽しみです。
SEKIGUCHI LOUIE(Dr) 僕は今年1月のZepp DiverCity TOKYO公演に思い入れがけっこうあって(参照:フレンズ、ハッピーな空気あふれたZepp DCで「ズッ友だからね!」)。前に所属していたバンド(The Mirraz)で6年かかって立った場所であり、僕が辞めるタイミングで最後にライブをした場所でもあるんです。そこにフレンズでは2年ちょっとぐらいという、ものすごいスピードで立たせてもらって。ありがたいなという気持ちもありつつ、「ここにやっと戻って来られたな」とも感じました。でもここ最近はやっぱりちゃんと足元を見て、しっかり一段ずつ登らなきゃいけないなって思ってるし、今自分たちがいるところがどんな場所なのか、これから何をやらなきゃいけないのかを考えながらもっとがんばっていきたいです。
大きな会場でもアットホームな雰囲気が生まれる理由
──Zepp DiverCity TOKYO公演を観させていただいていて、すごいスピード感でライブ会場の規模が大きくなっているにも関わらず、これまでと変わらず自然体でライブパフォーマンスをしているのが印象的でした。背伸びしてる感がないと言うか。フレンズのライブは大きい会場でもお客さんがバンドのことを近くに感じるような、アットホームな雰囲気がありますよね。
ひろせ その雰囲気が出せているのは、バンドがずっと大切にしてる涼平さんの言葉が大きいんだと思います。結成間もない頃、ステージが大小に分かれているイベントの大きいステージに出られるかもしれないってなったときに、俺は「新しく組んだバンドでデカいステージに出られる! ラッキー!」って思ったんですね。でも涼平さんは「そこに出る必要性は今の俺たちにはないと思う。ちゃんと小さいところからやろう」って言ってきて。それで小さいステージに出させてもらったんですけど、それがバンド的にかなり大きな分かれ道だったと思うんですよ。
長島 それぞれキャリアがあるメンバーだし、あんまり新人感を出しすぎても寒いんじゃないかなとも思ったんですけど、当時のフレンズが“バンド1年生”なのは間違いない事実で。そんな1年生が、大きなステージに出るために5年、10年と戦ってきたバンドと並んだとき、バンド力としてとてもじゃないけど勝てないだろうなと。小さなステージからやっていったほうが、このメンバーで一からバンドを組み立てていくうえで意味があるなって思ったんです。
──なるほど。
長島 ただ、結果論として大きいステージに出てたほうがよかった可能性だって全然あったと思うんです。だからひろせがそういうふうに受け取って、「小さいステージを選んでよかった」って言ってくれるのはうれしいなって。
SEKIGUCHI 涼平さんの言葉は参考になることが多くて、さすがリーダーだなって思います!
おかもと よっ! リーダー!!
長島 たぶんなんですけど、今日僕が入り時間に遅刻してきたからわざと担いでるんだと思います(笑)。
三浦 ちょっと気になってるだけで、別にそういうのじゃないですよー!(笑)
長島 嘘付け! でもごめんなさい!!(笑)
ひろせ (笑)。最近は関係者から「フレンズ、1年目から大きいフェス出てたよね」って言ってもらえることもあるんですけど、実際は活動初期にお客さんが全然いない小さいライブハウスに出てたこともあったんです。それも涼平さんの「そういう日を重ねていこうよ」っていう言葉があったからで。
長島 なんか、無駄な日が欲しかったんですよ。そのときの「お客さんのいないライブに出て意味があるのかな」っていう気持ちを共有しときたかった。最初からうまくいってたら、バンド力が育たない気がしたから。
──バンドを取り巻く環境が変わった今でも、初期の頃の気持ちが皆さんの中に共通してあるのが素敵だなと思います。
ひろせ さっき言ってくれたフレンズのライブの雰囲気っていうのは、そこにつながると思っていて。俺たちが背伸びをしないでずっと地に足付けてやっていたり、伝統のある日比谷野外大音楽堂で9mm Parabellum Bullet先輩を前に寸劇をかましたりとか(笑)(参照:フレンズ、大勢の“フレンズ”たちと日比谷野音でコラボ祭り)。今考えたらとんでもないことなんですけど……そういうことをやってるフレンズを応援したいって言って、喜んで集まってくれるみんながいるからこそ生まれる雰囲気だと思うんです。たぶん、最初からデカいステージでやってたら、ずっとカッコ付けてたと思うんですよね、俺。積み重ねてきたからこそ、今お客さんと一緒に大きな会場でもアットホームな空気感のライブを作れてるんだと思います。
デンマークの楽曲ランキング50を聴いて作った
──今回リリースされる1stフルアルバム「コン・パーチ!」には、サッポロビール「サッポロ ホワイトベルグ」のCMソング「NO BITTER LIFE」、hummelとのコラボプロジェクト「hummel loves music」に書き下ろした「Hello New Me!」、2018年冬公開の映画「ヌヌ子の聖☆戦」の挿入歌「TITLE ROLE」といったタイアップ曲が収録されます。ひろせさんとおかもとさんはタッグを組んでSexy Zoneの楽曲を手がけているほか、それぞれ女性アーティストへの楽曲提供経験もあるので、タイアップ曲の制作は得意分野なのかなと思ったのですが、実際に作ってみていかがでしたか?
おかもと 「Hello New Me!」と「NO BITTER LIFE」は、それぞれのコラボ企画のテーマをタイトルに冠したんです。ホームページの企業理念とかをめっちゃ見て「企業側にこういう思いがあるなら、こういうことを歌おう」って。何かに沿って曲を作るのはけっこう性に合ってると思ったし、楽しかったですね。
ひろせ 「Hello New Me!」は、hummelがデンマークのスニーカーブランドだったので、まずサブスクでデンマークのトップ50のプレイリストを聴きました。国ごとのランキングって、けっこうその国の色が出てるんです。
──デンマークはどのような色なんですか?
ひろせ グランジが人気なんですよね、けっこう激しくて。ベスト20位ぐらいにまだNirvanaがいるのにはびっくりしました。あと、意外と「Dance Dance Revolution」(コナミの音楽ゲーム)とか、音ゲーに使われてる楽曲をデンマークのアーティストが作ってるんですよね。
──「Butterfly」でおなじみのSMiLE.dkもデンマークでデビューしたアーティストですもんね。
ひろせ そうですそうです。そういうダンスっぽい感じかグランジかで迷ったんですけど、今までのフレンズの曲になかったし「Hello New Me!」はグランジでいこうと。ミュージックビデオが公開されたら、予想通りではあったんですけどコメント欄に「想像してたのと違うな」って書き込まれてて。そういう反応を見るの、俺はけっこう楽しいんです。
──嫌なコメントでも?
ひろせ 全然見ます。ホント「ひろせいらない」とかめちゃめちゃあるし。
一同 あはははは(笑)。
ひろせ 俺は全然それは受け入れてるんですけど(笑)、「Hello New Me!」に関しては、たぶんフレンズの曲がまずギターで始まるってことに対して違和感を感じてるんだなとか思うわけですよ。
──確かにフレンズの曲は歌始まりが多いですよね。
ひろせ あとフレンズの曲はピアノの音が立ってるとか。でも俺はライブを想像したときに、単純に、太郎さんが前に出てジャージャー!ってギターを鳴らして始まる曲カッコいいじゃんって思ったから。それで「Hello New Me!」は、太郎さんの顔が浮かぶような曲にしたいと思って作ったんです。
──私もクレジットを見るまでは、三浦さんが作曲したのかなと思ってました。
三浦 俺も、楽曲を最初に聴いたとき「俺の得意分野だな」と思いました(笑)。
ひろせ YouTubeのコメント欄にも「これ太郎さんが作った曲なんじゃない?」ってコメントがあってうれしかったですね。そういうふうに言われたいと思ってたし、今回のアルバムはメンバー全員の顔が見えるように作ったつもりなんです。
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ひろせとえみそんって似てる
- フレンズ「コン・パーチ!」
- 2018年8月1日発売 / Warner Music Japan
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初回限定盤 [CD+DVD]
3780円 / WPZL-31506~7 -
通常盤 [CD]
3024円 / WPCL-12928
- CD収録曲
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- 常夏ヴァカンス
- NO BITTER LIFE
- コン・パーチ!
- TITLE ROLE
- Hello New Me!
- オールタイムラブ!
- 元気D.C.T~憧れのマチュピチュ~
- またねFOREVER
- シルエット
- fisherman
- 街
- ベッドサイドミュージック
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「petit town release tour グランパーティー!」@ Zepp DiverCity TOKYOライブ ダイジェスト映像
- ライブ情報
フレンズ「~コン・パーチ!Release Tour~ シチュエーション・コメディ season3」 -
- 2018年9月30日(日)東京都 TOKYO DOME CITY HALL
- 2018年10月5日(金)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2018年10月12日(金)大阪府 なんばHatch
- 2018年10月19日(金)石川県 Kanazawa AZ
- 2018年10月21日(日)長野県 LIVE HOUSE J
- 2018年11月2日(金)愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2018年11月7日(水)香川県 DIME
- 2018年11月9日(金)広島県 広島セカンド・クラッチ
- 2018年11月11日(日)福岡県 BEAT STATION
- 2018年11月15日(木)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2018年11月16日(金)静岡県 HAMAMATSU FORCE
- 2018年11月24日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
- フレンズ
- 2015年6月におかもとえみ(Vo / 科楽特奏隊)、ひろせひろせ(MC, Key / nicoten)、長島涼平(B / FINAL FRASH、the telephones)、三浦太郎(G / ex. HOLIDAYS OF SEVENTEEN)、SEKIGUCHI LOUIE(Dr / ex. The Mirraz)の5人で結成された“神泉系”バンド。2016年5月に東京・THREEにて初のワンマンライブ「シチュエーションコメディ vol.1」を開催した。会場および通販限定で発表した1stミニアルバム「ショー・チューン」が好評を博し、各地のイベントやフェスに多数出演。2017年4月に初の全国流通盤となる1stアルバム「ベビー誕生!」を、11月に“プチアルバム”「プチタウン」をリリースし、2018年1月には大阪・BIGCATと東京・Zepp DiverCity TOKYOでワンマンライブを開催した。4月には“フレンズのフレンズ”を集めてフレンズの楽曲を演奏するライブ「フレンズのフレンズ大集合!~日比谷野音でコラボ祭~」を東京・日比谷野外大音楽堂で行った。8月には1stフルアルバム「コン・パーチ!」をリリースし、9月にはワンマンツアー「~コン・パーチ! Release Tour~ シチュエーション・コメディ season3」を実施する。