ひろせとえみそんって似てる

──ひろせさんの作曲方法、興味深いです。「Hello New Me!」は「デンマーク」がキーワードでしたが、ほかの曲も何か1つのキーワードから発展させるように作っていくんですか？

ひろせ　そうですね。LOUIEさんにこの間言われたんですけど、“音楽大喜利”を1人でやってるみたいな感じなのかもしれないです。

SEKIGUCHI　そもそもひろせはお笑いがすごい好きだし、たまに機材車の中とかで急に大喜利を始めるんです（笑）。そういう感覚で音楽を作ってるのかなとふと思って。

──ひろせさんが作った曲に対しておかもとさんが歌詞を付けることが多いと思うのですが、おかもとさんはどんな感覚でバトンを受け取っていますか？

おかもと　「Hello New Me!」だったら、「デンマークね、オッケー」って感じです。

ひろせ　でもさ、俺デンマークの話してないよね。

おかもと　そうそう。何も言われてないけど曲を聴いて、「デンマーク」っていうセリフを自分で入れてて……確か自分でhummelを調べてたらデンマークにたどり着いて。私たちの中で、「デンマーク」が出てくるのは必然だったんだと思う。今みたいに、知らなかったけどあとから「これがテーマだった」って聞くこともあるけど、いつも「だよね」って感じです。

ひろせ　曲を作るときにキーワードだけ言うこともあるんですよ。そのキーワードは俺のラフの歌の時点で入ってることもあって。それ以降は全部えみそん（おかもと）に任せて歌詞も書き換えてもらうんですけど、いつも俺の考えを汲み取ってくれるんです。その汲み取るバランスっていうのに対して違うなって思ったことは、これまで1回もないですね。

──お二人がそこまで通じ合っているのもすごいですし、ひろせさんのラップパートをおかもとさんが書いてることにもびっくりしました。ひろせさんのラップとしてばっちりハマっているので。

おかもと　ひろせがいつも話してる感じの言葉とか、そういうのをなんとなく考えて書くようにしてます。でも「Hello New Me!」に入れてきた仮歌「つまりは俺式」だけはホントに変える言葉がなくて（笑）。

SEKIGUCHI　レコーディングで「つまりは俺式」って録ってるとき、すごい盛り上がったよね（笑）。

長島　なんかさ、ひろせとえみそんって似てるよね。連想していって、それを詰めていくような曲や歌詞の作り方というか。

三浦　あー、そうだね！ 今言われて思ったけど、確かに似てるなあ。

おかもと　一緒にいて楽しいからバンドも始まっちゃったわけで、なんか近しいところがあったんでしょうね、出会った当初から。

「幽☆遊☆白書」への愛込めた「またねFOREVER」

──「またねFOREVER」とリード曲の「常夏ヴァカンス」はアダルトな雰囲気のナンバーです。この2曲はどういう発想から生まれたんですか？

ひろせ　「またねFOREVER」はアニメ「幽☆遊☆白書」（1990年から94年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載された冨樫義博のマンガ。アニメは1992年から95年にかけてフジテレビ系で放送された）のエンディング曲「さよならbye bye」みたいなことをやりたいなと思って作ったんです。似てるものをっていうことじゃなくて、あの切なさを出せるような曲をえみそんが歌ったらいいなと思って、じゃあ自分で作っちゃえって。

おかもと　それでまず「さよならbye bye」を聴かせてもらったんですけど、「またねFOREVER」は男子メンバーの“「幽白」への愛”を書いた曲にしようって。

──皆さん「幽白」のファンなんですか？

ひろせ・SEKIGUCHI・長島・三浦　大好きです！

おかもと　だから「さよならbye bye」へのアンサーを入れてみたり、「幽白」が18時台の放送だったから「18時の夜空を見上げてまたね」っていう歌詞を入れたり、タイトルはみんな「幽白」をまた観たいだろうなって思ったから、「またねFOREVER」にしたっていう（笑）。

ひろせ　少年ジャンプのマンガって“友情・努力・勝利”っていうような、男臭いイメージがあると思うんです。でも「幽白」にはそれとは少し違う、アダルトな切なさがあって。だから「さよならbye bye」もアニメの主題歌にしてはちょっと大人っぽすぎるしカッコいいなって、自分の琴線に触れたんだと思うんです。

三浦　馬渡松子さんね。

ひろせ　そう。歌ってるのはDREAMS COME TRUEのコーラスとかやってる馬渡さんで。ちなみに馬渡さんが歌うオープニングの「微笑みの爆弾」って曲も超いいんです！

おかもと　ホントは「幽白」が2017年でアニメ化25周年だったから、テーマソングを狙ってたんですけど……ナタリーさんをきっかけに今からでも狙いたいです！（笑）

「ラーメン つけ麺 僕イケメン！」のカッコよさ

──リード曲「常夏ヴァカンス」についてはいかがでしょうか？

おかもと　この曲はもともと男性アイドルに提供するつもりで書いて、ずっとデモとして取ってあった曲なんです。1人で歌う曲じゃないなっていうのがあったから、ソロとしては歌わずにいて。でもフレンズだったらみんなで歌えるし、“みんなの顔が見えるアルバム”に入れるにはいい曲かもと。

ひろせ　それでみんなでえみそんのデモを聴いたんですけど、全員一致で「この曲リードでよくない？」って意見がまとまって。

──いい意味でのダサさが癖になる曲ですが、この雰囲気はどこから出てきたのでしょうか？

長島　最初、ラテンっぽい感じいいねっていう話があったんだよね？

おかもと　そうそう。なんか売れてる人の曲ってラテンの要素が入ってるなあって思ったのがもともと「常夏ヴァカンス」を作ったきっかけで、歌詞はカッコ付けすぎてるダサさ、みたいなのを意識して。私、狩野英孝さんが大好きなんですけど、狩野さんって「ラーメン つけ麺 僕イケメン！」って言うだけで、周りが「カッコいい！」ってなるじゃないですか。

ひろせ・SEKIGUCHI・長島・三浦　なる!?（笑）

おかもと　なんか、自分がカッコよくなれるような曲と言うか、そのカッコよさがメンバーみんなに出たらいいなあと思って。

──狩野さん扮する50TAさんの曲にもその感じは出てますよね。

おかもと　そうなんです！ 私50TAさんも大好きで、ライブにも欠かさず行ってて、いつか対バンしたいと思ってて。そういう、カッコよさと少しの胡散臭さが「常夏ヴァカンス」で表現できたと思いますね。曲を聴いたお母さんからは「あれ？ 石田純一のドラマの曲？」って言われて。

──確かにトレンディドラマ感があります（笑）。

おかもと　そのトレンディドラマ感は、ひろせと今回アレンジャーとして参加してくださった大久保薫さんの編曲で増したものかなと。